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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

また、一部微細な暴力表現が含まれている場合があります。
これを苦手とする方は閲覧をお控えいただくことをお勧めします。

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世界に溢れる夢

#103

103.不穏

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
[中央寄せ]エリア〚音楽都市・ムズィガルド〛[/中央寄せ]

夜分遅く。ムズィガルドに溢れる音も減り、ほぼ静かだと言っても過言ではない時間に、夜の街中を駆け抜ける影があった。
[斜体](...なんで、私がここに居るってバレたの...?!)[/斜体]
リュミエはノイトたちの感覚を一時的に偽装して、何事もなかったかのようにした。しかし、そのせいでリュミエは1人で追われることになる。リュミエを追う影は黒いローブで、そのフードから覗く眼光は真っ直ぐとリュミエを射止めていた。
[中央寄せ][[漢字][太字]金縛り[/太字][/漢字][ふりがな]パライシス[/ふりがな]][/中央寄せ]
リュミエはそのローブの魔法で拘束されたように見せかける。しかし、ローブはそのままリュミエを置い続けた。
[斜体](幻惑が効いてない...もう何回も使ってるから...!)[/斜体]
「待て!魔神が人間に与するとはどういうつもりだァ...?」
一瞬で黒いローブがいつの間にか手にしていた得物がリュミエの目の前に現れる。間一髪でリュミエが操るワイヤーがそれを止め、互いに膠着した状態になった。
「...私が決めたことだから、お前には関係ない。」
「関係なら、ある。お前が気に入っているあのノイトと言う少年、アイツがここまで成長したのは他の魔神のお陰。そしてその封印を解いたのは俺だ。」
「...!!」
黒いローブの男は高速の突き技を放つが、メルクの攻撃程ではなく、リュミエにかかれば躱すのは簡単だった。
「...確かに、ノイトくんが成長してきたのは他の魔神たちのお陰でもある。だけど、全ての魔神が人為的に封印を解かれたわけじゃないはず。偶然魔神を復活させて五体満足で今ここに居るだけで、私がノイトくんの仲間であることに対してとやかく言う権利はない。」
「チッ......。面倒だなァ...ここで消してやるよ。」

[中央寄せ][大文字]⚠禁忌魔法『[明朝体][漢字][太字]空間削除[/太字][/漢字][ふりがな]エリア・デリート[/ふりがな][/明朝体]』[/大文字][/中央寄せ]


リュミエは全身に浮遊感を覚えた。そしてその直後。

[中央寄せ][[漢字][太字]位置置換[/太字][/漢字][ふりがな]サブスティテュート[/ふりがな]][/中央寄せ]

リュミエと石の位置が入れ替わり、先程までリュミエが居た空間が歪んで消えた。あのままではリュミエは消えていたかもしれない。そして、そのリュミエを救ったのは。
[斜体]「...ノイトくん!!」[/斜体]
ノイトだった。
「リュミエ、僕達を庇おうとして何かイジったでしょ。でもそれは確か“一時的”だったよね?お陰で間に合って、良かった...。」
恐らくリュミエがかけた幻惑の効果が切れてノイトかフィルマリーが気がついたのだろう。リュミエが消滅せずに済み、ノイトは安心する。
「...ハァ......それで?」
[中央寄せ][大文字][斜体][明朝体][太字]〈ガキィィィン〉[/太字][/明朝体][/斜体][/大文字][/中央寄せ]
「あんた、どっかで会った?」
「...さぁ、な?」
ノイトが持っている[漢字]波状刃[/漢字][ふりがな]フランベルジュ[/ふりがな]と黒いローブの男の短剣が甲高い音を立て、夜の街の上空に響いた。
「リュミエ!近所迷惑だから、お願い!」
リュミエはハッとして街全体に幻惑を施す。リュミエの能力によって、上空で斬り合っている2人の攻撃の音は街の誰にも聞こえていない“気がする”状態になっている。
しばらく斬り合った後、ノイトが手をかざす。
[中央寄せ][[漢字][太字]吹風[/太字][/漢字][ふりがな]ブリーズ[/ふりがな]][/中央寄せ]
ノイトの手から発せられた風が男の黒いローブのフードを脱がせようとした。片手でフードを押さえた男を見て、ノイトは間髪入れずに距離を詰める。[漢字]波状刃[/漢字][ふりがな]フランベルジュ[/ふりがな]がその風を纏い、──。

