僕らは神様を知らない。
「はぁ、自由研究ダメだったなぁ.........」
佐藤 燈利(さとう とうり)。
夕暮れ時、1人彼はトボトボと帰り道を歩いている。
右手に大きな、大げさに言ってしまえば身長くらいあるかもしれない紙筒を抱えて。
佐藤「何でカブトムシ育てる方が皆好きなんだろう............」
人気のない駅前のニュースは、あの事件のことを機械的な声で話している。
ニュースで見たのは少し久々だったようにも感じる。
駅前で泊まっていたその足は、思い出したかのように動くと、次第に住宅街と朱色の夕日とは真逆の方向へと向いていく。
やがて薄暗い路地に入っていく。
歩けば監獄に閉じ込められた道路が目の前にそびえ立つ。
???「おっ、燈利ちゃんじゃ〜ん。」
右から声がする。振り向けば深海のような美しい瞳がこちらを見ている。
オレンジ色のツナギに身を包んで、路肩に座り込んでいた。
佐藤「あ、レモンさん......今日も警備お疲れ様です......」
「SEMI PHOENIX」と書かれた表記のデザイン。
左腕には"警備員"と書かれた赤い腕章をつけ、
キャンバスのように広がる一面オレンジ色のツナギは彩られていた。
レモン「んまぁ、それがうちの仕事だしね......あ、そうだそうだ。自由研究の発表。どうだった?」
彼女は彼の方を真っ直ぐ、しかし優しい目で見つめながらも呑気にカラスに餌付けしている。
佐藤「聞いてくださいよ〜......それが、笑っちゃうくらいに大失敗で......何かよくわかんないカブトムシでっかくする実験の方が100倍ウケてたし......」
佐藤「できる限り分かりやすくまとめたつもりだったんでしけど、なかなか興味持ってもらえなくて......」
レモン「あはは〜......そりゃぁ、燈利ちゃんくらいの年の子なら難しい話よりカブトムシでしょ〜。何なら私もカブトムシの方が興味あるかも」
ニヤニヤと笑いながら楽しそうに話す彼女。
カラスは投げられたポップコーンをクチバシでツンツン、と何回か突いた後、ポイッと口に咥えてそのまま食べる。
佐藤「えぇそんなぁ......」
レモン「うそうそ。でも、ホント変わってるよね〜。ここで初めて会った時から、妙に難しいことばっか聞いてくるし......」
レモン「.......燈利くんは何でこの事件に興味持ってるの?家族が巻き込まれたとか?」
佐藤「そういうわけじゃ、ないです......」
レモン「ふ〜ん......」
佐藤「だって『渋谷区集団夢幻覚事件』は、今世紀最大のミステリーですよ!?」
佐藤「10年前の『あの日』、そこに立ち会った254名の人々は原因不明の意識障害に陥り、その後『セミフェニックス』と呼ばれる不老者になりました。」
佐藤「レモンさんだってそうですよね......?」
レモン「......」
佐藤「こんなことが自分の生きている街を舞台に起こったんですよ!?興味くらい持つの普通じゃん!」
レモン「ん〜......」
佐藤「な、何ですか......」
レモン「ん〜、それっぽく聞こえるけどな〜んかネットの記事丸パクリしました〜って感じ。」
レモン「それが本当の理由じゃないな〜?うちそういうの分かっちゃうんだよね〜。」
レモン「ま、言いたくなかったら言わなくてもいいけど。」
佐藤「......笑いませんか?」
レモン「笑わない笑わない。言ってみ?」
佐藤「......昔、夢の中で『神様』を見たことがあるんです。」
___________________________
名前 佐藤 燈利(さとう とうり)
性別 男
年齢 10(小5)
10年前の集団幻覚事件に興味を持っていて、独自に探りを入れている。
名前 はちみつレモン
性別 女
年齢 25(不老者となり年を取っていない)
幻覚事件の被害者「セミフェニックス」の1人。現在は事件現場の警備をしている。
佐藤 燈利(さとう とうり)。
