鏡の向こうの君は誰
「はるちゃん何位だった?」
「はるちゃん」というのは私のあだ名だ。
春花から春をとって「はるちゃん」
ただそれだけ。
ただそれだけ。
「いつも通り」
「ってことは二位ー?」
「うん」
「やっぱはるちゃんは凄いね...!!」
「天才だよ天才!輝いて見える!!」
嘘だ。
また私は二位なんだ。
輝いてなんかいない。
くすんでいる。
絶対に一位を取れないの。
一位は天才かもしれないけど、輝いているかもしれないけど。
二位は?
二位は?
どうせ輝いていないよ。
一位の踏み台だよ。
一位を取れなかったら平凡だよ。
「ゆゆは何位だったの?」
って。
ゆゆはどこかへ行ってた。
私の友達、「ゆゆ」
由香から「ゆゆ」って。
自己紹介でそうやって呼んでほしいって言われたから「ゆゆ」って呼んだ。
ゆゆは私の眼中にはいなかった。
後ろを見回すと、
ゆゆは。
「え、はる君一位なのー!?」
永遠に輝き続ける一位のはる君へと話しかけに行ってた。
二位を放って。
「うん。そうだよ。今回は頑張ったんだ。」
「いつも通りの結果だね!」
「...まぁ。」
はる君は一瞬此方を向いた。
目が合った。
そうだよ。どうせ私は二位だよ。
永遠に平凡だよ。
「一位でも二位でも三位でも、高い順位取れたら全部輝いてるよ」
「え、私十位だったけど、十位も輝いているのかな」
「勿論。だって百五十分の十だよ?」
「確かに!そう考えてみると凄いかも!!」
凄くないよ。
一位を取れないと輝いていないから。
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