[中央寄せ][大文字][明朝体][太字]〔[漢字]暴風神[/漢字][ふりがな]ルドラ[/ふりがな]〕[/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]

それは見様見真似であり、レイクのものと比べると威力は落ちるが、男のフードを無理やり脱がせるには十二分だった。そのフードから現れた顔の右頬にはナイフでつけたような切り傷がある。
「......お前だったのか...。」
ノイトがその男のことを思い出したと同時にその男は一歩飛び退き、右拳に魔力を纏わせて突っ込んできた。
[斜体](まともに受けたら[漢字]剣[/漢字][ふりがな]これ[/ふりがな]が壊れる。一番無難で今から間に合うのは...!)[/斜体]
[中央寄せ][斜体][大文字]⁅[漢字][太字]悪夢[/太字][/漢字][ふりがな]ナイトメア[/ふりがな]⁆[/大文字][/斜体][/中央寄せ]
ノイトの全身が黒い霧のようになり、その拳が触れると同時に霧散した。
「[斜体]な゙っ...?![/斜体]...いや、ここだ!」
男はローブの中から瞬時に[漢字]不死[/漢字][ふりがな]アンデット[/ふりがな]専用の剣を出して足元に蠢いていた黒い影を斬った。斬られた影が一箇所に集まって人の形を成し、それがノイトだったということが分かる。
「っ...!! ハァ...近づきすぎたか...。」
ノイトは腕を押さえながら再生魔法を使用し、即座に回復させた。
「...バケモノめ......。だがなァ、お前は魔神にはなれない!」
「いや、なれたとしてもなる気はないけど...。」
「最後に会ったのは迷宮都市・モスクルだったか...?あそこはあまり人が立ち寄らない。憂さ晴らしにあそこの人間は全員消しておいた。」
「...随分と器が小さいんですね。」
「魔神の器に比べたら、人間なんてゴミも同然だ。」
「自分で言ってて悲しくなりません?」
「人間とはそういうものだろう...魔神の偉大さを一度目にした後では、たかが人間のために情を抱く必要もない。」
「相手に依りますね。お前みたいな人間だったら容赦なく消す。」
「出来るもんならやってみろや。」
「どの口が言ってるんだか...まずはそこから脱出した方が良いと思いますけどね...?」
男はようやく気がついた。否、今この瞬間まで気が付けないようにされていた。男はリュミエのワイヤーによって拘束されていて、身動きが一切取れない。動こうにもワイヤーが身体に食い込むため、無理に動けばバラバラにされたトマトのようになってしまうだろう。
「...チッ......。」
[漢字]脱出[/漢字][ふりがな]エクジット[/ふりがな]や下手な[漢字]瞬間移動[/漢字][ふりがな]ワープ[/ふりがな]・[漢字]空間転移[/漢字][ふりがな]テレポート[/ふりがな]は自殺行為にも等しい。ノイトとリュミエはゆっくりと男の方へ歩み寄っていく。
「ありがとう、リュミエ。お陰で助かったよ。大丈夫だった?」
「どういたしまして。このくらいなら全然大した事ないよ。」
男はノイトと目があった瞬間に何かを察して[漢字]瞬間移動[/漢字][ふりがな]ワープ[/ふりがな]をした。
「あぁ〜、逃げられたか......。でもまぁ、所属が分かったんだし。そのうち組織ごと消えるでしょ。リュミエ、戻るよ。」
「あ、うん。そうだね!」
リュミエは汚れたワイヤーを拭きながらノイトと宿へと戻っていく。

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
[中央寄せ]エリア〚ラクスドルム大陸/???〛[/中央寄せ]

