君の【最高/最低】な元カノになりたい話
彼氏が浮気してた。
私じゃない女の子とデートして、キスして一緒に彼氏の自宅に入って行った。それも複数人。
これで三回目。とうとう見間違いという誤魔化し方は出来なくなった。
付き合って半年。部活に真剣に打ち込む彼に一目惚れした私から告白して、彼が軽い調子でオッケーしたのが始まりだったけど、部活のない休日には二人でデートして服装も褒めて貰って、キスもして………。
多分おそらく一般的な恋人だったはずだ。
いや、これは私の主観であって客観ではない。
客観的に見たら私は都合のいい女で、彼からみたら私は遊び相手だったかもしれない。
そう考えると、勝手にぽろぽろと涙が溢れて鼻がグズグズする。体の中でどす黒い感情が渦巻いて今にも爆発しそうだった。
きっと私の顔は人に見せられるものではいだろう。
泣き過ぎて耳鳴りがする。震える指先でおろしたてのワンピースの裾に爪を立てた。
ここから一刻も早く離れたくて苦しくなるまで走って、走って、走って。溢れる涙を手で拭った。
知り合いに見られていない事を祈りながら、普段から走らないせいでもう悲鳴を上げている太ももに鞭を打った。
家には帰れない。
こんな顔お母さんには見せられないし、お父さんやお兄ちゃんも事情を聞いたら烈火の如く怒り出す。
ただですら私に恋人ができたって言っただけで、三日もいかに男が危険かを力説してきたのだから。
じゃあどうしよう、家もダメ。友達の家もダメ。図書館?いや、人がいる。
ぐるぐるする思考の中、閃いた場所は__________
「おばあちゃんっ……!」
祖母の家だった。
▼▽▼
おばあちゃんは涙と鼻水でぐちゃぐちゃな顔をした私を何も言わずに家に招き入れた。
おばあちゃんの優しさに甘えてふかふかの革張りソファーで泣いて泣いて、泣きまくって涙も枯れた頃にはもう日が暮れていた。
なんだか子供みたいだなぁと、思いつつ最後の鼻水をテッシュで噛んで捨てた。
「これで目を冷やしな。そんな真っ赤な目で家に帰ったらあのバカな男共が暴れ出すからね」
そう言っておばあちゃんには茶目っけたっぷりにウィンクした。
今年で67歳になるとは思えないぐらい若々しい動作にびっくりしたけど、不思議なことにおばあちゃんはそれが似合う。
昔は舞台女優をやっていたらしいおばあちゃんはl切り揃えた真っ白な髪に大ぶりなイアリングをしていて、キリッとした目元と赤いリップがそれの動作を益々魅力的にさせる。
カッコよくて、なんだか将来はこんな風に歳を取りたいなと思わせる美しさがあった。
そしておばあちゃんはいつもシャキッとしていて、秘密は絶対に守ってくれる。まさに最高のお祖母様って感じだ。
そんなおばあちゃんなら私が泣いた理由もここに来た理由も分かってくれる気がした。
「あ、のね、おばあちゃん………私が、泣いてた理由聞いてくれる………?」
「勿論さ。の可愛い可愛い孫娘を泣かせたんだ、その理由を聞かなくってどうするってんだい?」
「うん……うん、ありがとう」
また溢れそうになった涙を無理やり引っ込めて、おばあちゃんに全部を話した。
彼氏に浮気さえたこと、その気持ち、迷い、ここに来た理由………その全部を話した。
意外だったのは浮気された事を話したら、また彼氏が他の女の子とキスした時を思い出して泣いてしまうと思っていんだけど私は泣かなかった。
「そうかい、そうかい。話してくれてありがとう
ぽんぽんっと、年季の入った温かい手が背中を優しく叩く。心なしか、体の中で渦巻いていたどす黒い感情が薄くなった気がした。
でも、この感情は無くならなかった。
「私………アイツに復讐してやりたい」
ポツリとこぼした物騒な言葉。
おばあちゃんはその言葉を待ってましたと言わんばかりの笑顔で、ニヤリと妖艶に笑った。
そして真っ赤な唇が囁く。
「流石私の孫ね、そう来なくっちゃ。そうだ!復讐するならとってもいい方法を教えてあげるるわ」
魔女のように笑ったおばあちゃんは組んでいた足を解いて、立ち上がった。
「惚れさすのよ。ズブズブに死ぬほど惚れさせて、最高のタイミングで容赦なく捨てなさい。それが男に一番効く復讐方法よ」
そ、そんなギリギリセーフよりのアウトな復讐法ある!?
