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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

また、一部微細な暴力表現が含まれている場合があります。
これを苦手とする方は閲覧をお控えいただくことをお勧めします。

【せかゆめ1周年!これからもよろしくお願いします!】

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世界に溢れる夢

#112

112.忘我と還俗

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

思考を放棄したノイトは[漢字]忘我[/漢字][ふりがな]フロー[/ふりがな]状態になり、もはや世界の現象と化している。膨大な魔力が溢れ出す災害。それが個体である魔神へと突っ込んでいった。
[明朝体][大文字]「...!? 思考を捨て去ったか...だが、その一撃も防いでしまえば我のも...」[/大文字][/明朝体]
魔神の言葉が途切れ、代わりに聞こえるのは地を割る轟音。そこにはノイトに蹴り飛ばされたアレソティラスが居た。
[大文字][明朝体]「...っ、ガハッ......。なかなかどうして、やるではな...」[/明朝体][/大文字]
続けて空に穴が空き、夜空が見えた。雲を吹き飛ばしてそのさらに上に殴り飛ばされたアレソティラスは自分が何なのかも忘れて心の中でぼやく。
[明朝体][大文字](バケモノめ...!)[/大文字][/明朝体]
制御のなっていない魔力の暴走は、肉体が持たない。しかし、ノイトの器はその限りではなかった。
[明朝体][大文字]「天上決戦...悪くないだろう......ここなら、どれだけ暴れても勝手だからなぁ...。」[/大文字][/明朝体]
魔神も魔力を解放して白い毛皮のような鎧を纏う。[漢字]忘我[/漢字][ふりがな]フロー[/ふりがな]状態のノイトは相変わらず静かな呼吸とともに魔力を吐き出すだけだが、その目は真っ直ぐとアレソティラスを見据える。
次の刹那、アレソティラスは高速で空中を駆け出した。ノイトが無詠唱で上級魔術〘ᚺᛖᛚᛚ'ᛋ ᛁᚾᚠᛖᚱᚾᛟ〙を放つ。魔神はその魔術を躱してさらに移動するが、間髪入れずノイトの魔術が魔神を襲った。光る爆煙の中から飛び出した魔神の姿はもう人に近い形ではなく、白く輝く皮を纏った神聖な獣のようなものだ。ノイトが軽く手をかざすと背後に皓い立体が生み出されたが、形を保てずに砕けて消滅した。恐らく、[漢字]忘我[/漢字][ふりがな]フロー[/ふりがな]状態では膨大な魔力量という条件は満たしていても、制御が出来ていないからだろう。
その代わりにノイトは魔力を放出した。凄まじい勢いで放出されたノイトの魔力はノイトと魔神の周囲を囲い、およそ等間隔に並ぶ。次の瞬間には、その全てから同時に膨大な魔力と皓い光が放たれた。
[明朝体][大文字][斜体]「ぎっ......!?」[/斜体][/大文字][/明朝体]
高速で駆け出した魔神に魔力の砲撃が命中する。絶えず駆け続ける魔神だが、その衣が魔力を吸収しているようだった。それでも一瞬のうちに吸収出来る量には限りがある。結果的にアレソティラスはボロボロの状態になった。
[明朝体][大文字]「...ッハァ......ハァ.........。」[/大文字][/明朝体]
静かな天上に響くのは冷たい風の音と魔神の荒げた息、そして深くゆっくりと溶けていくノイトの呼吸音だけ。アレソティラスは生まれてからまだ1日も経っていない。それでも組織の技術を組み込んだ最高傑作だ。魔神が組織を背負う義理など微塵もないが、それでもその実力と才能を与えてくれたのは組織の研究者たち。
[明朝体][大文字]「...少年。名は何と言う...?」[/大文字][/明朝体]
[漢字]忘我[/漢字][ふりがな]フロー[/ふりがな]状態のノイトにはその声は意味のある声として届いていない。今のノイトにとっては光や音、感触といった情報の一部に過ぎないからだ。よってノイトは何も答えない。だからと言って魔神が執拗に聞き出すようなこともしない。
[明朝体][大文字]「...答えぬか......なら、これは我の独り言だ。」[/大文字][/明朝体]
アレソティラスはノイトに向かって一方的に語りかける。
[明朝体][大文字]「我は今、純粋に戦いを楽しんでいる。緊迫した状況で感じる愉悦。退屈を破る意表を突いた行動。どれも生まれ落ちたばかりの我には新鮮なものであり、新しい学びがあった。今のお前が答えないのは分かっている。だから、今から言う音の羅列は聞き流して欲しい。」[/大文字][/明朝体]
ノイトの視線は一切揺らぐことなく魔神を見据えていた。ノイトは依然としてそのままだ。その様子を見て僅かに残念そうな気持ちが瞳の奥に映ったアレソティラスは、語り聞かせるように、しかし独り言のように言う。
[明朝体][大文字]「もし、我が魔神としてではなく、1人の人間として生まれていたら...互いの思想について語らいたかった。」[/大文字][/明朝体]
それは魔神である以前に、一つの意思ある存在としての思いだった。それは冷たく静かな夜空に吸い込まれる。しばらくの間静寂が訪れ、魔神はただ虚空を眺めた。[漢字]忘我[/漢字][ふりがな]フロー[/ふりがな]状態のノイトには敵わないことが理解出来ているため、残された時間を噛みしめるように深く呼吸をする。やがて、ノイトの口はゆっくりと開かれ、その思いは綴られた。

