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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

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世界に溢れる夢

#22

22.覚悟

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

魔神が作った巨大な黒いクレーターから少し離れた場所。草陰に隠れて戦闘の様子を眺めている人物がいた。
(このままでは...魔神が[漢字]やられてしまう[/漢字][ふりがな][大文字][太字]・・・・・・・[/太字][/大文字][/ふりがな]...!!)

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

ノイトは【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を構えてレイクの後ろ姿を眺めている。レイクは自身の剣を両手で握り直して魔神と見つめ合っていた。
(すごいな...この人は。この人が来た瞬間に、場の雰囲気が変わった。そして、魔神の目つきも本気になっていた。)
ノイトはふと何かを思い出したように口を開けてから微笑んだ。足元からは安心する音楽が聞こえてくる。
(そういえば、忘れていたけどリーリャは今もずっと演奏を続けているんだ。お陰で[漢字]空中浮遊[/漢字][ふりがな]レビテーション[/ふりがな]を使わなくて済むから魔力消費も少ない。成長したな、リーリャも。)

[大文字][太字][明朝体]「さぁ、来い!!」[/明朝体][/太字][/大文字]

ノイトはまた魔力を振り絞って魔法を放つ。【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】に[漢字]装飾[/漢字][ふりがな]ほどこ[/ふりがな]された[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]がノイトの魔力に反応して蒼く輝き始めた。そして再び魔力で出来た文字盤が浮かび上がり、そこから放たれた閃光が魔神を一瞬のうちに飲み込む。
[水平線]

[太字][斜体][大文字][中央寄せ]〔[漢字][明朝体]時帝御神[/明朝体][/漢字][ふりがな]クロノス[/ふりがな]〕[/中央寄せ][/大文字][/斜体][/太字]

[水平線]
ノイトの魔法の光が魔神の動きを止め、リーリャの魔法の五線譜が魔神の最後を飾る。イグが神速の抜刀で魔神の剣を弾き飛ばし、レイクが[漢字]終焉[/漢字][ふりがな]マズロイン[/ふりがな]を[漢字]終焉[/漢字][ふりがな]フィナーレ[/ふりがな]で塗り替える。三方から刹那の間に攻撃を喰らい、魔神は目を見開いた。

[大文字][太字][明朝体][斜体](なるほど...これが人間か。[漢字]英雄[/漢字][ふりがな]あいつ[/ふりがな]が守った未来...!!)[/斜体][/明朝体][/太字][/大文字]

“終焉の魔神”は...マズロインは白い光の中に消えていく。魔神の最後の[漢字]表情[/漢字][ふりがな]かお[/ふりがな]は、笑っていた。

イグに弾き飛ばされた魔神の剣が地面に落下して、ピアノが止まった直後に甲高く金属音が響く。勝ったのだ。魔神との戦いは人間たちが勝利する形で幕を閉じた。ノイトとイグとレイクは上空からゆっくりと降りてきた。リーリャがピアノの椅子から立ち上がり、[漢字]幻想の首飾り[/漢字][ふりがな]ファンタジア・ペンダント[/ふりがな]で具現化されていたピアノは消滅する。
(勝てた...魔神に。世界に7体しかいない、伝説の[漢字]怪物[/漢字][ふりがな]バケモノ[/ふりがな]に...!!)
(つい先程出会ったばかりの少年少女が伝説の魔神を倒した...。これをただ“若さ”だと決めつけるのは傲慢だな。“若さ”故の希望がもたらした...いや、その希望で掴み取った勝利。)
リーリャは地上に降りてきたノイトの方へと走っていき、ノイトに飛びついた。
「[斜体][大文字]うわっ[/大文字]、リーリャ?[/斜体]」
[大文字][斜体]「ノイト...!!凄かったよ[/大文字][小文字]っ[/小文字][大文字][斜体]!!」[/斜体][/斜体][/大文字]

