ちょっとだけ薄暗いその部屋。そこには、悪徳組織の財政を担う輩達が今日も今日とて密輸を任されていた。

「[漢字]楼[/漢字][ふりがな]たかどの[/ふりがな]。こちらの仕事を頼むわ。」

　金髪ショートの髪型、そして青空のように綺麗な碧眼。白人のような外見を持つ少女(？)の名はメオ。苗字不明の女性だ。彼女はこのチームのリーダーを担っており、密輸の腕はこのチームでもピカイチである。

「はいはぁい。どうしたんすかメオ。」

　彼女に仕事を預けられたのは、[漢字]楼[/漢字][ふりがな]たかどの[/ふりがな] [漢字]視信[/漢字][ふりがな]しのぶ[/ふりがな]。綺麗な長髪の銀の髪に、紫色の瞳を持つ。そしてサングラスをかけている彼は、メオから渡された書類をじいっと眺める。

「貴方はこれを頼むわ。[漢字]圭介[/漢字][ふりがな]けいすけ[/ふりがな]。」
「了解しましたァ～。」

　黒髪で毛先が赤色、そして瞳の色は赤色の青年がメオから書類を受け取る。その書類に目を通してから、机の上にそれを置いた。

「ふーん…今回の仕事は、誰に任せるんです？　メオが自分でやるんすか？」

　「ええ、そうね。」と彼の質問に答える。このチームは淡々としているばかり。情があるのか、そもそも互いに感情を持っているのか。不明という二文字ばかりで、何もかもが分からない。ただの仕事仲間という情景が今日も広がっている。

「…ねえ、視信。」
「あんた…なんで情報チームに行かないのよ？　それだけがずっと気になるの。」
「…僕ゥ、ずかずかと踏み込まれるのは嫌いなんすけど。それぐらい、知ってるっすよね？」

　彼の顔に影が差す。だが、そんな表情にもメオは怖気づく事なく視信に会釈をした。毅然とした表情で彼を見つめる。どうやら、彼女からすれば彼のそんな事だなんてどうでもいいらしい。

「あら、そうだったの？　それは申し訳ない事をしたわね。」

　ちょっとした謝罪をするだけで、彼女はまた仕事に取り掛かり始める。この二人の間には、ぴりぴりとした気まずい空気が流れていた。

「…ギスギスしてんなァ。」

　無表情でそのやり取りを観察している圭介。二人の掛け合いが終わると、彼はすぐさままた仕事を始める。
　ここのチームは最も冷酷だ。それこそ正に、暗殺チームに引けを取らないぐらいには。情はない、何もない。それがここ『密輸チーム』というもの。