「...っ...ハァ...!! ぐっ...痛ぇ...!」
男は組織の拠点に戻ってきていた。しかし、慣れていない魔法だったため、無傷とは呼べない姿になっていた。
「おやおや...どないした?こないな所に赤う濡れた粗大ごみが...。」
ゆっくりと歩いてきたのはモドーだ。
「あのノイトっていうガキにやられたんやん?ガキ相手やさかいってねぶってかかるさかいそうなんやで。」
「てめぇ...何様のつもりだァ...。幹部だからって調子に乗るなァ...!!」
「焦るな、って話やで。せっかちやなぁ...。」
ため息をついたモドーはわざとらしく肩をすくめて首を横に振り、やがて踵を返して暗闇の中に消えていく。
「あんたはもう使い物にならん。どっか邪魔にならんところで転がっとき。」
足音が聞こえなくなり、視界が狭窄してきた。
「ぐっ......あの野郎ォ...。」
男は通路の壁によりかかり、ゆっくりと回復魔法を自分にかけるのだった。

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

翌朝。ノイトはリュミエのボディプレスによって起こされた。
「だ〜ん!」
「ぐわっ!」
リュミエは昨夜の宣言通りボディプレスでノイトを起こし、朝からご機嫌なようだ。当然ノイトはそうはならない。
「朝から何...?寝起きは1日の始まりで一番大事な時だよ?目覚めは自然に行かせてよ...。」
「えへへ〜、有限実行だから!」
「ハァ......まったく...。洗面所で頭冷やして来い。」
「はぁ、まったく...洗面所で顔洗って来い。」
ほぼオウム返しされたノイトは渋い顔をしながら洗面所へと顔を洗いに行った。
「ん...ノイト?」
そこでリーリャが目を覚まし、ノイトの姿がないことに気がつく。リュミエはもうとっくに目を覚ましていたようで、朝からご機嫌なように見えた。
「リュミエ、ノイトは...?」
「あ、リーリャ。おはよっ!ノイトくんなら今洗面所で自分と向き合ってるよ〜。」
「...?」
取り敢えず洗面所に向かったリーリャは、その先でノイトを見つけた。
「あ。おはよう、ノイト。」
「おはよう、リーリャ。」
ノイトは顔を洗っていたようだ。それを理解したリーリャはまだルミナスたちが起きていないことを思い出し、少しノイトに詰め寄った。
「ノ〜イトっ、昨日は本当にお疲れ様!ちゃんと眠れた?」
(...なんだ、なんかリーリャもご機嫌だな...。なんかそういう日なのか、今日は?)
ノイトはいつもと少し違うリーリャの接し方に一瞬戸惑ったが、ノイトはいつも通り接することにした。
「う〜ん...夜中にちょっと目が覚めちゃったんだけど、疲れはほぼ取れたよ。大丈夫。魔力がまだ全回復してないのはちょっとアレだけど...まぁ、魔神も6体倒されたことだし、リュミエは僕達に危害を加えそうにも見えないからしばらくは平和なんじゃないかな〜。」
「夜中に...それってやっぱり疲れてたから?本当に大丈夫?熱とかない?」
ノイトはおでこに冷たいリーリャの手が添えられて一瞬身構えた。
(...?いや、ホントにどうしたの...?事実上のハーレムの謝罪をした翌日にラブコメみたいな展開...あれ、そもそも僕ってラブコメ読んだことあったっけ...?)
「リーリャ、どうした...の?」
「ん...ちょっと心配になってきちゃって...。今までずっと一緒に戦ってきてたからかな...?昨日は別々だったじゃん。だから、ちょっと寂しかったんだよ?」
手を離したリーリャはノイトの顔を横からその様子を伺うように覗き込む。
「そっか......心配かけてごめん。もうどこかに置いてきたりしないよ。」
「ん!? 置いてきた、って...私のこと、そうやって見てたの〜?酷いなぁ〜。」
「あ〜、別にそういう意味じゃないんだけど...まぁ良いや。ごめん。」
「またそれ...?ノイトって何か面倒になるとすぐに“まぁ良いや”って言うよね。」
「あ...それは......そう、だね。うん。」
リーリャに自分の癖を突かれて言い返せないノイトを見て、リーリャは笑みを浮かべた。
「ふふっ...ノイトとの付き合いが一番長いの、私だからね〜。」
「リーリャとの付き合いが一番長いのは僕、のはずなんだけど......僕は疎いのかな...?」
「ん...?......あっ、もしかして私のこと全然分かってない?もぉ...もっと私のこと、見ててよ...。」
「仲間が増えるごとに会話量と共に減っていっちゃうからね......。僕は一度関わってくれた人との縁は、極力切りたくないし。」