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

リーリャは目で追えない速度で移動するノイトのことを心配していた。
(ノイト...1人で抱え込みすぎないで、っていつも言ってるのに......!)
[太字][明朝体]「...リーリャ様?」[/明朝体][/太字]
静かに立ち上がったリーリャは空を見上げる。雲で覆われていた空の一部から星が見えた。そこにはノイトの姿はないものの、その雲の上でノイトがどこか遠くへと行ってしまいそうなことだけは感じている。
(...お願い、ノイト。行かないで......。)
ぎゅっと拳を握ると、手首にじんわりと熱が伝わってきた。安心する温もり。その気配は確かにノイトのものだ。リーリャの思いは、ノイトの魔力にもかき消されることなく届く。

全てが溶けていくような感覚の中、手首にある感覚が伝わってくる。視線は向けられないが、その温もりとそれから感じる思いはリーリャのものだ。
[太字][大文字](......何だっけ、これ。)[/大文字][/太字]
朦朧とした意識にぼんやりと何かが浮かび上がってくる。1人の少女。その少女は笑顔でこちらを見ている。幸せそうな笑顔。見ているこちらまで無性に嬉しくなってきた。
[太字][大文字](...リーリャ......?)[/大文字][/太字]
それを認識した途端、少しずつ感覚が戻ってきた。頬に当たる風は冷たい。燃えるように盛っていた内なる感覚は、外の気温に冷やされるようだった。
[太字][大文字](...冷ます......ってこういう感じか...。)[/大文字][/太字]
やがて感覚が戻ってきて、気がつけば脳裏にアレソティラスの言葉が張り付いていた。

