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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

また、一部微細な暴力表現が含まれている場合があります。
これを苦手とする方は閲覧をお控えいただくことをお勧めします。

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世界に溢れる夢

#124

124.支配

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

ノイトはクロエと対峙している。クロエはノイトが何も仕掛けていないにも関わらず楽しそうにニコニコと笑っていた。
「なんでそんなに笑っていられるんですか?」
[明朝体]「ノイトって強いんでしょ?他の幹部ももうみんな倒しちゃってずるいな〜」[/明朝体]
「ずるい?」
[明朝体]「だって、他の人たちの命が消える瞬間に立ち会えたってことでしょう?当然そのときの相手の表情も見たわけであって......。」[/明朝体]
クロエが頬をさらに赤く染める。息を湿っぽくなっているようだった。一歩ずつノイトの方へと歩み寄ってきてノイトの顔を覗き込むように立つ。
[明朝体]「どうだった?人が目の前で死んだときの[漢字]表情[/漢字][ふりがな]かお[/ふりがな]は!」[/明朝体]
正気の沙汰ではない。人の死に興奮するタナトフィリアだと言うには納得出来すぎた。
(メルクが言った通り......面識があるのかどうかは分からないけど、名前は出さない方が良いかもね。)
「そんなに良いものじゃないですよ?盲亀浮木の確率で出会って生まれてきた尊い命が目の前で消えちゃうわけですし。」
[明朝体]「ふ〜ん......でも、ノイト。」[/明朝体]
クロエがノイトに顔を近づけて問い詰めてくる。
[明朝体]「さっき、人殺してたよね。それなのに尊いだなんて言えるの?」[/明朝体]
「......これはただの言い訳ですけど......。僕は命そのものの価値の尊さはすべての人で平等なものだと思ってます。だけど、それを基盤として他の人を不快にするような真似をする輩にとっては当然の報いだと思います。」
[明朝体]「それじゃあ、“他の人を不快にするような真似をする輩”の命は奪っても良いってこと?」[/明朝体]
「......手段に対しての良い悪いの話じゃないんですよ。僕は結果論的な考えを重視してます。だから、その行動で僕の大切な人が幸せになる可能性があるなら、より良い結果のために動きます。」
[明朝体]「ノイトにとって私は大切な人じゃないの?」[/明朝体]
「......大切な人[漢字]=[/漢字][ふりがな]イコール[/ふりがな]守るべき人、じゃないと前もって覚えておいてください。まぁ、その上で話しても答えはNOです。」
[明朝体]「なんで?私が人の死を見て喜ぶような人間だから?」[/明朝体]
「別にそれだけじゃな」
[明朝体]「私、ノイトに何かした?ノイトに関係ある人を傷つけたり殺したりしてないでしょ?だったらどうして......?」[/明朝体]
「............。」
[明朝体]「私が今まで殺した人たちはみんなノイトのことも知らないだろうし、ノイトもあの人たちのことは知らないはずでしょ。赤の他人でしょ。それなのに、赤の他人のために私を殺せるの?」[/明朝体]
「......それは。」
[明朝体]「私にもその尊い命があるんでしょ?私、ノイトに嫌われるようなこと、まだ何にもしてないよ!」[/明朝体]
「............。」
ノイトが黙ったところでクロエが笑みを取り戻した。
[明朝体]「ふふっ、ごめんごめん。冗談だって。ちょっとだけノイトのこといじめたくなっちゃって。」[/明朝体]
「冗談に逃げる人間は信用できないんですけど......?」
[明朝体]「へぇ〜?ふぅ〜ん?本当にぃ?」[/明朝体]
(出た、一部の男どもが引っかかる、人をからかうときのテンプレ。僕も昔は引っかかってたやつ。)
[明朝体]「それじゃあ、こんなに近づいても自分から離れようとしないのは何?信用じゃないの?」[/明朝体]
「信用じゃないです。僕はただ興味がないだけ。仮に嫌がったとしてもあなたは変わらないでしょうし。」
[明朝体]「......ちゃんと考えてくれてるんだ、私のこと。好きなの?」[/明朝体]
「違います。」
[明朝体]「嫌い?」[/明朝体]
「“苦手”です。」
[明朝体]「それじゃあ......私と一緒にその“苦手”、克服しちゃお?」[/明朝体]
「あなたがそれを言うんですか?」
[明朝体]「まぁね〜。ノイトが苦しむ度に私は喜ぶと思うよぉ?私のこと苦手でも、ノイトは逃げないんでしょ?」[/明朝体]
「それは気分次第です。そのうち逃げます。」
[明朝体]「......へぇ〜。逃げるんだ。私から。」[/明朝体]
(あっ......。)
クロエの顔から笑みが消えた。依然としてその真っ直ぐとノイトを射抜いている視線はそのままだが、空間が凍りついたかのように動けなくなる。
[明朝体]「逃がすわけないじゃん。せっかく気に入ったのに......。一緒に居よ?」[/明朝体]
気がついた瞬間には全身が鎖で拘束されている。ノイトが反応できない速度。
[中央寄せ][太字][斜体][明朝体]⁅[漢字]悪夢[/漢字][ふりがな]ナイトメア[/ふりがな]⁆[/明朝体][/斜体][/太字][/中央寄せ]
ノイトが姿を黒い影のようにして拘束から脱した。しかし、すぐにクロエがナイフを投げつける。そのナイフがノイトの影に突き刺さり、ノイトは何故かダメージを負う。
[斜体](やっぱりヤンデレ相手はキツいか......!!)[/斜体]

