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お嬢様は愛を一億円で買います。

#3

約束

立花くんの家で、一緒に晩ご飯を食べることになった…
「いつも、立花くんが作ってるの?」
「うん、料理は得意だし」
「そうなのね…」
ちょっと、意外…
野菜を切る立花くんは、すごく手際が良い。
(小さい頃から、ずっとやってたのかしら…)
「私も、手伝うわ。」
「いや、来客にそんなことさせるわけには…」
「でも、ご馳走になるんだもの。これくらいは…」
「んー…じゃあ、待ってる間、美宇のことみててくんね?あいつ、すぐ散らかすから…」
美宇ちゃんは、リビングで遊んでいる。
「分かったわ!任せてっ」
「美宇ちゃん、なにしてるの?」
遊んでいる美宇ちゃんの隣に座る。
美宇ちゃんは、リリちゃん人形で遊んでいる。
(私も、これ大好きだったわね…)
「この子が、ミウちゃん!」
美宇ちゃんが持っている、ショートカットの女の子。
(みう、って名前…気に入ってるのかしら)
その隣にいる男の子は、他にもかっこいい服はあるというのに、着ているのはシンプルなジャージ。
「その男の子は、名前なんていうの?」
「…ミサキくん」
(立花くんの名前…?)
大きな家のセット。
でも、お人形は2人だけ。
(もしかして…)
「ねぇ、愛子ちゃん…?」
「どうしたの、美宇ちゃん」
「ずっと、お兄ちゃんの隣にいてくれるの?」
「…え?」
「お兄ちゃん、私のためにずっとバイトして…自分は全然ご飯食べないし、私の服とかは買うのに、自分はずっと学校のジャージで…友達とも遊ばないし」
(…美宇ちゃん、気付いてたんだ…)
「でも、お兄ちゃんにも好きな人がいたんだよね!愛子ちゃん、お兄ちゃん、すっごく寝相悪いし、歌下手くそだし、勉強できないし、めんどくさいけど、お兄ちゃんのこと、嫌いにならないで、[太字]ずっと、支えてあげてほしいの[/太字]」
(…ずっと…)
この前の、約束…
「分かったわ、約束しましょう」
「うん!」
(ごめんなさい。美宇ちゃん…これは、[太字]本物の愛[/太字]じゃないの)
「おーい、できたぞ。片付けろ」
「はーい!」
キッチンから、美味しそうなにおい。
「「「 いただきます 」」」
作ってくれたのは、オムライス。
〔みう〕 〔おにいちゃん〕 〔あいこちゃん〕
美宇ちゃんが、ケチャップで名前を書いてくれた。
「おいしい~っ!」
美宇ちゃんは、とっても嬉しそう。
「あ、おい。美宇」
立花くんが、美宇ちゃんの顔を掴んで、口のまわりについたケチャップをとってあげる。
(いいお兄ちゃんね…)
「立花くん。」
私も、立花くんの顔を寄せる。
「あなたも、ケチャップついてるわよ」
「あ、あんがと…」
誰かと一緒に夕食なんて、久しぶりだった。
(楽しかった…)
「じゃあ、美宇ちゃん。またね」
「うん!また来てね!」
「じゃあ、送ってくるから。」
「ありがとな。」
「こちらこそ、ごちそうさまでした。美味しかったわ」
あの約束をしたときから、ずっと楽しいことばっかり。
(ありがとう…)
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作者メッセージ

尊い

2024/10/29 18:00

みこと ID:≫kpJo3MY4lNspo
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