 ──もし、我が魔神としてではなく、1人の人間として生まれていたら...互いの思想について語らいたかった。

静寂の中でその言葉が残されている。肌に心地よく当たる冷めた風の感覚が頭を冷やし、ノイトの口は自然と動いていた。
「...それは違うよ。......僕は相手が魔神であろうが人間であろうが、その存在なりの論理と思想があるなら純粋に尊敬する。例えそれが僕のものと異なっていてもね。」
目の前に居る魔神の姿は変わっていた。獣のような外見となっていて、4足で宙に立っている。白く輝く衣は魔具などとは比べ物にならない程丈夫に見えた。
ノイトは手首に僅かに残っていた感覚を心で握りしめながら自分を思い出す。
「...僕は、ノイト=ソルフォトス。ちょっと頭がキレて、周りに恵まれて、偶然論理的な思想を持っただけの、ただの子ども。
この世界でも、あの場所でも。たった1人のちっぽけな人間だけど、たった1人の、誰かに愛されている人間。」
目が完全に冴えた。頭も呂律も回ってくる。自然と口角も上がってきて、生きているという感覚が呼び起こされた。
「カッコつけられるだけで調子に乗って、その度に周りの好感度を無意識のうちに上げてて...それなのに“ハーレムは御免だ”とかほざいてる厨二病。謙遜で自分よりも恵まれなかった人たちを知らず知らずの内に傷つけて、目の前の大事な人だけを守るためにそれ以外を切り捨てた、不平等な人間。だから...。」
笑みを浮かべて頬を赧めた状態のノイトはアレソティラスを真っ直ぐと見つめ直す。
「僕は、不平等に。理不尽に。飽きるまでお前と遊んで、飽きたらやっつける。身勝手だけど、それが僕だよ。余裕ぶって踏み外したって、心配し過ぎて踏み出せなくたって、それが在るが儘に事実。僕はそれを否定したくない。」
アレソティラスは笑みを浮かべて答えた。
[明朝体][大文字]「...そうか。それがノイト、お前の思想なのだな...。我も応えなければ我のプライドが許さん。我は“全能の魔神”アレソティラス。与えられし、恵まれし者。この世に生まれてエゴのままに生きる者だ。」[/大文字][/明朝体]
ノイトはいつの間にか落としていた【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を手元へと転送し、それを構える。
「僕を飽きさせないように、せいぜい頑張ることだね。」
[明朝体][大文字]「フッ...どの口で?」[/大文字][/明朝体]
互いが再び衝突する。

[中央寄せ][大文字][斜体][太字][明朝体]〔[漢字]魔力斬[/漢字][ふりがな]マギノ・ガッシュ[/ふりがな]〕[/明朝体][/太字][/斜体][/大文字][/中央寄せ]

アレソティラスはその斬撃を弾き飛ばした。
[斜体]「ハハッ...マジか!」[/斜体]
[明朝体][大文字]「当然だ。」[/大文字][/明朝体]
アレソティラスの拳は一瞬でノイトを叩き落としてノイトは地上に衝突するが、直前にアテルが飛び込んできてノイトを包みこんだため無傷だった。多少ダメージはあるものの、戦闘に影響はない。
「アナタ、隕石にでもなったんですか?もう、怪我したら私が困るんですけど〜!ほら、さっさと行っちゃってください!」
一瞬の間だったため、ノイトの返事は漏らした笑みと力強い蹴りだけだった。再び空へと跳び上がったノイトの武器は大気を切り裂いて魔神へと迫る。

[中央寄せ][大文字][斜体][太字][明朝体]〔[漢字]記憶の再現[/漢字][ふりがな]メモリー・フラッシュ[/ふりがな]〕[/明朝体][/太字][/斜体][/大文字][/中央寄せ]

再現された記憶は、ノイトの思想のすべて。それらを見たアレソティラスは感慨深そうにそれを読み解いていく。ほんの一瞬だったが、それはアレソティラスを満足させるには十分だった。
[大文字][明朝体]「ノイト=ソルフォトス...お前の思想は我の記憶に刻みつけておくことにしよう。まだ何かあるか?」[/明朝体][/大文字]
「カツアゲか何かなぁ...?ターン制って知ってる?」
重い一撃がアレソティラスの拳と激突する。
[明朝体][大文字]「我は学ぶ側の存在だ。まだ生まれて1日と経っていないのでな。」[/大文字][/明朝体]
「時間を免罪符には使わないで欲しいんだけど...?」
[明朝体][大文字]「まぁ、これは一つの手段としてある選択肢であろう。是非とも魔法や魔術についても教わりたい。」[/大文字][/明朝体]
「えぇ...禁忌魔術使ってたじゃん。わざわざ僕に聞かなくても...。」
[明朝体][大文字]「あれは我の脳に事前に刻まれた指示書通りに魔力を操作しただけだ。基本的な魔法や通常の魔術についての知識はない。」[/大文字][/明朝体]
「よく“全能の魔神”名乗れたね。」

