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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

また、一部微細な暴力表現が含まれている場合があります。
これを苦手とする方は閲覧をお控えいただくことをお勧めします。

【せかゆめ1周年!これからもよろしくお願いします!】

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世界に溢れる夢

#111

111.道標

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

目を閉じて眠りに落ちたはずのノイトは目の前に暗い空間が広がっていたことに気が付いた。先程この世界に来た際に見たのと同じ場所。しかし、帰り道が分からない。一歩進もうとしたが、右手に何かを感じて足を止めた。振り返ると、リーリャが立っている。
(リーリャ......そっか。離さないって言ったもんね。)
リーリャが口を動かしたが、音は聞こえない。しかし、口の動きでは“私も一緒に行くよ。”と言っているようだ。ノイトは頷き、手を繋いだ2人が暗い空間の中を歩いていく。
(何も分からない...あっち?いや...あっちかな...?)
リーリャの口は“迷子になっちゃったね。”と言っている。静かで、暗くて、他には何も無い。リーリャの手の感覚以外は夢の中のようだった。しばらく歩いていると、何かが聞こえた気がした。
(これは......!)
ルミナスが鳴らした、ノイトがプレゼントしたオルゴールの音色だ。暗く何も聞こえない空間に、熱以外に音という手がかりを感じる。ノイトはリーリャと顔を見合わせて頷き、音が聞こえる方へと向かっていった。少しずつ音が大きくなっていき、薄っすらと明るい場所に辿り着く。すると、突然繋いでいたノイトとリーリャの手が離れてしまった。
([斜体]リーリャ![/斜体])
しかし、ノイトがリーリャにプレゼントした指輪が光り、2人の手首を繋ぐ蒼い糸が現れた。それが2人を引き止め、それ以上遠くへと行かないようにしている。かと言って、それ以上近づくことも出来ないのだが。やがて全身の感覚が戻ってきて、転生後の世界に戻ってきのだと理解する。
(そうか、向こう......いや、もうこっち側か。こっちでの物理的な距離は睡眠時遊行症でもない限り縮まらない...。)
リーリャもそれに気が付き、静かに、だが力強く頷いた。その様子を見たノイトも頷き、戻ってきた感覚を受け入れる。
両手に誰かの手を感覚を感じた。リーリャではない。左手の感覚は、手の大きさから察するにルミナス。右側の感覚は、力の加減から察するにフィルマリー。しかも、僅かに震えているようだ。ゆっくりと目を開ける。ぼんやりと広がってくる空は曇っているが、視界の外に夕日があるようで、遠くに見える雲の端が僅かに赤く染められている。手前には涙目でこちらを覗き込んで居るルミナスとフィルマリーが居て、フィルマリーの髪型は僅かに荒れていた。耳の感覚も戻ってきたため、口を開く。
「ハハッ...ただいま。」
「[太字][明朝体]「おかえりなさい!」[/明朝体][/太字]」
きっとリーリャも目を覚ましているが、恐らく寝ぼけているのだろう。それを確認するために立ち上がり、視界の端でリーリャの無事を察する。
「...さて、と.........。」
2人が何か慌てているが、何故か聞こえなくなった。怒りではない。安堵で力が抜けたわけでもない。ただ、魔力が溢れ出してくるだけだ。身体の疲れもなくなり、恐らく気絶していたであろう数時間の間の身体の鈍りもない。
(魔力って潤滑剤の役割とかあるのかな...?)
[太字][大文字][斜体]「ハァ............。」[/斜体][/大文字][/太字]
不思議と気分が高揚する。かつてない魔力の昂り。顔には出ていないだろうが、心の中で口角が跳ね上がっているようだった。
[太字][大文字][斜体]「行くか。」[/斜体][/大文字][/太字]

