君の【最高/最低】な元カノになりたい話
史上【最高/最悪】の彼女になる為に私は頑張った。
自分磨きも生半可なものじゃダメだから、元女優で若い頃は海外を飛び回っていたらしいおばあちゃんに頼んで色々叩き込んで貰った。
その成果を今こそ発揮する!!
髪の中間からストレートアイロンを直角傾けたまま毛先まで滑らせる。そして冷えてから束をほぐせばストレートアイロンでもできる32mmコテ風巻きの出来上がり。
トップスはパールのついた白いハイネック、チェックのスカートを履いてその上から大きめボタンのカーディガン。萌え袖がポイントね。
これで秋のふわふわ彼女の完成!
鬼気迫る(※弟に引かれるレベル)スキンケアのおかげでお肌はニキビなんて存在しないとぅるとぅる赤ちゃん肌なので研究しまくったお化粧のノリがいい。
美容液でコツコツ育てたまつ毛はマスカラ入らず。
鏡の前で一番可愛く見える笑顔の練習をしていて私はふと、あることに気づいた。
自分磨きの一環でダイエットもしているし、スタイルも悪くない。
お父さんのパッチリした目とスッと通った鼻筋、お母さんの卵形の輪郭とつんとした唇。エラは張ってないし、配置もいい。
両親のいいところをバランスよく受け継いだ私は多分恐らく、
「可愛い……?」
「鏡に向かって何言ってんの姉貴」
「わっ風雅!も〜部屋入るのはいいけどノックしてよ」
「へいへい、今度からそうしまーす。それより星新一の本借りていい?」
「そう言って一回もノックしたことないじゃない。はぁ……本ならそこの棚だから好きに取っていって」
あ〜恥ずかしい。風雅に、弟に変なセリフ聞かれた………絶対ナルシストだって思われた。
家族だからいいけど、友達だったらたぶん半年はイジられる所だった。いや、家族でもイジられるかもしれない……夕食の時までに覚悟を決めておこう。
突然だが、私達兄弟はみんな「風」という字がつく。
なんでも「何にも縛られずに自由に生きて欲しい」と「周囲の人に元気を運ぶ人になってほしい」という二つの願いが込められているらしい。
お兄ちゃんは[漢字]翔風[/漢字][ふりがな]はやて[/ふりがな]、私は[漢字]風音[/漢字][ふりがな]かざね[/ふりがな]、弟はさっき言った通り[漢字]風雅[/漢字][ふりがな]ふうが[/ふりがな]。
お父さん譲りの大きな目が猫っぽい弟はバスケが好きで、友達には意外に思われることがおおいらしいけど本が好きだ。
といっても京極夏彦のようなほぼ鈍器の分厚い本は読まないけど、短編集や文庫本なんかはよく読む。
今日は私が購入した星新一の短編集が気になるらしい。別に家族なので物の貸し借りとかは元に戻すなら気にしない。
でも、私意外に服を評価してもらえるせっかくの機会なので聞いておく。
弟の場合「この服可愛い?」って聞くより「この服にこの小物合う?」って聞いた方がちゃんと答えてくれる。
「ねぇ風雅、この服に合わせるんだったら黒と白どっちがいいかな?」
「んーそんなちっこいのよりリュックの方がいいと思う。遊園地行くんだったらお土産買うんだろうし」
「ごめんね風雅、お姉ちゃんが悪かったよ」
そういやこの子の私服「高身長に俺はなる」と書かれた謎のTシャツと毛玉だらけになったジャージのズボンだ。
いっそ清々しいくらいセンスのない我弟に私の服の講評を頼むのは間違っていた。
なんなんだよという顔をする弟に哀れみの視線を送った。
やっぱり及川さんは年上だし大人っぽく雰囲気が締まる黒の鞄の方がいいと判断して、黒のショルダーバックを肩に掛けた。
「じゃっ、デート行ってくるね。お兄ちゃんの誤魔化しは任せた!」
「うぃーす」
やる気の無さげな返事を聞いてから玄関の扉を開けた。
自分磨きも生半可なものじゃダメだから、元女優で若い頃は海外を飛び回っていたらしいおばあちゃんに頼んで色々叩き込んで貰った。
その成果を今こそ発揮する!!
