悪ノ怪様によろしく【Lier's world】
「[太字]____はーい、こちら百舌瀬探偵事務所ですけども[/太字]」
「........はい、依頼ですね。はい、.......はい。分かりました。では、明後日という事で。」
ガチャリ。
冷えた事務所の空気。
聞こえるのは雨の音だけで、静まり返った事務室でたった一人。
ホワイトボードに黙々と資料を貼り付けるのも別に悪い話ではないが、どうも湿気ていた。
ひねくれた住み込みの助手だが、どうやら雨の日も構わず事務所に長居はしないらしい。
まぁ正直なところ、暴力沙汰の絶えぬ助手にオレの平和を脅かされ続けるよりは何倍もマシなのだが。
家出少女も仕事もどうしたもんかと頭を捻らせる。
気晴らしにオカルト掲示板を見てみたりする。
幾分かスクロールしたところで、あぁそうだと一つのスレッドが目についた。
こんな事をするのは正直、気が狂っていると知っていた。
でも不思議と後悔がないのは、どこかでこの狂気に惹かれてしまっていたからんだろう。
[太字]このスレッドを立てたのは他の誰でもない、オレ自身なのだった。[/太字]
「.........[太字]東京、七不思議[/太字]........」
クリックすれば、内容が青い光と共に目に入ってくる。
[水平線]
【東京七不思議の八番目について】
実体験談も多く見られる東京七不思議の中でも、最近噂されている「八番目」についての情報を調査するための調査員を募集します。
現在は「八番目」に関する情報源がほとんど得られていないという現状です
そのため現在の基本的な活動としては、
・東京七不思議の一から七番目までの情報の調査
・その共通点などからの推測
が主となります。
途中参加も構いません。ご協力のほどよろしくお願いします。
〜 調査済みチェックリスト 〜
その一 黄昏商店街道中
その二 鏡の牢獄 九龍城
その三 月魚伝説
その四 最の果てのアリス
その五 ラフティー・サーカス
その六 地獄極楽晩餐会
その七 迷いの終点駅
ただ、知りたくて。自らの底知らずな探究心と好奇心から立てたスレッドだった。
両親から譲り受けてしまった一長一短なオレの原動力だ。
それで、参加希望者は........
百舌瀬「........やっぱいないよなあ」
そりゃそういう募集とか勧誘とかされてるサイトは選り好みしたとて、こんな胡散臭い募集に誰が食いつくかって話だ。
ただでさえ助手がいないも同然だと言うのに、これじゃあ本当に孤独な茨の道を進むことになってしまう........。
百舌瀬「.........あー!ダメだ!こんな事くよくよ考えんのは良くない!」
百舌瀬「今日はもう寝る!!」
誰かには誰かなりの、オレにはオレなりの処世術ってもんがある。
オレの場合、もう嫌な事があったら寝る。
それだけで割と何とかなるから。
助手と妹に叩き起こされるのだけは勘弁してくれと思いつつ、ビクビクしながらも枕に頭を突っ込んだ。