「なぁ、愛子。ここは？」
「ここは…この公式を…」
「なぁ、ここはどうする？」
「ここは…」
「この漢字ってなんて読む？」
「えっと…」
岬くんと、勉強会。
(予想以上に理解してない…)
「岬くん、平均順位は…？」
「190とか？前は198位だった」
(…あぁ…)
「愛子は、どうやって勉強してるんだ？1位保つなんて…」
「問題集を、ひたすら解く。これが1番いいわ」
「うえぇ…きつそ…俺集中力続かねぇからムリだわ」
岬くんは、もう疲れたみたいだ。
しょうがない、その前にバイトもしてたんだし。
「今日は、もうやめる？」
「いや、あとちょっと頑張る…」
目を擦りながら、シャープペンシルを動かす。
でも、すぐに動きが止まる。
「なぁ、これってAで合ってるか？」
英語の選択問題。
[太字]「ジョンはナンシーになんと言ったでしょう」[/太字]
「Aではないわ。これはEよ」
「E…！？いやそれはナンシーが可哀想だろ!!人の心ねぇのか、ジョンは!」
「問題のストーリーに感情移入しないの!!」
(なんか、問題児の家庭教師になった気分…)
「もうちょっと、ちゃんと文を読んだら分かるわよ」
「ふぅん…あ、数学のワーク終わった。」
「採点するわ。ワーク貸して」
ワークを受け取って、採点を始める。
(○…✕…✕…○、○、○…✕…)
「できたわ。20問中10問正解。50点ね」
「意外といいじゃん」
[太字]「いやダメよ。赤点は55点以下よ」[/太字]
「まじか…」
「あと2週間近くあるし、また勉強会しましょ。今日は遅いし帰るわ」
「あぁ、さんきゅな。」
今日も、また送ってくれる。
「愛子ってすげぇのな」
「へっ？」
急に褒められてびっくりする。
「だって、学年1位だろ？頑張ってるんだな」
「岬くんだって、バイトもして…家事もしてて、それこそすごいわ」
「最近は愛子にも任せてるけどな」
「また、いつでも頼ってくれていいわよ。」
「…あんがと。頼もしいわ」
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