[中央寄せ][大文字][斜体][太字][明朝体]〔[漢字]魔力...[/漢字][ふりがな]マギノ...[/ふりがな][/明朝体][/太字][/斜体][/大文字][/中央寄せ]

[明朝体]「それはダメ。」[/明朝体]
急に身体に力が入らなくなった。恐らくユリムが動けなくなった呪いと似たものだろう。
[明朝体]「ノイト。なんでそういうことするの?私はノイトのこと好きになったのに、ノイトは私のこと好きじゃないんだ。へぇ......どうして?こんなに好きなのに。」[/明朝体]
「......あなたにとっての僕と僕にとってのあなたは違います。別の人間である以上は考え方や気持ちが合わないこともあるでしょう。」
[明朝体]「そう......分かった......それじゃあ......。」[/明朝体]
クロエが動けなくなっているノイトに近づいてしゃがみ込んだ。
[明朝体]「1つになっちゃえば良いんだね!」[/明朝体]
(............何を言ってるんだ、この人は。)
[明朝体]「ふふっ...!最初からそうしちゃえば良かったのか〜。よし、それじゃあ早速......」[/明朝体]
「Wait!? 離れてください!」
ノイトが飛び退くと次の瞬間には目の前にクロエが居る。
[斜体](......!?)[/斜体]
[明朝体]「逃さないよぉ?」[/明朝体]
「否が応でも逃げます!」
ヤンデレが一度本気を出してしまえば周囲の人間にも危害が及ぶ。が、まだクロエが何かをしたわけではないため下手に手は出せない。
[明朝体]「ねぇなんでそういうこと言うの?なんで?」[/明朝体]
(うわっ......面倒すぎる......。)
気がついたらノイトはクロエによって床に押さえつけられていた。一体いつ動いたのか。
[明朝体]「悪い子にはお仕置きしないと......。ちょっとだけ痛いかもしれないけど、ノイトが悪いんだからね?」[/明朝体]
クロエの手にカッターナイフが現れる。それが容赦なくノイトの腹部へと向かってきた。
[斜体](やばっ)[/斜体]
そこでノイトを救ったのはラルカだ。ラルカの銃弾がクロエのナイフを冷気に変えた。
「......み、......ノイトに手を出すな。そいつは私の恩人だ。」
「......ラルカ......。研究館の方は?」
「メルク一人で十分だろう。それはそれとして、お前は私に何か言うことがあるはずじゃないか。」
「......助けてくれてありがとうございました。」
[明朝体]「邪魔しないで......!私のノイトなの!!」[/明朝体]
クロエは邪魔されたことに苛立っていて、ラルカに向かってナイフを無数に投げつけ始める。
「黙れ。ノイトは誰のものでもない。そうじゃなければ私は今こうして救われていないしな。」
「...?」
ラルカはクロエのナイフを見切って最小限の動きで躱している。クロエは適当にナイフを投げているだけであるためラルカ程の実力者であれば避けきるのも容易いだろう。
「貴様はなぜノイトを傷つけようとする?」
[明朝体]「好きだから。」[/明朝体]
「は......?」
[明朝体]「好きだから。聞こえなかった?」[/明朝体]
「好き......だからだと?それがノイトを傷つけようとすることとどう関係があるというのだ?」
[明朝体]「いや、だってさ......好きなものってすごく思い入れが強いものでしょ?だから、壊れちゃうと心がぎゅっとするの。」[/明朝体]
「......それでノイトを壊そうとしているのか。」
[明朝体]「そうだよ。」[/明朝体]
「そうか......なら......良い......。[大文字]それ以上喋るな。[/大文字]」
ラルカがキレたようだ。ラルカが引き金を引き、それがクロエが出したナイフに当たって消滅した。と同時にラルカはクロエへと突っ込んでいく。
[明朝体]「ノイトは私のものなの。それを[漢字]奪[/漢字][ふりがな]と[/ふりがな]ろうとしてるんだったらあなたも殺すよ?」[/明朝体]
(物騒な会話だな......。でも!)
ノイトはクロエを振り払って【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を拾った。が、クロエはノールックでノイトに向かって手を翳す。