[中央寄せ][大文字][斜体][太字][明朝体]〔[漢字]魔力打撃[/漢字][ふりがな]マギノ・スパンク[/ふりがな]〕[/明朝体][/太字][/斜体][/大文字][/中央寄せ]

互いの攻撃が相殺されて弾かれる。ノイトはまだ自身の魔力の制御が効いていないことを確認してアレソティラスへと話しかけた。
「魔力操作は出来るでしょ?それなら、後は魔法のイメージとそのカバーさえ出来れば十分だと思うよ。」
[明朝体][大文字]「なるほど。暴走や被害を抑え込むために外側からのカバーに重きを置くか。面白い。」[/大文字][/明朝体]
「どうも〜。」
[明朝体][大文字]「では、これでどうだ?」[/大文字][/明朝体]

[中央寄せ][大文字][明朝体][太字][斜体]『[漢字]渦嵐[/漢字][ふりがな]サイクロン[/ふりがな]』[/斜体][/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]

アレソティラスが放ったのは上級魔法。魔神の魔力であるためその威力は下手な魔術よりも高い。ノイトはそれを防御魔術で防いだ。
「ん〜、悪くないけどチョイスが微妙いかな。雲の上だと地上程被害が目に見えるものじゃないからね...。」
[明朝体][大文字]「では、続けよう。その防御魔術...見た所術式構成を組み上げたものだな?」[/大文字][/明朝体]
「おぉ...御名答。」
[明朝体][大文字]「ならば...こうか?」[/大文字][/明朝体]
アレソティラスの周囲に巨大な術式構成が現れた。平面的な設計図が立体へと展開し、やがて圧縮される。
[明朝体][大文字]「[漢字]構成[/漢字][ふりがな]イメージ[/ふりがな]は掴んだ。これを小規模で行えば良いのだな。」[/大文字][/明朝体]

[中央寄せ][太字][大文字]中等魔術:〘ᚱᛁᛈ〙[/大文字][/太字][/中央寄せ]

アレソティラスが放ったのは初等魔術『ᛈᛁᛖᚱᚳᛖ』の派生技で、圧縮した魔法を同時に多数射出するものだ。ゲデニスと戦ったときのノイトの残された僅かな魔力でも魔神の肉体を貫くだけの威力はあるものが、今は魔神の魔術で、しかも多数放たれた。

[中央寄せ][大文字][斜体][太字][明朝体]〔[漢字]魔力防御[/漢字][ふりがな]マギノ・シールド[/ふりがな]〕[/明朝体][/太字][/斜体][/大文字][/中央寄せ]

アレソティラスの魔術はノイトの魔法に全て防がれたものの、アレソティラスはそれも学習の一つだと認識している。
[明朝体][大文字]「うむ...これも経験か。次はお前の番だぞ?」[/大文字][/明朝体]
「別に僕は戯れる気はないんだけどなぁ...。でもまぁ、さっき“不平等に、理不尽にお前を倒す”って言ったしいつでも僕達にやられる覚悟くらいはしててよね?」
(...にしても、魔神の魔術でも防げるこの魔法の効果を打ち消して冷気に変えたラルカの銃弾......スゴいな。)
ノイトのアレソティラスへの関心は段々と薄れていく。逆に、今すぐにでも倒してしまいたいくらいだ。その時、ふと下の方から視線を感じてそちらを向く。すると、そこにはアテルとレイク、カメリア、ラルカ、イグの姿があった。幸い、全員五体満足で意識もあり、戦闘続行可能な状態であるようだ。ラルカの[漢字]拳銃[/漢字][ふりがな]ハンドガン[/ふりがな]では射程圏外。レイクやカメリアやイグでもここまで高い場所まで跳ぶことが難しい。
(半端...ってわけでもないけど、超が付く程でもない遠距離と近中距離...。リオールさんとフィルさんには万が一の時の補助のために魔力と体力は残しておいて欲しいし、ルミナはここまで高い場所まで昇ってこれない...いや、[漢字]小夜啼鳥[/漢字][ふりがな]ナイチンゲール[/ふりがな]なら行ける...?それでもか。普通に落ちたら危ない。僕が地上に降りるか...。)
「ちょっと、場所変えない?」

