「宙くんこっちこっち！」
僕は胡春に呼ばれてそっちに言った。
するとそこは特別ゲートだった。
遊園地に入るために並んでいる人はこっちをじーっとみている。
従業員の人が
「ああ、胡春さまですねどうぞどうぞ」
と言って特別ゲートを開いた。
胡春は周りの視線をきにせずに入っていく。
僕も入って特別ゲートが閉められた時に声が聞こえた。
「あの子供達が無料で入れるなら俺たちも入れてくださいよ」
と、僕が後ろを向くとさっき僕のことをじーっとみてきていた人だ。
僕がハッとした顔になってしばらく後ろを向いて立ち止まっていると胡春がこっちを向いた。
「どうしたの？宙くん」
僕は
「ああ、なんでもないよ胡春」
と言ってニコッと笑って見せた。
胡春はパッと笑顔になった。
「あのね、最初はあのメリーゴーランドに行こうよ！」
僕は向こう側を見た。8メートルぐらいの行列ができている。
「え…すごく並んでるけど」
すると胡春は得意そうな顔をした。
「宙！私はここの社長の娘さんですよ！」
胡春はちょっと冗談ぽく言った。
僕は「そうだったね」と苦笑いをしてメリーゴーランドに向かった。