[中央寄せ][明朝体]⌊[漢字]紡糸[/漢字][ふりがな]コネクト[/ふりがな]⌉[/明朝体][/中央寄せ]

次の瞬間、ノイトは赤い糸によって縛られていた。クロエの手の動きに合わせてノイトの身体が動く。
([[漢字]操り人形[/漢字][ふりがな]マリオネット[/ふりがな]]......!? いや、少し違う...!)
ノイトの身体がラルカの方へと飛びかかっていった。手には【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を持っているため今のノイトの攻撃を喰らえばひとたまりもないだろう。
[斜体]「ラルカ!僕から離れて!!」[/斜体]
ノイトが魔力を抑え込んでいるとは言え、この武器は魔神の禁忌魔術や[漢字]忘我[/漢字][ふりがな]フロー[/ふりがな]状態のノイトのガバついた魔力にも耐えられるものである。
ラルカは流石に怖気づきそうにもなったが、逆に一歩踏み出した。
「“僕は何事にも縛られないよ。”......そう言っていたのはお前だろう。強い意志を持っていれば[漢字]諂[/漢字][ふりがな]へつら[/ふりがな]うこともないのではなかったのか。」
「それは......。」
「今のお前の恐れがお前の自由を奪っているのだろう。このビビりめ。」
ラルカに向かってノイトの武器が振り払われるがラルカは微動だにせず真っすぐとノイトを見据えている。
[斜体](どうしてそんなに真っすぐな目で僕を見られるの......?! 僕は今ラルカのことを攻撃してるのに......。)[/斜体]
少しだけノイトの脚が糸の軌道からズレた。
[明朝体](“僕は”......じゃないか。今攻撃を仕掛けているのはクロエだ。僕がラルカを攻撃する形でラルカを始末すると同時にその罪悪感で僕を支配しようとしてる。相手の思惑通りになるのは趣味じゃない.......。常に狙うなら予想外を!)[/明朝体]
それでも糸の強制力は強い。[漢字]忘我[/漢字][ふりがな]フロー[/ふりがな]状態ではないノイトでは指1本の欠損でも回復に時間がかかるため無理に抵抗することも無理があった。
後ろに引き下がらなかったラルカの頬が一文字に斬れる。しかしそれ以上深くは行かなかった。
「......。」
動かないノイトとラルカを見てクロエが不思議そうに眺めている。
[明朝体]「ノイト、どうしたの〜?さっさとやっちゃいなよ、私のために。」[/明朝体]
ノイトの手がラルカへと伸びる。が、その手はラルカの頬を治癒魔法をかけるために使われた。
[明朝体]「ねぇ、何してるの。そんなこと命令してないんだけど?ノイトは私のものなんだから私に従わ」[/明朝体]
「クロエさん。あなた、ただ僕のことを支配したいだけでしょう。」
[明朝体]「......え?」[/明朝体]
「僕には好きな人を傷つけようとする気持ちが分かりません。あなたの[漢字]操作[/漢字][ふりがな]それ[/ふりがな]は僕を手中に収めたいだけの手段にしか見えないです。」
[明朝体]「何言ってるの...?これが“好き”って感情でしょ?!」[/明朝体]
「それはそうかもしれないですけど、恋愛感情と関係あるものですか?」
[明朝体]「好きなことに変わりはないでしょ!それは良いからさっさとそんな女のこ」[/明朝体]
「“そんな女”?ラルカは僕の大事な[漢字]友達[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]ですよ。貶すつもりならそれ相応の覚悟を持ってください。」
「......。」
ノイトの真剣な眼差しによってクロエの糸の力が強くなる。赤い糸が強引にノイトを動かそうとしたため糸がノイトの四肢に食い込むがノイトは動かなかった。
[明朝体]「なんで!? 動いて!動いてよぉ!!」[/明朝体]
「嫌です。」
[明朝体]「......どうしても?」[/明朝体]
「はい。」
即答。揺らぐことのない視線に耐えきれなくなったクロエは俯きながら苛立ちを抑え込もうとする。
[明朝体]「でも、ノイトは私に従わなくちゃいけないんだよ?だって、私はノイトと違って......。あぁ!もう良い!!」[/明朝体]
クロエの背後に巨大な何かが現れた。紋様のような魔法陣のような何か。
(何だ......召喚獣ではなさそうだし、僕が知らない魔法体系......?)
魔力が集中していくのを感じる。前世で観たことがあるアニメにも似たような演出があった。
(砲台......。)
ラルカは先程からずっと突っ立っているままであるため、ノイトが立ち向かっていく。【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を構えて──。

