鏡の向こうの君は誰
[明朝体]「まぁ、それでだな」[/明朝体]
「はい」
[明朝体]「何が起きたか見に行ってみようと思うんだ」[/明朝体]
「自らの危険を冒してまで?」
[明朝体]「そうだ。」[/明朝体]
「それで貴方が犠牲になったら?」
[明朝体]「それは僕を心配しているのか?」[/明朝体]
「それもあるけど、私はどうすればいいの?」
[明朝体]「...なーんだ。」[/明朝体]
「なに」
[明朝体]「自分のことが大事なのか」[/明朝体]
「は、」
[明朝体]「君は僕が思っていたよりももっと自分を大事にしていたようで安心したよ」[/明朝体]
「...は?」
自分を大事に?
何を言っているんだコイツは
前言撤回。
やはりコイツは理解不能だ
[明朝体]「まぁ、僕は見に行ってくるよ」[/明朝体]
「そう、自由に行ってらっしゃい。」
ほんとは心配だ。
春樹君が天才で、平凡ではないことは知っている。
春樹君は心配していない。
春樹君がもしいなくなったら私は何をすればいいのか。
私は自分で事実を確かめに行かなくては行けない。
それは絶対に嫌だ。
「私も行く」
[明朝体]「...は?」[/明朝体]
「春樹君が様子を見に行くのなら、私も行く。」
[明朝体]「な、なんでそんなに急に意見がかわ」[/明朝体]
「私が辛いから、待っている間、私が辛いから。」
「君が言ったとおりだよ、春樹君。」
「どうやら私は自分の事を、少し大事にしているのかもしれないことに気づいてしまったよ」
「まぁ、今は少しだけだけどね。」
[明朝体]「...そ、っか。」[/明朝体]
「どうした?」
[明朝体]「君は僕の思っていた以上に人間味あふれた人だったよ」[/明朝体]
「そりゃあ、人ですから」
[明朝体]「すまない、前言撤回だ」[/明朝体]
「何故?」
[明朝体]「そういうところだ」[/明朝体]
「そうですか。」
[明朝体]「僕は君の心を鏡越しに触れた気がするよ」[/明朝体]
「それって、どういうこと?」
[明朝体]「まぁいいさ、えぇと」[/明朝体]
[明朝体]「よそよそしい呼び方は互いにやめよう」[/明朝体]
「それに意味あるの?」
[小文字][明朝体]「そこだよ、そういうところ」[/明朝体][/小文字]
[明朝体]「特に意味はないさ、まぁこのよく分からない状況をシェアするうえで謎のよそよそしさに囚われているよりももっと軽々しく、カジュアルに呼び合おうじゃないかと思ってね」[/明朝体]
「急にいっぱい話し始めるのね」
「いいわよ。何て呼べばいいの?」
[明朝体]「春樹...とか?」[/明朝体]
「じゃあ私の事春花って呼んでいいけど」
[明朝体]「あぁ、二人とも春なんだね」[/明朝体]
「うーん、春...」
[明朝体]「チェリーブロッサム、とでも呼ぼうか?」[/明朝体]
「いや、遠慮しておくわ。」
[明朝体]「そうか、普通に呼ぶか。」[/明朝体]
「あと」
「お前と私はタメ口だ。」
[明朝体]「承知。」[/明朝体]
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