夕暮れ時、1人彼はトボトボと帰り道を歩いている。
右手に大きな、大げさに言ってしまえば身長くらいあるかもしれない紙筒を抱えて。
佐藤「何でカブトムシ育てる方が皆好きなんだろう............」
人気のない駅前のニュースは、あの事件のことを機械的な声で話している。
ニュースで見たのは少し久々だったようにも感じる。
駅前で泊まっていたその足は、思い出したかのように動くと、次第に住宅街と朱色の夕日とは真逆の方向へと向いていく。
やがて薄暗い路地に入っていく。
歩けば監獄に閉じ込められた道路が目の前にそびえ立つ。
???「おっ、燈利ちゃんじゃ〜ん。」
右から声がする。振り向けば深海のような美しい瞳がこちらを見ている。
オレンジ色のツナギに身を包んで、路肩に座り込んでいた。
佐藤「あ、レモンさん......今日も警備お疲れ様です......」
「SEMI PHOENIX」と書かれた表記のデザイン。
左腕には"警備員"と書かれた赤い腕章をつけ、
キャンバスのように広がる一面オレンジ色のツナギは彩られていた。
レモン「んまぁ、それがうちの仕事だしね......あ、そうだそうだ。自由研究の発表。どうだった?」
彼女は彼の方を真っ直ぐ、しかし優しい目で見つめながらも呑気にカラスに餌付けしている。
佐藤「聞いてくださいよ〜......それが、笑っちゃうくらいに大失敗で......何かよくわかんないカブトムシでっかくする実験の方が100倍ウケてたし......」
佐藤「できる限り分かりやすくまとめたつもりだったんでしけど、なかなか興味持ってもらえなくて......」
レモン「あはは〜......そりゃぁ、燈利ちゃんくらいの年の子なら難しい話よりカブトムシでしょ〜。何なら私もカブトムシの方が興味あるかも」
ニヤニヤと笑いながら楽しそうに話す彼女。
カラスは投げられたポップコーンをクチバシでツンツン、と何回か突いた後、ポイッと口に咥えてそのまま食べる。
佐藤「えぇそんなぁ......」
レモン「うそうそ。でも、ホント変わってるよね〜。ここで初めて会った時から、妙に難しいことばっか聞いてくるし......」
レモン「.......燈利くんは何でこの事件に興味持ってるの?家族が巻き込まれたとか?」
佐藤「そういうわけじゃ、ないです......」
レモン「ふ〜ん......」
佐藤「だって『渋谷区集団夢幻覚事件』は、今世紀最大のミステリーですよ!?」
佐藤「10年前の『あの日』、そこに立ち会った254名の人々は原因不明の意識障害に陥り、その後『セミフェニックス』と呼ばれる不老者になりました。」
佐藤「レモンさんだってそうですよね......?」
レモン「......」
佐藤「こんなことが自分の生きている街を舞台に起こったんですよ!?興味くらい持つの普通じゃん!」
レモン「ん〜......」
佐藤「な、何ですか......」
レモン「ん〜、それっぽく聞こえるけどな〜んかネットの記事丸パクリしました〜って感じ。」
レモン「それが本当の理由じゃないな〜?うちそういうの分かっちゃうんだよね〜。」
レモン「ま、言いたくなかったら言わなくてもいいけど。」
佐藤「......笑いませんか?」
レモン「笑わない笑わない。言ってみ?」
佐藤「......昔、夢の中で『神様』を見たことがあるんです。」
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名前 佐藤 燈利(さとう とうり)
性別 男
年齢 10(小5)
10年前の集団幻覚事件に興味を持っていて、独自に探りを入れている。
名前 はちみつレモン
性別 女
年齢 25(不老者となり年を取っていない)
幻覚事件の被害者「セミフェニックス」の1人。現在は事件現場の警備をしている。
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