ノイトと魔神が地上に降りてきた。魔神の外見は変貌していて、白く輝く衣を纏った獣のようだった。その魔神の魔力は先程よりも溢れ出していて、まるでノイトの溢れ出す魔力に呼応しているようだ。
「ノイト...!」[太字][明朝体]「お兄ちゃん!」[/明朝体][/太字]「ノイトくん!」「ノイトくん!」「ノイトさん!」
リーリャたちはノイトのことを呼んだ。今度はちゃんとその耳に届いている。ノイトはゆっくりと振り返り、返事をした。
「ただいま。」
ノイトは再び【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を構え、[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]に魔力を込めていく。
[明朝体][大文字]「あいも変わらず、悍ましいな...。ノイト、お前に出会えて我は嬉しく思うぞ。」[/大文字][/明朝体]
「あっそう...。勝手に思っとけ。」

[中央寄せ][大文字][斜体][太字][明朝体]〔[漢字]魔力刺突[/漢字][ふりがな]マギノ・スタッブ[/ふりがな]〕[/明朝体][/太字][/斜体][/大文字][/中央寄せ]

アレソティラスの防御魔術に防がれる。リオールとフィルマリーはそれを見て警戒した。
「あの魔神...上級魔術まで......。」
「先程は使うまでもなかった...?でも、あの魔力量ならわざわざ攻撃を受ける必要もなかったはず...。もしかして、今学んだ...?」
どうやら先程まで昂っていたフィルマリーの魔力も落ち着いたようだ。普段よりも思考が安定している。ノイトの攻撃はそのままアレソティラスの防御魔術を貫こうとしている。まさに矛と盾。しかし、ノイトが持っているのは矛だけではない。

[中央寄せ][大文字][太字]上級魔法:〘ᛞᛁᚡᛁᛞᛖ ᛁᛏ〙[/太字][/大文字][/中央寄せ]

アレソティラスの防御魔術が砕け、その刺突が魔神の肉体に当たった。しかし、魔神の衣はそこまでヤワではない。ノイトの魔力と[漢字]青白磁の金属[/漢字][ふりがな]サスロイカ[/ふりがな]製の魔具を持ってしてでもその衣を貫くことは出来なかった。
(膠着......だっただろうな。サシの勝負であれば。)
そのとき魔神の背後で白刃が光る。

[中央寄せ][明朝体][斜体]立合[太字][[漢字]骨喰[/漢字][ふりがな]ほねくい[/ふりがな]][/太字][/斜体][/明朝体][/中央寄せ]

イグの刀はアレソティラスの脚を一本崩した。しかしそれでは魔神は倒れない。続けて[漢字]その技[/漢字][ふりがな]オワリ[/ふりがな]がさらにもう一本の脚を崩した。

[中央寄せ][大文字][太字][明朝体]〔[漢字]終焉の爪痕[/漢字][ふりがな]アポカリプス[/ふりがな]〕[/明朝体][/太字][/大文字][/中央寄せ]

脚の2本程度で怯む相手ではない。それでも脚を再生させないのはノイトに集中しているからだ。ルミナスの剣がノイトに加勢しようと振るわれる。

[中央寄せ][大文字][明朝体][太字]〔[漢字]光の長剣[/漢字][ふりがな]デュランダル[/ふりがな]〕[/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]

ルミナスの白い魔力を纏った剣が黎い光を放ち、魔神の白く輝く衣に当たる。しかし、依然としてその衣はびくともしない。リオールが上から上級魔術で援護した。

[中央寄せ][大文字][太字]上級魔術:〘ᚳᚱᚢᛋᚺ ᛁᛏ〙[/太字][/大文字][/中央寄せ]