ノイトの足は力強く地面を蹴り、一瞬で“全能の魔神”アレソティラスの元へと届く程だった。しかし、ノイトの軌道は魔神の背後へと反れ、その手は近くに落ちていた【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】へ。素早くそれを拾ったノイトは慣性のまま遠くへと飛んでいき、戦場と化していた荒れ地の外で止まった。
[太字][大文字][斜体]「ふふっ...凄まじい......。タキってるなぁ...。」[/斜体][/大文字][/太字]
再び地面を蹴ったノイトは今度こそ“全能の魔神”へと突っ込んでいく。流石に先程背後を通ったことで勘付かれたのか、魔神はこちらを向いていた。ノイトは堂々と正面から突っ込んでいきながら[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]に魔力を込め、その剣を振るう。

[水平線]
[中央寄せ][大文字][太字][明朝体][斜体]〔[漢字]魔力裂斬[/漢字][ふりがな]マギノ・ガッシュ[/ふりがな]〕[/斜体][/明朝体][/太字][/大文字][/中央寄せ]
[水平線]

重く、速く、そして多量の魔力が込められたその一撃が、魔神の胴に皓い[漢字]創[/漢字][ふりがな]きず[/ふりがな]を[漢字]剞[/漢字][ふりがな]きざ[/ふりがな]む。その[漢字]創[/漢字][ふりがな]きず[/ふりがな]は塞がるのに時間がかかるものの、魔神は怯むことなくもう既に拳を振り下ろしている。先程までは避けることは疎か、目で追うことも出来なかったその拳が、今は目で追うことが出来る。もちろんその拳は動体視力で捉えきれるものではない。しかし、この世界には魔法がある。
[斜体](〔[漢字]時帝の眼[/漢字][ふりがな]タキサイキア[/ふりがな]〕......!)[/斜体]
無詠唱。そして、剣を振り上げたノイトの脇腹へと振り下ろされているその拳を、ノイトは膝で蹴り上げようとした。
[斜体]([[漢字]付与[/漢字][ふりがな]グラント[/ふりがな]:[明朝体][漢字]衝撃効果[/漢字][ふりがな]ノックバック[/ふりがな][/明朝体]]...!)[/斜体]
ただその拳を弾くだけの効果であるため、魔神が受けるダメージはほぼ皆無であり、逆にノイトが受ける反作用は魔神の拳の威力そのものだ。
ノイトの溢れ出す魔力が反射で回復を施したため砕けた膝は一瞬で元に戻る。無論痛みは感じるはずだが、アドレナリンとドーパミンのせいでノイトが感じるダメージは大幅に減少している。
[大文字][明朝体]「ほう......弾くか...。それにその魔力量...素晴らしい!!」[/明朝体][/大文字]
単純な魔力量であれば今のノイトの方が上だろう。しかし、この魔神は半永久的に魔力が循環するため、先程の無何有の存在に飲まれた分の魔力以外は使い回すことが出来ている。器の大きさで勝るのはノイト、器を満たす速度で勝るのはアレソティラスだ。
ノイトと魔神の戦いを呆然と見ているメルクとリュミエは、倒れそうになる。体力の限界だ。メルクは華奢な生身の身体で数時間攻撃の手を止めず、何度か魔神の攻撃を喰らっても決して諦めることはなかった。リュミエは魔神の肉体を持つが、組織によって魔神にされた時の年齢のまま。魔力の循環システムは持ち得ているものの、それを上回る消費に身体が追いついていない。2人の元へフィルマリーが駆け寄ってきて回復魔術をかけた。
「うっ...フィルマリーさん...ノイトくんのあの魔力は...?」
「だから私は言ったんですよぉ!ノイトさんの魔力量の方が多いって!!」
「...それって...潜在魔力量の話ですか?」
「そうです!ノイトさんとぎゅーしたときに安心するのは愛だけじゃなくて、きっとあの魔力もあったんです!」
ぬいぐるみと魔術とノイトと甘いものをこよなく愛するフィルマリーが言うのであれば間違いはないだろう。
「ノイトくん...なんであんなに魔力が......?」
メルクにはつい先程まで気絶していたノイトが何故急に覚醒したのか分からなかった。
「あの魔力がブワーッって溢れ出している状態は、恐らく[漢字]忘我[/漢字][ふりがな]フロー[/ふりがな]状態の直前段階の[漢字]過覚醒[/漢字][ふりがな]ゾーン[/ふりがな]状態です!私が昔読んだ本によれば、世界の魔力と一体化したような感覚なんだとか......。もしかしたらこのまま勝てるかもしれません!!」
魔力過多の状態であり、その反動も生易しいもので収まるかと問われたら微妙である。しかし、今のノイトは“全能の魔神”という規格外の存在と渡り合うことが出来ていた。

