悪ノ怪様によろしく【Lier's world】
[太字]「 君からそんな話を持ちかけてくるだなんて珍しいねぇ。何かあったの? 」[/太字]
あぁ、コイツは口を開けばすぐにこれだ。
「そんな事はない、ただの噂好きから聞いた話だ。」
「ふぅ〜ん.......てっきり薬物キメたもんかと」
青メッシュと黒のグラデーションをかけた藤色の髪。
背丈に見合わない白衣と歩きづらそうなサンダルを履いた目の前の女______
[太字]〝 [漢字]蛇穴[/漢字][ふりがな]さらぎ[/ふりがな] [漢字]徒目[/漢字][ふりがな]あだめ[/ふりがな] 〟[/太字]は、そう言った。
「俺の仕事は常に信頼が伴うからな。あんたみてえな闇医者様とは違って[漢字]薬物[/漢字][ふりがな]はっぱ[/ふりがな]吸ったら金はもらえねーんだよ」
蛇穴「ほえ〜........にしても君さ、雇われの殺し屋さんの癖によくやってるよね〜ホント。そんなにお金欲しい?」
ニヨニヨとしたニヒル顔でいつもこちらに語りかけるコイツは、いつも何を考えているか全く読めない。
ある意味のポーカーフェイスと言ったところか。
「そうじゃなけりゃこの世界に足突っ込んでねえんだよ。」
「........その点そっちは大層お気楽でいいなぁ?」
蛇穴「んは.......何、僕が好奇心でここに来たからって苦労してないとか思ってんの?」
蛇穴「[太字]........笑わせてくれるねぇ、ラングラー?[/太字]」
[太字]______蛇に睨まれた蛙。[/太字]
ひんやりとした鬱蒼の瞳が、こちらを見やった。
コイツは本当に俺と年が10個も下の人間なのか?
蛇穴「_______ねぇ、分かってるんでしょ。[太字]〝 [漢字]逆先[/漢字][ふりがな]さかさき[/ふりがな] [漢字]零士[/漢字][ふりがな]れいじ[/ふりがな] 〟[/太字]くん?」
逆先「[太字].........分かってんよ、そのくらい[/太字]」
逆先「秩序の欠片もねえ[漢字]ここ[/漢字][ふりがな]裏社会[/ふりがな]にいるヤツなんて大抵、頭のネジ余してるようなまともじゃねえのばっかりなんだからよ」
逆先「俺らだってそれは一緒だ」
逆先「..........だってほら、見てみろよ、」
鏡面に映る、二つの人影。
月光に照らされ映し出された影は、物体の輪郭をはっきりと捉えている。
...........影を汚すように、鮮血が数滴落ちていく。
それは鏡面に沈み、混ざり溶け、一つになっていく。
逆先「[太字]俺らはいつから人が死ぬ事を日常と感じるほど狂うようになった?[/太字]」
誰かの言葉。
[太字]『 愛されて生まれた誰かも、愛されなかった誰かも、等しくいつか、骨になる 』[/太字]
そんな言葉をくだらないと蹴っ飛ばすように、
[太字]石膏像に生命を吹き込んだような様相の屍がそこには転がっている。[/太字]
寸分の狂いなくその全てに、弾丸は額の中心に刺さっていた。
蛇穴「.........さぁ?ど〜だろ。」
蛇穴「[太字]最初から狂ってた、の間違いじゃないの?[/太字]」
影が動く。
二つの黒が混ざり合う。
その前に月は分厚い雲に覆われ、辺りは暗闇へと変わり影は混ざった。
[太字]黒に染まったこの世界では誰が怪物かなんて、もう誰も分からない。[/太字]