[中央寄せ][大文字][斜体][太字][明朝体]〔[漢字]魔力反射[/漢字][ふりがな]マギノ・リフレクト[/ふりがな]〕[/明朝体][/太字][/斜体][/大文字][/中央寄せ]

放たれた魔力の砲撃を弾きながら距離を詰めていき、クロエの間合いに入る。
[明朝体]「もうノイトの最後の顔だけ見れたらそれで良い。」[/明朝体]
「睨めっこなら鏡に向かってやってれば良いんじゃないですか。僕である必要がないでしょう。」
[明朝体]「やだ。ノイトのが良い。だからそんなに余裕振らないで。」[/明朝体]
砲撃の数と出力が上がった。しかしまだノイトには余裕がある。その様子がまたクロエを苛立たせている。
[明朝体]「なんで......?なんでそんなに涼しい顔していられるの?そんな顔やめてよ......私には眩しすぎるから......お願い......。」[/明朝体]
[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]にノイトの魔力が込められていく。しかしそこでクロエの背後の方陣から広範囲の砲撃が放たれた。避けるのも弾くのも間に合わない。
(相手も相手だし、ここは......受け切る!)

[中央寄せ][大文字][斜体][太字][明朝体]〔[漢字]魔力防御[/漢字][ふりがな]マギノ・シールド[/ふりがな]〕[/明朝体][/太字][/斜体][/大文字][/中央寄せ]