目を覚ましたリーリャはルミナスと一緒にノイトの戦闘を見ていた。
[太字][明朝体]「リーリャ様...!ご無事で良かったです...!!」[/明朝体][/太字]
「ルミナスも、無事で良かった...。ノイトは......もう魔神と戦っているのか...。寝起きなのにね...。」
[太字][明朝体]「そうなんですよ...先程も急に起き上がったと思ったらすぐに魔神の方へ...。」[/明朝体][/太字]
「あはは...ノイトだしね。かっこつけられればそれで良い、ってよく言ってるくらいだし、寝起きでも頭が冴えてるのかも。」
[太字][明朝体]「リーリャ様、身体の具合などはどうでしょうか?」[/明朝体][/太字]
「ん〜、大丈夫だよ。全然元気だし。ノイト1人に任せるわけにも行かないし、私もなんとかしないと!」
2人は立ち上がる。そこで何か違和感に気が付いた。
「...あれ?カメリア様とレイクさんは......?!」
メルクとリュミエはフィルマリーに回復魔術をかけて貰っているが、先程まで一緒に前線で戦っていたカメリアとレイクの姿が見当たらない。
[太字][明朝体]「レイク...お姉様......?! 一体どこに...!?」[/明朝体][/太字]
ロズウェルやイグやラルカの姿も見当たらない。
「そんな......一体何が...?」
ルミナスは一歩前へと踏み出して剣を抜く。
[太字][明朝体]「......リーリャ様...探している余裕は、私たちにはありません...。」[/明朝体][/太字]
見ると、僅かにノイトが押されているようだ。先程目覚めてからずっと同じだが、攻撃の度に身体のどこかが砕けては回復することを繰り返している。
[水平線]
[中央寄せ][明朝体][太字][大文字]〔[漢字]ᛞ[/漢字][ふりがな]ダガズ[/ふりがな]〕[/大文字][/太字][/明朝体][/中央寄せ]
[水平線]
[太字][明朝体]「今は、...目の前のことに集中しないといけない...んです......!」[/明朝体][/太字]
敬愛するノイトがたった1人で戦っているのを、ただ見ているだけではいられないようだった。リーリャは一瞬戸惑いつつもすぐに覚悟を決めて一歩踏み出した。
「...分かった。ノイト1人に、任せていられない気持ち...すごく分かるよ。ノイトはすぐに1人で抱え込もうとするから、私たちが無理矢理にでも間に入らないと止められないもんね。」
リーリャは近くに落ちていた自分のマジックバッグを拾って土を払う。
(このマジックバッグも......ノイトがくれたやつだったよね...。私は、いつもノイトに助けられてばっかり...?......いや、ノイトだったら私の演奏のこと言うよね...。)
どうやらノイトの癖が伝染ったようだ。批判的思考は物事を客観的に見るために重要なもの。リーリャはマジックバッグをじっと見つめながら考え事を始めてしまう。
(ノイトは、私に助けられてる所もある...。でも、私はその感覚はない......どうして?......あれ、私...ノイトみたい...。ミラーリングかなぁ...?ん、違う違う!そうじゃなくて!今はノイトを...!!)
ノイトの趣味部屋のノートに書かれていた用語もしっかりと覚えていて、なんだか少しだけ誇らしい気分だった。しかし、今はそれどころではない。マジックバッグの中から[漢字]希璋石[/漢字][ふりがな]フィスリテル[/ふりがな]を取り出す。
[太字][明朝体]「リーリャ様...?」[/明朝体][/太字]
(私なんかじゃ目で追うことも出来ないけど、ノイトならきっと!気づいてくれる!!)
「おりゃ〜!」
リーリャはその石を思いっきり魔神の方へと投げつけた。当然その石に魔神は気が付いていた。
[明朝体][大文字](魔力の籠もった石...この少年と入れ替わるか否かの二択...!)[/大文字][/明朝体]