魔神の背中に真っ直ぐと肺腑を圧搾するような轟圧が放たれる。
[大文字][明朝体]「ぐあっ...!!」[/明朝体][/大文字]
恐らく内蔵は押しつぶされたであろうその魔術すらも、その衣は通さなかった。
[斜体](どれだけ硬いんだこの毛皮...!点に集中しても衝撃が分散されて通らないし、面で削ぎ落とそうとしても質が足りない...!!)[/斜体]
遠くからベルリスの援護で矢が飛んでくるが、それすらも弾かれる。ノイトは一縷の望みを懸けてその弾に思いを託した。
[斜体]「ラルカ!!」[/斜体]
魔術による轟音を裂いてブレることなく撃ち放たれたその銃弾が魔神の衣に命中する。すると、魔神の衣に染み込むようにして纏っていた魔力が大量の冷気として噴き出した。
[斜体]「寒っ!!」[太字][明朝体]「ひゃあっ!!」[/明朝体][/太字][大文字]「んっ...。」[/大文字]「ぬぅっ...。」[/斜体]
[斜体](こんなに膨大な魔力が...ショックフリーザーみたいだ...!!)[/斜体]
しかし、これで少しはマシになったはずだ。ノイトとルミナスは武器に加える重みを増やした。2人の武器は[漢字]青白磁の金属[/漢字][ふりがな]サスロイカ[/ふりがな]製。どんなに魔力や衝撃を加えようとも破損するような代物ではない。
そしてついに、その衣を引き裂いた。ノイトの服は僅かに凍っていたが、ルミナスは聖骸のお陰で無事なようだ。
(ふぅ...やっと刺さった.........ん?)
そこで違和感に気が付いた。刺さった武器が抜けないのだ。恐らくリオールの魔術で圧迫されて固くなった内蔵につっかえているのだろう。このままではアレソティラスの次の手を喰らってしまう。
[斜体](もうモロは嫌だな...。)[/斜体]
[斜体]「ごめん、ルミナ!ちょっと我慢してて!!」[/斜体]
[斜体][太字][明朝体]「え?お兄ちゃ...」[/明朝体][/太字][/斜体]
ノイトはルミナスを蹴り飛ばして無理やり魔神から引き剥がした。鎧の部分を蹴ったためルミナスへのダメージは限定的だ。蹴り飛ばされてもレイクがキャッチしてくれている。ノイトは素早く【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を引き抜こうとするが、全く動かない。アレソティラスの前脚がノイトへと飛んだ。その瞬間にノイトの目の前には防御魔術が張られ、その隙に後ろへと跳び、ダメージを可能な限り抑えようとする。
[斜体](フィルさん...いつもタイミングがピッタリ...!!)[/斜体]
無詠唱で目の前の地面で壁を創り、腕で防御を固めた。直後、防御魔術と地面の壁が砕ける音が聞こえて構えた腕に凄まじい衝撃が走る。
[斜体](......ッ!!)[/斜体]
そのまま飛ばされたノイトはフィルマリーのぬいぐるみであるレクトゥスに抱えられてそれ以上のダメージを喰らわなかった。フィルマリーが駆け寄ってくる。
「ノイトさん!大丈夫ですか!?」
「はい、お陰様で何とか...。」
「あれ...ノイトさん、[漢字]忘我[/漢字][ふりがな]フロー[/ふりがな]状態になってましたよね?どうやって戻ってきたんですか?」
フィルマリーの問いを聞いてノイトは口元を綻ばせる。
「あぁ...引き戻してくれた人が居るんですよ。」
「あの状態から...?一体誰が...。」
ノイトは脳裏に浮かぶ笑顔を思い出した。思い出すだけで自然と笑みが零れてしまう程に明るくて、眩しくて、純粋な幸せ。

「僕の大事な、[漢字]最愛の人[/漢字][ふりがな]パートナー[/ふりがな]ですよ。」


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
今回は忘我(フロー)状態になったノイトの“全能の魔神”アレソティラスろの戦闘と、溢れる魔力を制御したノイトの様子を描きました。次回もお楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観についての質問も受付けています。
本作品を読んでいただき、ありがとうございました!!

X(旧Twitter)でも受付けております!

2026/03/01 15:38

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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