「それだと私がノイトと話せる時間が減っちゃうじゃん...。」
口を尖らせたリーリャを見てノイトはリーリャの左手を取ってその中指にはめられた指輪を見せる。
「大丈夫。言ったでしょ?“君は僕の1番大切な[漢字]友達[/漢字][ふりがな]パートナー[/ふりがな]だ”って。」
「...そういうの、真っすぐ言ってこないでよ。恥ずかしいんだから...。バカッ。」
「あはは...照れてんじゃん。顔赤いよ〜?」
ノイトはメルクやリュミエやフィルマリーと話す時のように自然なやり取りで、なおかつ大して気を使わずに会話が出来ていることに気が付かないほど、リーリャとの会話を楽しんでいた。リーリャも同様だ。今までは控えめだったが、今は他の女子に気を使うことなく言いたいことを口に出来ている。
「ちょっと〜、ノイトくん、リーリャ。顔洗うの長す、ぎ......。」
リュミエは偶然、ノイトがリーリャに僅かに顔を近づけている場面に遭遇してしまった。ノイトは先程リーリャがしてきたように顔を覗き込む仕草をしようとしていたのだが、リュミエが見たのはその瞬間以降の様子だったため、経緯をしらない彼女は驚く以外のアクションが取れない。
「...あ〜、ごめん。邪魔しちゃった...?」
「ち、違うのリュミエ!これは、その...そう!! ノイトが寝ぼけてて...。」
「...僕が何をしたって言うんだ...?」
リュミエはノイトへと歩み寄ってじっとノイトの目を見つめる。
「...顔が近いよ、どうしたの...?」
「今度、私にも試して。」
「......は?何、何のこと...?」
「別に。」
リュミエがやや不機嫌そうな理由が分からないままノイトは困惑していたが、しばらくしてからため息をついてリュミエが振り返る。
「もう、良いよ。ノイトくんと1番付き合いが長いのはリーリャだしね。それに、別に何か変なことしてたわけじゃなさそうだし。」
(リュミエ...ゲデニスの能力、使ったな...。誤解が解けたならそれで良いんだけど...。)
リーリャは[漢字]メルク[/漢字][ふりがな]誰か[/ふりがな]や[漢字]リュミエ[/漢字][ふりがな]誰か[/ふりがな]と違って他人を煽ったりしないため、ノイトとリュミエを交互に見ながら黙っている。そこで目を覚ましたフィルマリーが洗面所へとやってきた。
「ノイトさ〜ん、おはようございま〜す!」
「あ、フィルさん。おはようございます!メルとルミナはまだ寝てますか?」
「はい。そろそろ起きると思いますけど...起こしてきましょうか?」
「いえ、昨日は頑張ってもらったんで、無理に起こさなくて大丈夫ですよ。」
洗面所に人が集まりすぎても狭くなってしまうため、用が済んだ者から寝室で荷物の整理をすることにした。ノイトとリーリャとリュミエは各々のマジックバッグの中を整理する。
「必要な物資とかがあれば買っておかないといけないし、ちゃんと確認しておいてね。」
「分かった。」
「私は別に私の[漢字]能力[/漢字][ふりがな]ちから[/ふりがな]で出せるんだけど...。」
「魔力はちゃんと消費するんでしょ?魔力はいざと言う時のために取っておきな〜。」
「ん〜...まぁ、ノイトくんがそこまで言うなら...そうする。」
ノイトはふと窓の外の景色へと目を向けた。昨日は連続で2体も魔神を相手にしたのだ。ここまで平和に感じる朝もそう多くはないだろう。
(昨日の2体は両方とも、まだ世界規模で危険を及ぼすような能力が使えるようじゃなくて良かった...。やっぱり1番厄介だったのは“終焉の魔神”だよな...寝起きで大陸1つ滅ぼすレベルの魔法を使おうとしたんだし。)
ノイトは唯一討伐に加わることが出来なかった“絶望の魔神”に関してはあまり知らないが、ノイトたちに気づかれないまま討伐された程度であれば問題ないだろう。リュミエも“眩惑の魔神”も能力の効果範囲はそこまで広くないため警戒する必要はなかった。“記憶の魔神”と“孤独の魔神”も世界を滅ぼすレベルの能力を扱えたようには見えない。
「ハァ...平和って良いね〜。」
「これが当たり前のはずなんだけどねぇ?」
「魔神の自然復活も数十年後くらいだろうし、ノイトくんのお陰でこの世界もしばらく平和なままでしょ!」
「変なフラグ立てないでよ...?日を跨いだとしても、流石に3体連続は僕でも死んじゃう。...そうだ、ちょっと買い物してくるからリュミエとフィルさんはルミナをお願いします。リーリャとメルは一緒に来て。」