アレソティラスは鋭い突きを石へ放ちながら視界の中心にノイトを留めたまま前蹴りを放つ。石と入れ替われば間違いなく慣性と魔神の突きでノイトは[漢字]針山[/漢字][ふりがな]ピンクッション[/ふりがな]になり、入れ替わらなければ魔神に蹴り潰されるだろう。ノイトが魔神の視界から消えた。しかし、魔神が放っていた突きには肉が刺さった感覚がない。魔神が振り向くと、そこにあったのは黒いスライムのような何か。薄い膜のようなものに覆われた球体があったが、それが破けて黒いスライムのようなものが魔神の視界を奪い、さらには放たれていた左の腕を絡め取る。
ノイトは魔神の背後に居た。つい先程までそこに居てノイトと入れ替わったのは[漢字]小夜啼鳥[/漢字][ふりがな]ナイチンゲール[/ふりがな]だ。ノイトは黒いスライム塗れになった魔神から距離を取る。
[斜体](黒いスライム......フィルさんやリオールさんがやったわけじゃないな...。)[/斜体]
どうやらこの黒いスライムはノイトが仕組んだわけでも、他の人物が仕組んだわけでもないようだった。魔神はスライムを引き剥がそうとして引っ張るが、スライムは余計に強くしがみつく。窒息を防ぐために魔神はまだスライムがへばりついてきていない部位に口を作るが、飲み込まれるのは最早時間の問題だろう。恐らく先程から魔力の波動を飛ばしているが、全て吸収されている。
[明朝体][大文字](こいつ...意思があるな...?)[/大文字][/明朝体]
魔神は自ら回転し始め、遠心力で無理やりスライムを投げ飛ばした。下がっていなければノイトはダイラタンシーで鋼鉄のように固くなったスライムのバットでホームランされていたに違いない。
投げ飛ばされて少し離れた場所に落ちた黒いスライムの塊は意思があるかのように動き出し、人のような形になって話し始めた。
「ふぅ......まったく、なんてやつだ。口を増やした上に振り回して遠心力で投げ飛ばすなんて。」
[太字][大文字]「...喋るスライム、か.........魔力量が尋常じゃないけど、[漢字]何者[/漢字][ふりがな]だれ[/ふりがな]?」[/大文字][/太字]
「おやおや、[漢字]過覚醒[/漢字][ふりがな]ゾーン[/ふりがな]に入っているアナタがそれを言うんですか?潜在魔力量もなかなか高い方でしょう。...おっと、申し遅れましたが、私は見ての通りスライムです。名前はありませんが...“[漢字]黒いの[/漢字][ふりがな]アテル[/ふりがな]”とでもお呼びください。」
アテルは指が分かれていない手のような部分をうようよと動かしながら語りだした。
「う〜む、魔神程度であれば飲み込めると思ったのですがねぇ?まさか遠心力で飛ばされるとは思いもしませんでしたよ〜。」
[太字][大文字]「...で、何の用?」[/大文字][/太字]
「いやぁ〜何と言うか、強者へと向かう[漢字]性[/漢字][ふりがな]さが[/ふりがな]のようなものなんでしょうかね?魔力が豊富な魔神を見るとつい食欲が...。」
アレソティラスは少し不機嫌そうに尋ねる。
[明朝体][大文字]「食欲...魔神を餌として見ているところを見る限り、今までは魔族を相手にしてきていたと見受けられるな。何故今更現界へと姿を現した...?」[/大文字][/明朝体]
「あぁ〜、それは...以前強い魔力反応を現界から感じましてですねぇ、是非ともその魔力の持ち主がどんな存在か知りたくなったんですよ!」
[太字][大文字]「......さっきのあの世界の終わりというか、世界そのものみたいなやつのこと?」[/大文字][/太字]
「いえいえ、そんな!あれは元からそこにあるじゃないですか。さっきのは一時的に向こうが我々に見えるようにしただけですよ。それに、魔力を持ち得る存在ではありません。」
[太字][大文字]「それはまぁ...そうだけど。...じゃあ、誰が目的?」[/大文字][/太字]
「多分、アナタですね。ですが...う〜ん、私が触れても今は吸収出来そうにありませんね...。」
[明朝体][大文字]「この少年まで喰らうつもりだったのか。」[/大文字][/明朝体]
アテルは残念そうに首らしき部分を振り、そしてノイトへと話しかけた。
「まぁ、せっかくなので戦ってみません?私の中にある粒子のうち一つにこの意思が宿っています。それを壊せればアナタの勝ちです。飽きるまで仲間になってあげましょう。唐突ですがね、その場の思いつきでこうやって何かしないと退屈な...」

