深夜は僕らのスミカである。
鈴side
「あ゛、あづい……」
季節はとうに夏。梅雨に入り湿った暑さが体に張り付く。
夕方になって日が落ちているのでマシなものだが。
「涼しいところに行きたいぃ……」
家はなんとタイムリーなことにエアコンが故障しており、扇風機なぞない。
「だ、れか…たす………け…」
スマホの着信音が鳴った。
「あ゛い………」
「おっ!?鈴ちゃん大丈夫~?今にも消えそうな声だけれども…」
「実は暑くて…溶け…そう…………」
「本件なんだけどねぇ、タイミングが良い、ボクんちおいで」
「えっ!?いいんですか?」
「うん~、夜だし泊って行ってもいいよ。話するのが一番の目的なんだけどね」
「あ、ありがとうございます…!」
~…~…~…~… ・ …~…~…~…~
(憂依宅)
「すみませんなんか……」
「いや、ぶったおれてもらっても困るしね、こちらとしては」
あは、と笑う先輩。
「えっと、それで本件というのは…?」
またろくでもない話なんだろう…そういう所に足を突っ込んでしまったのは他でもない自分なのだが。
「旅行!」
「はい?」
「旅行、行きたいでしょ!」
「はい???」
「本当だよ。もうすぐ夏休みだしさ、お仕事の疲労を吹っ飛ばすにも丁度いいかなって」
いや、それだけならいいんですけど…
「先輩仕事人間でしょ…ちゃんと裏も話してください、それから考えます」
「あら、振られちゃった。旅行も半分そうなんだけど、確かに半分はお仕事」
ほら見ろ。
「依頼主が京都の人でね、そこまで行くことになっちゃった☆」
「京都ぉっ!?遠すぎやしません?」
一応都心住みなので、小学校や中学校の修学旅行でしか行った記憶がないのだが。
「3人で行く予定だったんだけど、お依頼さんに夜曇は連れてくるなって言われてね。だから今回はお二人様だよ」
なんか新鮮だな~と思いつつ、ちょっとわくわくする自分もすでに職業病なのだろうかと思ってしまう。
「2泊3日なんだけど、泊まるところとかごはんとかは用意してくれるみたいだから、深く考えずにいていいよ~」
仕事はしなくちゃいけないけど、タダで京都旅行ができるということか…
「い、行きましょう」
「じゃあ、連絡しておくね~」
「ところで、今日は泊まっていくの?」
「あ」
「大丈夫です……」
いつまでも涼しいところには居たいと思うものだが、不思議な先輩の家に泊まるのはなんだか嫌だなんて言える訳もなく。
夏とは暑さと隣合わせだなぁ、なんて考えながら家路を辿ったのであった。
「あ゛、あづい……」
季節はとうに夏。梅雨に入り湿った暑さが体に張り付く。
夕方になって日が落ちているのでマシなものだが。
「涼しいところに行きたいぃ……」
家はなんとタイムリーなことにエアコンが故障しており、扇風機なぞない。
「だ、れか…たす………け…」
スマホの着信音が鳴った。
「あ゛い………」
「おっ!?鈴ちゃん大丈夫~?今にも消えそうな声だけれども…」
「実は暑くて…溶け…そう…………」
「本件なんだけどねぇ、タイミングが良い、ボクんちおいで」
「えっ!?いいんですか?」
「うん~、夜だし泊って行ってもいいよ。話するのが一番の目的なんだけどね」
「あ、ありがとうございます…!」
~…~…~…~… ・ …~…~…~…~
(憂依宅)
「すみませんなんか……」
「いや、ぶったおれてもらっても困るしね、こちらとしては」
あは、と笑う先輩。
「えっと、それで本件というのは…?」
またろくでもない話なんだろう…そういう所に足を突っ込んでしまったのは他でもない自分なのだが。
「旅行!」
「はい?」
「旅行、行きたいでしょ!」
「はい???」
「本当だよ。もうすぐ夏休みだしさ、お仕事の疲労を吹っ飛ばすにも丁度いいかなって」
いや、それだけならいいんですけど…
「先輩仕事人間でしょ…ちゃんと裏も話してください、それから考えます」
「あら、振られちゃった。旅行も半分そうなんだけど、確かに半分はお仕事」
ほら見ろ。
「依頼主が京都の人でね、そこまで行くことになっちゃった☆」
「京都ぉっ!?遠すぎやしません?」
一応都心住みなので、小学校や中学校の修学旅行でしか行った記憶がないのだが。
「3人で行く予定だったんだけど、お依頼さんに夜曇は連れてくるなって言われてね。だから今回はお二人様だよ」
なんか新鮮だな~と思いつつ、ちょっとわくわくする自分もすでに職業病なのだろうかと思ってしまう。
「2泊3日なんだけど、泊まるところとかごはんとかは用意してくれるみたいだから、深く考えずにいていいよ~」
仕事はしなくちゃいけないけど、タダで京都旅行ができるということか…
「い、行きましょう」
「じゃあ、連絡しておくね~」
「ところで、今日は泊まっていくの?」
「あ」
「大丈夫です……」
いつまでも涼しいところには居たいと思うものだが、不思議な先輩の家に泊まるのはなんだか嫌だなんて言える訳もなく。
夏とは暑さと隣合わせだなぁ、なんて考えながら家路を辿ったのであった。
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