ノイトはリーリャとメルクを連れて外へと出た。この3人で外を歩くのも久しぶりである。
「なんだか懐かしいね〜。こうやって3人で一緒に出かけるのは。」
「そうだね。ノイトがどんどん仲間を増やしちゃうから、二人っきりっていう場面はあまりなかったけど...それでも私はほとんどノイトと居たからそれだけで満足。」
「私は2人と別れた後、しばらくの間組織の方に居たよ。ノイトくんの顔を思い浮かべると、化石になっちゃいそうで...。」
「なんか違くない...?まぁ、それは別に良いんだけど...。」
「出た、またそれだぁ。」
3人は各々がリラックス出来ていることを感じながら青空を見上げて道の上を歩く。
「あっ、そうだ...。メルが所属してる組織の目標...?みたいなものって確か魔神を復活させることだったよね。僕たちが全部倒しきっちゃったけど、どうなるのかな?」
「ん〜、確か私が居ないところで幹部が何か企んでるみたいだったけど...多分心配いらないでしょ!何かあってもまたノイトくんが何とかしてくれるだろうしね〜!! ...えへへ。」
伸びをして照れるメルクを見ながらため息を吐く。流石のノイトでも披露は溜まるし、感情だってある。期待され過ぎるのも当人にとってはあまり良いことではないのだが。
「僕は何でも出来るわけじゃないよ...?まぁ、基本的には器用貧乏って感じだけどさ。」
「ノイト、私にも魔法を教えてくれたよね〜。普通にすごいことだと思うよ?」
「そう言えば、昨日の炎の魔法ってリーリャの?私が居ない間にピアノの演奏以外の魔法も使えるようになっててすごいね!」
「そんな〜、ノイトは“記憶の魔神”との戦いの途中で魔術も覚えたし、ノイトの方がもっとすごいよ。」
「なんで僕に振ってくる...?まぁ、別に良いんだけどさ...。」
「「また出た。」」
ノイトは珍しくいつものペースを乱されている。メルクはいつも通りだが、リーリャまでこういう一面を表に出してきたことによってノイトは1対2を強いられている。ノイトはサシであればほぼ敵無しなのだろうが、同じ転生者であり、その上自分と長く時を共にしてきてノイトを1番近くで見てきたリーリャまでもを相手にするのは少し分が悪いようだ。
「まったく...強いものいじめは良くないぞぉ?」
「ハンデみたいなものでしょ。今回くらいは私たちにも勝たせてよ。」
「私もノイトが負けるとこ、ちょっとだけ見てみたいかも、ね?」
「ハァ...僕のため息でこの世界まで地球温暖化になるんじゃないの?...しょうがない。今回くらいは勝たせてあげるよ。」
「やった〜、私たちの勝ち〜!」
「いや〜、今まで隙がなかったノイトくんの隙が見れる貴重な機会だったよ〜。」
リーリャもメルクもノイトがあくまでも2人を“勝たせてあげている”ことは理解している。しかし、今はノイトの優しさをただ受け取る。それだけであった。
そのとき──。

[水平線]
[中央寄せ][大文字][大文字][明朝体][太字][斜体]❘❙› ང་ནི་ ཐམས་ཅད་མཁྱེན་པའི་ བདུད་ ཡིན། ངས་ དབང་སྒྱུར་ བྱེད་པ་ དང་ བསྐྱར་བཟོ་ བྱེད་ཀྱི་ ཡོད། ‹❙❘[/斜体][/太字][/明朝体][/大文字][/大文字][/中央寄せ]
[水平線]

