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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

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世界に溢れる夢

#23

23.森を抜けて

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

夜が明けた。目を覚ましたノイトは倒れた丸太から起き上がってマジックバッグから水の入った瓶を取り出した。中身を飲んでひと息ついたところで、リーリャが眠そうな目をこすりながら起きる。
「おはよう、ノイト…。」
「おはよう、リーリャ。」
ノイトは瓶をマジックバッグにしまって立ち上がる。リーリャと一緒にエスミルト騎士団の騎士たちの元へ向かうと、全員が装備を整えてエスミルトに帰還するようだった。どうやらイグとレイクは昨夜のうちに森から出ていってしまったらしい。
ノイトはロズウェルに挨拶をする。
「おはようございます、ロズウェルさん。…エスミルトに戻るんですか?」
「おはよう、ノイト。そのつもりでいる。ここから北に4km程歩いたところに凱旋都市·コロフェリスがあるから、次はそこへ向かうと良い。後日、闘技大会が開催されるらしいから、興味があれば参加してみても良いかもしれないぞ?」
ロズウェルの話を聞いたリーリャが目を輝かせてこう言った。
「闘技大会…?優勝したら景品とか貰えそうだね!」
(記憶と一緒に物欲も戻ったのか…?)
ノイトはリーリャの言葉に対して心の中でツッコんだが、それを知らないリーリャは闘技大会が楽しみになったようだ。
「ノイト、景品待ってるからね!」
「なんで参加する前提で話すんだ…?」
ロズウェルは2人の会話を見て微笑んだ。ベルリスやモルディーが準備が出来たことをロズウェルに告げると、ロズウェルはノイトを見て別れを告げた。
「それじゃあ、いつかまた会おう。」
「「はい!」」

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

2人は森の中を歩きながら次の都市であるコロフェリスについて考える。
「ねぇ、ノイト〜。コロフェリスってどんなところかな…?」
「う〜ん…闘技大会がある、って聞くとコロッセオみたいなものがある中世ローマの街並みが浮かぶけど…どうなんだろうね?」
[中央寄せ][斜体][明朝体]ガサガサガサッ[/明朝体][/斜体][/中央寄せ]
そのとき、草陰から物音がして魔物が飛び出した。その魔物は鹿のような見た目で、角を魔力で光らせていた。
「…突っ込んでくる気だな…。」
ノイトはマジックバッグから革の手袋の魔具を取り出して手にはめる。生憎、【[漢字]閃光の剣[/漢字][ふりがな]スピード[/ふりがな]】は壊れてしまっていたため、魔法で戦うことにしたのだ。
[中央寄せ][[漢字][太字]守護[/太字][/漢字][ふりがな]バリア[/ふりがな]][/中央寄せ]
次の瞬間、鹿の魔物が角をより一層光らせていた突っ込んできた。しかし、ノイトたちにぶつかる前に青く透き通ったバリアが現れた。
[中央寄せ][斜体][大文字]バチンッ[/大文字][/斜体][/中央寄せ]
鹿の魔物の攻撃は[漢字]守護[/漢字][ふりがな]バリア[/ふりがな]に弾かれて通らない。そこでリーリャが口を開く。
「ノイト、この魔物は[太字][漢字]惑霊の御鹿[/漢字][ふりがな]アム・セール[/ふりがな][/太字]って言って、普段はとても温厚で賢い高等魔生物だよ...!!...そのはずなんだけど...。」
「なるほど、これが...。それにしては随分と気性が荒いね...?縄張りか...、発情期か...?もしそうじゃなければ...洗脳か操られているかだね。どんなに腕利きの[漢字]調教師[/漢字][ふりがな]テイマー[/ふりがな]でも手懐けることは出来ないはずだし、調教はないだろうね。」
ノイトは[漢字]守護[/漢字][ふりがな]バリア[/ふりがな]の向こう側にいる[漢字]惑霊の御鹿[/漢字][ふりがな]アム・セール[/ふりがな]の様子を観察する。よく見ると目から異様な魔力を感じる。
([漢字]目[/漢字][ふりがな]そこ[/ふりがな]か...。恐らく幻覚で僕が何かしらの、[漢字]鹿[/漢字][ふりがな]かれ[/ふりがな]らが戦うほどの相手に見えているのかも。)
ふと何かを思いついたのイトはリーリャの方を振り返って声をかけた。
「リーリャ、[漢字]魔法[/漢字][ふりがな]えんそう[/ふりがな]だ。準備しておいて。」
「うん、分かった!」
リーリャはマジックバッグから白い手袋型の魔具を取り出して手にはめる。そして、リーリャが[漢字]空[/漢字][ふりがな]くう[/ふりがな]でピアノの弾くように指を動かす。すると、指先から鍵盤の形の光が出て音が鳴る。目の前の鹿はノイトたちに向かって攻撃するのを止めた。音に気が付いたのだ。やがて鹿の目の異様な魔力は鹿の目から溢れ出した涙とともに抜けていき、[漢字]惑霊の御鹿[/漢字][ふりがな]アム・セール[/ふりがな]は正気を取り戻したのであった。

[中央寄せ][大文字][明朝体][太字]── クウゥゥゥォン ──[/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]

[漢字]惑霊の御鹿[/漢字][ふりがな]アム・セール[/ふりがな]の鳴き声が静かな森に響き、そっと木々がざわめいた。頬に心地よい風が触れ、森中の魔力が静かに揺れる。鹿はノイトとリーリャを見つめるとやがて広く優しい光を纏って森の奥へと消えていった。
「...ノイト、行こうか。」
「...そうだね、リーリャ。」


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
今回で“終焉の魔神”篇がその幕を下ろします。果たして惑霊の御鹿はどこへ消えたのか...。
そして、次回からはノイトが剣術修行?!お楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観についての質問も受付けています。本作を読んでいただき、ありがとうございました!!

2025/11/08 00:03

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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