[中央寄せ][大文字][太字][明朝体][斜体]〔[漢字]魔力裂斬[/漢字][ふりがな]マギノ・ガッシュ[/ふりがな]〕[/斜体][/明朝体][/太字][/大文字][/中央寄せ]

ノイトの斬撃は見事にその人格が宿った粒子を消滅させ、吸収しする。ため息をついてから魔神と再び対峙し、【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を構えた。
[太字][大文字]「確かに、“なかなか高い方”と言えるだけの魔力密度だね。」[/大文字][/太字]
「そう、ですね...ありがとうございます!なぜスライムは弱いなんて見方が生まれたんでしょうねぇ?」
[明朝体][大文字]「人格はちゃんと変わっているのだな...。」[/大文字][/明朝体]
「はい!やろうと思えばずっとこの人格でも居られるんですけど、なんかスライムって形が不安定じゃないですか?だから、人格も柔軟に変えていければな〜、と思いまして!」
アテルの人格はまるで天真爛漫な少女のようになっていた。外見は依然として漆黒のままだが。アテルは何かを思い出したようで、ノイトの隣に並んできた。
「そう言えば〜、私って色々出来るんですよ!影の中を移動したり、身体を鋼鉄のように硬くしたり......それに、残機がほぼ無限に全世界にあるので消えることもありません!」
[太字][大文字]「最強ってことかな?」[/大文字][/太字]
「はい!そして、アナタは先程の人格の粒子を消滅させましたよね?あの人格との約束でアナタが勝った時の応酬は“飽きるまで仲間になる”でした。ということで、私はアナタの仲間になります!是非ともアナタの隣に置かせてください!!」
ノイトは視線を魔神の方へと戻す。そして、呟くようにアテルの要望を断った。
[太字][大文字]「ごめん。僕の隣は、もう埋まってるんだよ。」[/大文字][/太字]

[中央寄せ][大文字][太字][明朝体]超級魔法:『[漢字]獄炎の弓箭[/漢字][ふりがな]プロクス・ヴェロス[/ふりがな]』[/明朝体][/太字][/大文字][/中央寄せ]

次の瞬間、魔神の右の心臓にその炎の矢が突き刺さった。先程までの目隠し用の広がる炎とは違う、確実にその一点を見据えた攻撃。ノイトがゲデニスとの戦闘の中で習得した初等魔術と似ている。
「なるほど...あの子がアナタのパートナーなんですね。だとすれば、私はアナタの何なのでしょうねぇ...?」
[太字][大文字]「ヘラるな。...前線に出る必要はないから、他の人たちを守っていて欲しい。頼めるかな?」[/大文字][/太字]
「当然です。お任せを!」
その返事を聞くや否や、ノイトと魔神の激しい攻防が再開された。魔力を回復してもらったメルクとリュミエ、魔法のバフを自身にかけたルミナス、そして決意が宿った目をしたリーリャが前線に出る。フィルマリーは魔神の周囲に魔力を集中させる領域魔術を張った。魔神の魔力とノイトの魔力への影響はほとんどないが、他への効果は絶大だ。

