運命の糸は絡まり続ける
[明朝体]帰りのホームルームも終わり、皆各々帰っていく
私は靴箱の前で、目の前に滴る水溜りを見つめながら、ぼーっとしていた
『雨かぁ........』
どうりで、雲が曇ってたわけだ
私は、どうするか........と頭を捻りながら考えていた
傘、持ってきてないし
『しょうがない、か』
天気予報見てなかった私が悪いし、そう自分の中で片付け、思い切って片足を前へと出す
「●●さん!」
『ん?』
後ろから聞き覚えのある声が響き、振り向く
.....君は後ろから登場しやすいねぇ
『ガオナァくんだ』
「はい、ガオナァです!」
元気よく返事をした彼。片手には傘が
偉いなぁ、ちゃんと天気予報見てて
さぁ、と私は気を取り直してまた一歩を踏み出そうとしていた
「●●さんっ!あ、あの相合傘........しませんか!?」
『え..........』
私は一歩踏み出した足を止めたまま、後ろをゆっくり振り返る
振り返った先にいたのは、顔が赤い、下向きの彼だった
私の胸が少し、ズキンと痛む音がした
『.......えっと』
「す、すみません!でしゃばりすぎましたよね!」
『いや........むしろ、入れてくれるの?って感じなんだけど.........』
私が少し遠慮気味に言うと、彼は「エッ」と固まり私の方へと向いた
「い、いいんですか!?」
『.......いいっていうか.........まぁ、うんいいよ........?』
私がいいよって言う側なのか.....?少し疑問を持ちながら、返事をした私
そうしたら彼が、橙色のシンプルな傘を開き私を中へ入れる
『お邪魔します〜..........』
「お邪魔されますっ!」
お邪魔されますってなに......と、少し笑ってしまった私。そうしたら彼も一緒に笑って。
くすくすと、雨音と一緒に響く玄関前、青春の匂いがした
(傘の音)[/明朝体]
このボタンは廃止予定です