梅雨の終わりを待つ静かな朝、紫陽花がしっとりとした光を放ち、街はまだ眠っている。

僕は、窓の外を眺めながら、かつて君と過ごした日々を思い出していた。

あの時、君が愚痴をこぼしていたこと、まだ夏の気配が感じられなかったあの日々。

それでも、君の笑顔はいつも僕を明るくしてくれた。

君は、どことなく無邪気なところがあった。

何かに悩んでいるときでも、「ねぇ、迎えに行こうよ！」と言って、僕を急かす。

そんな君の言葉に、僕の心は一瞬で高揚した。

君のその一言が、僕の一日を変える力を持っていたからだ。

僕たちは、一緒に路地を抜け、あの時の坂を越え、虹を越えて、誰もいない夏の空を二人占めにすることを夢見ていた。

青い空の下での自由な時間は、まるで永遠のように感じられた。

その瞬間、全部が輝いて見え、何もかもが完璧だった。

君の笑顔が、無邪気さが、夏の暑さの中でも心に残っていた。

遠い夏の記憶の中で、あの瞬間が永遠に続いてほしいと願った。

君と過ごした日々は、もう戻らないとしても、僕の心の中に色鮮やかに刻まれていた。

別れが訪れることを知っていたけれど、それでも美しい思い出があることで、心は温まっていた。

それでも、時は無情で、いつか別れが訪れることを感じていた。

君との思い出を振り返りながら、ある日、僕は「さよなら、愛してる」と言った。

その瞬間、全てが終わるような気がした。

別れの言葉は、心に重くのしかかってきたが、同時に、新たな一歩を踏み出すための決意でもあった。

君は、いつも変わらない笑顔で、「大丈夫、また会えるよ」と言ってくれた。

でも、心のどこかで不安が渦巻いていた。

僕たちはただの思い出ではないと信じていたけれど、未来がどうなるのかはわからなかった。

「空も星も、君の泣き顔も、変わらないものが心の中にある」

と自分に言い聞かせた。色々なことがあっただろう。

今もなお、日々の中で様々な出来事が僕を取り巻いていた。

でも、笑いながら生きていくことが大切だと思うようになった。

そう、それが人の営みなのだと。

日々の中には、思い出が漂っている。

過ぎ去った日々に意味がないのなら、明日の僕は違う自分になるはずだ。

そんな風に思うことで、前に進む力を得ていた。

泣いていても、空はいつか晴れるよ。

君が僕の心を濡らしても、それが滲むことはないと感じていた。

あがいていたって、空は星を降らせてくれる。

だから、僕は生きていくんだ。

空を見上げると、どこかで君も同じ空を見ているのかなと想像する。

君が笑っているその姿を思い描きながら、未来を信じている自分がいた。

青い空の下で、僕は新たな一歩を踏み出す。

君との思い出を胸に抱いて、未来を見据える。

全てが変わってしまったとしても、空は青いままだろう。

忘れないさ、でもまた出逢える日を願いながら、僕は生きていく。

君の笑顔を思い出しながら、希望を胸に抱いて。どんな時も、君が笑っている未来を信じて。