髪の中間からストレートアイロンを直角傾けたまま毛先まで滑らせる。そして冷えてから束をほぐせばストレートアイロンでもできる32mmコテ風巻きの出来上がり。
トップスはパールのついた白いハイネック、チェックのスカートを履いてその上から大きめボタンのカーディガン。萌え袖がポイントね。
これで秋のふわふわ彼女の完成!
鬼気迫る(※弟に引かれるレベル)スキンケアのおかげでお肌はニキビなんて存在しないとぅるとぅる赤ちゃん肌なので研究しまくったお化粧のノリがいい。
美容液でコツコツ育てたまつ毛はマスカラ入らず。
鏡の前で一番可愛く見える笑顔の練習をしていて私はふと、あることに気づいた。
自分磨きの一環でダイエットもしているし、スタイルも悪くない。
お父さんのパッチリした目とスッと通った鼻筋、お母さんの卵形の輪郭とつんとした唇。エラは張ってないし、配置もいい。
両親のいいところをバランスよく受け継いだ私は多分恐らく、
「可愛い……?」
「鏡に向かって何言ってんの姉貴」
「わっ風雅!も〜部屋入るのはいいけどノックしてよ」
「へいへい、今度からそうしまーす。それより星新一の本借りていい?」
「そう言って一回もノックしたことないじゃない。はぁ……本ならそこの棚だから好きに取っていって」
あ〜恥ずかしい。風雅に、弟に変なセリフ聞かれた………絶対ナルシストだって思われた。
家族だからいいけど、友達だったらたぶん半年はイジられる所だった。いや、家族でもイジられるかもしれない……夕食の時までに覚悟を決めておこう。
突然だが、私達兄弟はみんな「風」という字がつく。
なんでも「何にも縛られずに自由に生きて欲しい」と「周囲の人に元気を運ぶ人になってほしい」という二つの願いが込められているらしい。
お兄ちゃんは[漢字]翔風[/漢字][ふりがな]はやて[/ふりがな]、私は[漢字]風音[/漢字][ふりがな]かざね[/ふりがな]、弟はさっき言った通り[漢字]風雅[/漢字][ふりがな]ふうが[/ふりがな]。
お父さん譲りの大きな目が猫っぽい弟はバスケが好きで、友達には意外に思われることがおおいらしいけど本が好きだ。
といっても京極夏彦のようなほぼ鈍器の分厚い本は読まないけど、短編集や文庫本なんかはよく読む。
今日は私が購入した星新一の短編集が気になるらしい。別に家族なので物の貸し借りとかは元に戻すなら気にしない。
でも、私意外に服を評価してもらえるせっかくの機会なので聞いておく。
弟の場合「この服可愛い?」って聞くより「この服にこの小物合う?」って聞いた方がちゃんと答えてくれる。
「ねぇ風雅、この服に合わせるんだったら黒と白どっちがいいかな?」
「んーそんなちっこいのよりリュックの方がいいと思う。遊園地行くんだったらお土産買うんだろうし」
「ごめんね風雅、お姉ちゃんが悪かったよ」
そういやこの子の私服「高身長に俺はなる」と書かれた謎のTシャツと毛玉だらけになったジャージのズボンだ。
いっそ清々しいくらいセンスのない我弟に私の服の講評を頼むのは間違っていた。
なんなんだよという顔をする弟に哀れみの視線を送った。
やっぱり及川さんは年上だし大人っぽく雰囲気が締まる黒の鞄の方がいいと判断して、黒のショルダーバックを肩に掛けた。
「じゃっ、デート行ってくるね。お兄ちゃんの誤魔化しは任せた!」
「うぃーす」
やる気の無さげな返事を聞いてから玄関の扉を開けた。
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