九重綴。16歳。
今年で高校2年生になった。

真っ黒な髪が胸まで伸びまたストレートな髪に、見た目はなにも取り柄がなく、メイクもしていない、ありのままの顔。

地味女子である。


「今日も可愛らしいねぇ〜」


登校中に男子3人組に絡まれる。

もちろん絡まれるのは私じゃない。


「急いでるのでごめんなさい」


男子3人組を交わすことに成功した[漢字]綴乃[/漢字][ふりがな]つづの[/ふりがな]。

姉妹なのに、私と全く違う容姿。

大きくてきゅるきゅるした目に、ぷるぷるした綺麗な唇。

アイドルのようにキラキラしていて目立つ綴乃と、地味で目立たない私。


「もしも〜し？どうしたの〜？」


約1年半くらい付き合っている、綴乃の彼氏の[漢字]唯和[/漢字][ふりがな]ゆわ[/ふりがな]くんからの電話に甘えたような声で電話に出た綴乃。


綴乃とは正反対で恋とは全く無縁な私。


綴乃は、デートに行くたびに、コーデを前日に考えたり、初デートかのように楽しんできたり…

疲れないのかなぁ…って思う。

私だったら疲れてしまうだろう。

電話を切った綴乃はすぐに「私の声が聞きたかったから電話してきたんだって！！可愛すぎない？！」とハイテンションで話しかけてくる。

このバカップルの熱々に慣れたので「よかったね」と冷静に返事をする。

暗い茶色の髪で、背も高くて整った顔だけの唯和くんは学校でもかなり目立っている。