「話があるから」
その言葉が、ずっと脳をよぎる。
暗い、寒い、冷たい夜。
私は岬くんの暖かい手に触れる。
(話って、なにかしら……？)
もしかして…もしかして…
考えたくない。信じたくない。
ずっと、貴女の隣にいたい。
ずっとずっと、一緒に居たい。
本当に愛したい、愛されたい。
でもそれは，私のわがままかもしれない。

「愛子、座って」
公園のベンチに座る。あと1人座れるスペースがあるのに、岬くんは立ったまま。
「…は、話ってなにかしら…？」
声が震える。涙が溢れそう。
岬くんのことを見れない。
(でも、受け入れなきゃ…)
「えっと…愛子、まずはいつもありがとう」
「…？」
「美宇のこととか、勉強とか…ほんとに、助かってる」
「えぇ…」
「それでさ、契約。覚えてる？」
「…覚えてるわ。1億円と、愛。」
「そう、それ」
岬くんは、私を正面から見て、話してくれる。
優しい、暖かい笑い方をする。
[太字]「契約破棄させて」[/太字]
(契約破棄…)
想像通り。お別れだ
「えぇ、分かったわ…今までありがとう。楽しかった、わ…っ…」
泣いちゃダメって思っても、止まってくれない。
(お別れするなら、笑顔で…)
「え、なんで泣く!？」
「だって…契約破棄って…っ」
[太字]「「　？？？　」」[/太字]
2人とも、なにがなんだか分からない。
「あぁ…、言い方が悪かったな。」
「え？」
岬くんは、私を抱きしめる。
[太字]「1億円なんていらないから、愛させて」[/太字]
「…！」
「って、ことを言いたかったんだけど…伝わったか…？」
顔が熱くなる。
「えぇ、伝わったわ…岬くん、好き…大好き。本物の愛をちょうだい……」
「うん。俺も」
私は、やっと本物の愛に出会えた。