ノイトが砲撃を受け止めてクロエの表情が強張っていった。
[明朝体]「なんで...なんでそんなにも真っすぐでいられるの......?だって、友達を傷つけたんだよ?頭おかしいんじゃないの?なんで[漢字]表情[/漢字][ふりがな]かお[/ふりがな]が曇らないの......?」[/明朝体]
ノイトの防御にヒビが入るが、当の本人の表情には精神的な余裕がある。
[明朝体]「曇れ......曇って......。」[/明朝体]
クロエの魔力量が劇的に増幅した。
[明朝体][斜体][大文字]「曇ってよォ!!」[/大文字][/斜体][/明朝体]
「倒れろ、弥哲。」
ノイトが笑みを漏らして後ろへ倒れたのとノイトの魔法が打ち破られたのは同時だった。しかし、刹那に静かに空気を打ち破るような発砲音がする。ノイトにクロエの砲撃が当たる直前に銃弾がそれを冷気に変えた。何かが萎むような情けない音とともに冷気が吹き抜け、ノイトを挟んでクロエの向こう側にはラルカが居た。
ボーっとして天井を見つめていたノイトの目は何か懐かしいものを見ているようだったが、ラルカはノイトの目を覚まさせる。
「何を笑っている。ボーっとしていないで早く立て。」
「......ふふっ、ごめんごめん。ちょ〜っとばかし昔のこと思い出しててね。」
「......。」
ラルカでさえ今まで一度もノイトの口から聞いたことがない言い方。ただふざけているわけではない。ノイトの今まで見せたことがない一面が少し見えただけである。
(そうか......お前は私と同じで......いや、違って......独りが好きなんだな。)
「よっと。ラルカ、メルクの方に行ってあげて。後は僕がやる。」
「......分かってるんだろうな。」
「大丈夫。もう勝手に置いていったりしないよ。約束する。」
それを聞いてラルカは研究館へと続く通路の方へと再び駆け出していった。今不機嫌なのはクロエである。
[明朝体]「なんで曇らないの......?なんで、そこまで真っすぐで居られるの...?眩しいよ......。」[/明朝体]
「僕は、かっこいい人間で居たいんですよ。いつも誠実で、自分を貫いていけて、生き生きとしている人が好きなんです。だから、僕がそうなってる。」
[明朝体]「......私じゃ、ダメだったんだ......。あの子はノイトにそっくりだね。心が通じ合っていて、常に信頼出来て、お互いのことを大切にしている......。なんで、私はダメだったの......?」[/明朝体]
ノイトは首を傾げてわざとらしく呆れてみせた。そして息を深く吸ってから答える。
「あなたがおかしいからじゃないですか?」
[明朝体]「え......すごいノンデリ発言......。」[/明朝体]
「僕もそれは自覚してます。だけど、自分かわいさで諂う気はないんで。理解した上でこういう発言をしているんですよ。」
[明朝体]「......そう、そこは同じってことね。それで、私はどう変われば良いの......?」[/明朝体]
「変わる必要はないですよ。そのままで良いです。それがあなたなのであれば、僕はそのまま受け止めるつもりですし。」
[明朝体]「でも、このままじゃノイトは私のものじゃなくなっちゃう......。」[/明朝体]
「それは諦めるか、もしくは全力で取りに来てください。僕はあなたのものに鳴る気なんて毛頭ないですけど、だからといって効率重視で簡単に引き下がれる程、あなたの感情は単純なものではないでしょう。」
[明朝体](......え?良いの?全力の私で......ノイトのことは欲しいし壊したいけど、どうしてそこまで潔く居られるの......?)[/明朝体]
「ほら、かかってきてくださいよ。僕の表情を曇らせたいんでしょう?理論上可能なことなんで、強引にでもやればいいです。」
ノイトの眼差しは真っすぐで嘘偽りのないものである。本来ならクロエが最も嫌っているもの。しかし、それ以上に嫌なものから目を逸らそうとしないノイトの在り方に惹かれていた。
[明朝体]「......そうだね。崩し甲斐がある、ってことにしておく。ノイトが御膳立てしてくれるんだったら、それを利用するまでのこと。」[/明朝体]
クロエの魔力が再び昂って砲撃の準備が為される。対するノイトは【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を拾うでもなく、クロエの準備が整うのを待っていた。自分の方が格上だという、ノイトなりの[漢字]挑発[/漢字][ふりがな]アピール[/ふりがな]。
[明朝体]「ノイト......あなたと会えて良かった。だから、壊すのは惜しいけど。有耶無耶になる前にこれだけ言わせて。私を受け入れてくれて、ありがとう。」[/明朝体]
「......好感度上げようとしてます?あなたはもう倒すって決めたんで無駄ですけど。感情に支配されている人が僕を支配したいだなんて嗤っちゃいますよ。」
[明朝体]「ふふっ......そうかも[斜体][大文字]ねっ![/大文字][/斜体]」[/明朝体]
クロエの砲撃が再開された。先程よりも速く正確ではあるが、ノイトは涼しい顔をしてすべて避けきっている。
[明朝体]「げっ......舐めプ?馬鹿にされたものだね。」[/明朝体]
少なからず嫌悪が混ざった本音ではあるが、口元には笑みが浮かんでいた。
[明朝体]「まだ余裕なら......もっと増やしても大丈夫だよね?」[/明朝体]
先程の砲撃に加えて飛び交うナイフと赤い糸が広間に張り巡らされた。恐らく触れれば動きを封じられるものだ。丸腰の状態のノイトにとっては次第に居場所を奪われていく針の筵。場を支配していくクロエにも怖気づかずにノイトは攻撃の間をすり抜けていって距離を詰めた。
途中でナイフがノイトの顔を掠める。
[明朝体]「フフッ......良いね、その目。さっきとは違って必死になっている。でも、避けるのに必死だとか、生きるのに必死だとか、そういう目じゃないのがちょっとだけ残念。今のノイトはただ真っ直ぐに私のところへ来て......。」[/明朝体]
「ただあなたの気が済むまで続けるだけ、ですよ。」
([[漢字]反[/漢字][ふりがな]アンチ[/ふりがな]-[漢字]確定軌道[/漢字][ふりがな]オービット[/ふりがな]]は使ったけど、それでもナイフは僕を掠めた。当たることを確定された状態であればもっとグサグサ刺さるはずだし、なんか妙だな......。)
ノイトはクロエの猛攻をどこかで楽しんでいるようだった。だからこそ、ノイトが取り繕っていた余裕が壊れかけている。


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
今回はノイトとクロエの対峙を描きました。最近ラルカばかり絡んできてリーリャが朧げになってしまっているのは後々頑張って取り返します。次回もお楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観についての質問も受付けています。
本作品を読んでいただき、ありがとうございました!!

2026/05/12 07:02

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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