3人は突如脳内で直接再生された音に、咄嗟に耳を塞いだ。
[斜体](((これは...!?)))[/斜体]
そんなはずないと思っていた。しかし、先程のメルクの話を聞けば納得も出来るだろう。近くを歩いていた他の通行人たちも同じようにしてパニック状態に陥っている。恐らく、世界全体で同じ状況なのだろう。
[斜体](...この気配は......間違いなく、魔神...!!)[/斜体]

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

「あ〜あぁ、あのアホ共は何してんで...。鬱陶しいでな、この声。見た感じ、世界中の全ての人間の脳内に直接届いてるやん。まぁ、ええか。」
ラスクドルム大陸のある主要都市の塔の上。そこからモドーは様子を見ていた。呆れて頭を掻いていたが、立ち上がってディアスムングロール大陸の方の空を見る。
「“全能の魔神”アレソティラス...。世界を創り変える力、魅せてもらおか。」
モドーは一瞬でどこかへと姿を消した。


[中央寄せ]エリア〚ノルティーク大陸/鉱山都市・エスミルト〛[/中央寄せ]

エスミルト騎士団は危険を察知してすぐに現場へと向かう準備をした。ロズウェルの指示で騎士たちが一斉に動く。
「総員、出撃用意!魔力反応はディアスムングロール大陸だ!!」


[中央寄せ]エリア〚ノルティーク大陸/ノルティーク帝国〛[/中央寄せ]

レイクと王子王女もいまだかつてない危機を察する。
[明朝体]「レイク。私も行かせて。」[/明朝体]
[大文字]「...分かりました。ノルティーク様、何かございましたらいつものようにお呼びつけください。」[/大文字]
[大文字][明朝体][太字]「うむ。気をつけるのだぞ......只事じゃないようだ。」[/太字][/明朝体][/大文字]


[中央寄せ]エリア〚ヴェルグランド大陸/機械都市・カタパリア〛[/中央寄せ]

カタパリアに居たラルカも危機を察した。
「...ノイト。まさか...!」
何かに気がついたラルカはすぐに『[漢字]門[/漢字][ふりがな]ゲート[/ふりがな]』へと駆け出していった。


[中央寄せ]エリア〚ヴェルグランド大陸/オボロノサト〛[/中央寄せ]

「むぅ...この気配は...。団子を嗜む暇なないようだ...。」
立ち上がったイグは刀を構えて近くの街へと走り出す。途中でツバメに止められたが、緊急事態であるためゆっくりと話を聞くことは出来なかった。
「イグ様!」
[斜体]「すまない、ツバメ。火急の事態だ!」[/斜体]
「...ねえちゃん、イグさまはどこいくの?」
「大丈夫だよ、スズメ。ボクたちの英雄・イグ様が行ってくれれば何があっても大丈夫だろう!」
幼い姉妹はイグの背中を見送り、古い造りの家の中へと入っていった。


[中央寄せ]エリア〚ノルティーク大陸/学術都市・ノルストラ〛[/中央寄せ]

「ハァ...また魔神か......。しかも、存在しないはずの9体目。いくらノイトでも流石に厳しいんじゃないか...?」
その男性は一瞬顔を上げたが、すぐに持っている本へと視線を戻した。その男性の様子を見てゆっくりと立ち上がったリオールは、ローブを翻して現場へと向かう準備をする。
「確かに、連続ではノイトも持たないかもしれませんね...。でも先生、彼は僕の自慢の教え子ですよ?死んでも戻ってきますって。...それに、先生にとっても自慢の、大切な息子さんでしょう。...それじゃあ、行ってきます。」
リオールが[漢字]空間転移[/漢字][ふりがな]テレポート[/ふりがな]でどこかへと移動した後、書庫に取り残された男性は僅かに微笑んだ。
「そうだな。ノイトならきっと大丈夫だ。」
静かな書庫に、紙をめくる音がやけに響いた。


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
今回は組織の動向と“全能の魔神”の誕生を描きました。次回もお楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観についての質問も受け付けています。
本作品を読んでいただき、ありがとうございました!!

[追記]
執筆後の感想:『長い......!!』

2026/02/05 21:16

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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