ノイトは胸に感じるリーリャの温かみと沈んでいく夕日の光を感じて、改めて勝利を深く実感するのであった。
「リーリャ、お疲れ様。」
「うん...!!」

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

夕日が完全に沈み、いつの間にか空には星が瞬く頃。魔神との戦闘を終えたのイトとリーリャ、イグ、エスミルト騎士団の騎士たち、そしてレイクは魔神が作ったクレーターから少し離れた森の中で野宿をしていた。魔力を使い果たしていたロズウェルもベルリスやモルディーの看護によって目を覚まし、魔神との戦いが終わったことを聞いて安堵のため息をつく。リーリャと空を見上げて話しているノイトに、レイクが声をかけた。
[大文字]「少年...ノイトと言ったな?」[/大文字]
「あ、はい。ノイト=ソルフォトスです。ミストルの町で時計塔の管理をして...いまし[漢字]た[/漢字][ふりがな][太字]・[/太字][/ふりがな]。」
レイクは空を見上げて呟く。
[大文字]「ほう...“[明朝体][漢字]太陽の光[/漢字][ふりがな]ソル・フォトス[/ふりがな][/明朝体]”か...。良い名前だ。」[/大文字]
「えっと、さっきはあなたが来てくれて助かりました。あなたが居なければ僕たちは今こうして五体満足で、ましてや死傷者を出すことなく勝利することは難しかったでしょう。本当にありがとうございます。」
ノイトの感謝の言葉を隣で聞いていたリーリャもノイトに一言ボソッと囁いてからレイクにお礼を言う。
[小文字]「ノイト、この人はレイクさんだよ。」[/小文字]
「レイクさん、本当にありがとうございました!!」
[大文字]「こちらこそ、先程の[漢字]演奏[/漢字][ふりがな]まほう[/ふりがな]のお陰で滞空のための魔力消費が少なく済んだ。感謝する。」[/大文字]
リーリャはレイクに褒められて嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。
「えへへ...///」
(最初はレイクさんも[漢字]空中浮遊[/漢字][ふりがな]レビテーション[/ふりがな]を発動しながら戦っていたけど、リーリャのお陰で僕だけじゃなくてレイクさんの足場も創っていたのか...。ピアノの一つで平和を護ることが出来る、それって凄いことだなぁ...。)
レイクはリーリャの笑顔を見て少し微笑み、軽く会釈をして目を覚ましたロズウェルの方へと歩いていった。
(あの人会釈とかするんだ...!!)
そこでノイトは[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]で無理やり回復させた分のツケが回ってきて急激に疲労感を感じる。ため息をついて少し身体をほぐしたあとで、リーリャに声をかけた。
「リーリャ、今日は本当にお疲れ様。今日ももう遅いし、そろそろ寝ようか。」
「あ...そうだね。ノイト、最前線で頑張ってたもんね!!」
ノイトは少し顔を俯かせる。
「いや...僕は常に最前線に居ることは出来なかったし、本当に凄いのはロズウェルさんやレイクさんだよ。」
「ふ〜ん...?ノイトも最初時間稼ぎしてくれたじゃん!!あれが無かったら私たちは今頃天国だったよ。だから、ありがとう、だよ!!」
「あぁ...そうだったね。それじゃあ...どういたしまして、かな?」
2人はしばらく互いの顔を見合わせ、そして吹き出した。焚き火を囲んだエスミルト騎士団の騎士たちの騒ぎ声が遠く聞こえる森の奥で、2人の笑い声が静かに響いた。
しばらくして仰向けになって倒れた丸太の上に寝転がり、星空を眺めながらノイトはふと考える。
(あぁ...なんだかリーリャと一緒に居るとなんだか安心するな。同じ転生者だからかな?...まぁともかく、明日からもリーリャが前世と今世の記憶を全部取り戻せるように頑張るんだし、そろそろ寝よう...。)


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
ついに“終焉の魔神”との戦いに終止符が打たれました。次回からはまたノイトとリーリャは記憶を戻す旅が続きます。次回もお楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観などについての質問も受付けています。本作品を読んでいただき、ありがとうございました!!


[追記]
ところで、このノルティーク大陸には実は3体も魔神が封印されているんですよね...。もしかしたらこの先にノイトたちが出くわすことになるのかも...?

2025/11/06 20:53

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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