[中央寄せ][大文字][太字][明朝体]『[漢字]愛縷繰流素[/漢字][ふりがな]メルクリウス[/ふりがな]』[/明朝体][/太字][/大文字][/中央寄せ]

[中央寄せ][太字][大文字][明朝体]『[漢字]幻惑[/漢字][ふりがな]ダズル[/ふりがな] [漢字]稜鏡集光[/漢字][ふりがな]プリズム・フォーカス[/ふりがな]』[/明朝体][/大文字][/太字][/中央寄せ]

[中央寄せ][大文字][明朝体][太字]〔[漢字]光の剣[/漢字][ふりがな]クラウ・ソラス[/ふりがな]〕[/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]

メルクは魔力で強化した純粋な拳撃、リュミエは周囲への魔力の分散を限りなくゼロにした感覚を加える蹴り、リュミエは自身の魔力を込めた無駄のない一振り。その全てがフィルマリーの魔術によって威力を底上げされているため、魔神にも攻撃は通った。
[明朝体][大文字]「ぐぅ......小賢しい...!」[/大文字][/明朝体]
[太字][大文字][斜体]「小賢しい、は褒め言葉なんだよ?」[/斜体][/大文字][/太字]

[大文字][太字][明朝体][斜体]〔[漢字]魔力打撃[/漢字][ふりがな]マギノ・スパンク[/ふりがな]〕[/斜体][/明朝体][/太字][/大文字]

今のノイトの魔力はガバついているが、その量は尋常ではない。普段とは比べ物にならない物量で魔神が僅かに弾き飛ばされる。激しい金属音はノイトから溢れ出る魔力に飲み込まれて聞こえない。
「ちょっ、ノイトくん!魔力出しすぎ!危ないでしょ?!」
そのメルクの声すらも、ノイトには届いていないようだった。
「ノイトくん...?! あんまり前に出過ぎたら...!!」
[太字][明朝体]「お兄ちゃん!」[/明朝体][/太字]
ノイトの耳には何も聞こえていない。少しずつであるが溢れ出す魔力量も増えているようだ。
[太字][大文字][斜体](...なんか.........良いな...。)[/斜体][/大文字][/太字]
身体が軽く感じ、イメージ通りの速度で動くことが出来る。自分の個としての輪郭がだんだんと薄れていき、自身が魔力に昇華される感覚。

[水平線]
歓喜も悲哀も感じない...。期待も失望もない...。ただ...心地良い......世界に浸かってる感触が...“落ち着く”なんて言葉すら堅苦しい......今はこれは必要ない...。

[水平線]

ただ、そこに在るだけ。しかし、それが何よりも在るべきものだと錯覚してしまう。

ノイトは思考を止めた。考えなくとも拳や武器が勝手に最速でアレソティラスへと向かっていくからだ。そして、その思考放棄こそが[漢字]忘我[/漢字][ふりがな]フロー[/ふりがな]状態の条件だった。


[中央寄せ]__________[/中央寄せ]
[中央寄せ]┉❰▸ ┈┈┈🅸┈┈┈ ◂❱┉[/中央寄せ]
[中央寄せ] ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄[/中央寄せ]


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
今回は現世に戻ってきたノイトが過覚醒状態となって“全能の魔神”との戦闘に再び加わる場面と、謎のスライム・アテル(仮)の登場を描きました。次回もお楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、世界観やキャラクターについての質問も受付けています。
本作品を読んでいただき、ありがとうございました!!

X(旧Twitter)のDMでも受付けております!

2026/02/26 20:59

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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…等

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