……いやでも今の状態で私が彼を振っても、彼氏にはなんのダメージも入らない。
でも、私に惚させて私から振ってしまえば一生彼の記憶の中から消えない。
男性は元カノを美化しやすいとどこかで読んだきがする。
ならいっそ私が彼にとって最高で最低な[漢字]元カノ[/漢字][ふりがな]思い出[/ふりがな]になってやるのもありかもしれない。
「おばあちゃん、私………アイツの、及川 徹の【最高/最低】の元カノになりたいの。だから、私が最高の女になる手伝って欲しい」
「うふふふっ、勿論よ。あと“なりたい”じゃなくて、絶対に“なる”のよ」
「おばあちゃん……!!」
かくして、私の復讐劇は幕を開けた。
[水平線]
【復讐したい女の子】
名前は次回から。(まだ考えてない。)この後おばあちゃんの助けもあって最高の女になる。
及川さんに惚れて自分から告白したけど、2ヶ月かけてようやくキスのレベルで貞操が硬い。
三毛猫にしては珍しく転生者じゃない。
【おばあちゃん】
元舞台女優で今はフリーのデザイナーをしている。夫とは40年以上前に離婚しており、息子(夢主の父親)を女手ひとつで育てた。結婚している間の苗字は鷲じょ……おや、誰か来たようだ。
見た目は黒のレザーも着こなすかっこいいおばあちゃん。
復讐方法は旦那で実証済み。
私じゃない女の子とデートして、キスして一緒に彼氏の自宅に入って行った。それも複数人。
これで三回目。とうとう見間違いという誤魔化し方は出来なくなった。
付き合って半年。部活に真剣に打ち込む彼に一目惚れした私から告白して、彼が軽い調子でオッケーしたのが始まりだったけど、部活のない休日には二人でデートして服装も褒めて貰って、キスもして………。
多分おそらく一般的な恋人だったはずだ。
いや、これは私の主観であって客観ではない。
客観的に見たら私は都合のいい女で、彼からみたら私は遊び相手だったかもしれない。
そう考えると、勝手にぽろぽろと涙が溢れて鼻がグズグズする。体の中でどす黒い感情が渦巻いて今にも爆発しそうだった。
きっと私の顔は人に見せられるものではいだろう。
泣き過ぎて耳鳴りがする。震える指先でおろしたてのワンピースの裾に爪を立てた。
ここから一刻も早く離れたくて苦しくなるまで走って、走って、走って。溢れる涙を手で拭った。
知り合いに見られていない事を祈りながら、普段から走らないせいでもう悲鳴を上げている太ももに鞭を打った。
家には帰れない。
こんな顔お母さんには見せられないし、お父さんやお兄ちゃんも事情を聞いたら烈火の如く怒り出す。
ただですら私に恋人ができたって言っただけで、三日もいかに男が危険かを力説してきたのだから。
じゃあどうしよう、家もダメ。友達の家もダメ。図書館?いや、人がいる。
ぐるぐるする思考の中、閃いた場所は__________
「おばあちゃんっ……!」
祖母の家だった。
▼▽▼
おばあちゃんは涙と鼻水でぐちゃぐちゃな顔をした私を何も言わずに家に招き入れた。
おばあちゃんの優しさに甘えてふかふかの革張りソファーで泣いて泣いて、泣きまくって涙も枯れた頃にはもう日が暮れていた。
なんだか子供みたいだなぁと、思いつつ最後の鼻水をテッシュで噛んで捨てた。
「これで目を冷やしな。そんな真っ赤な目で家に帰ったらあのバカな男共が暴れ出すからね」
そう言っておばあちゃんには茶目っけたっぷりにウィンクした。
今年で67歳になるとは思えないぐらい若々しい動作にびっくりしたけど、不思議なことにおばあちゃんはそれが似合う。
昔は舞台女優をやっていたらしいおばあちゃんはl切り揃えた真っ白な髪に大ぶりなイアリングをしていて、キリッとした目元と赤いリップがそれの動作を益々魅力的にさせる。
カッコよくて、なんだか将来はこんな風に歳を取りたいなと思わせる美しさがあった。
そしておばあちゃんはいつもシャキッとしていて、秘密は絶対に守ってくれる。まさに最高のお祖母様って感じだ。
そんなおばあちゃんなら私が泣いた理由もここに来た理由も分かってくれる気がした。
「あ、のね、おばあちゃん………私が、泣いてた理由聞いてくれる………?」
「勿論さ。の可愛い可愛い孫娘を泣かせたんだ、その理由を聞かなくってどうするってんだい?」
「うん……うん、ありがとう」
また溢れそうになった涙を無理やり引っ込めて、おばあちゃんに全部を話した。
彼氏に浮気さえたこと、その気持ち、迷い、ここに来た理由………その全部を話した。
意外だったのは浮気された事を話したら、また彼氏が他の女の子とキスした時を思い出して泣いてしまうと思っていんだけど私は泣かなかった。
「そうかい、そうかい。話してくれてありがとう
ぽんぽんっと、年季の入った温かい手が背中を優しく叩く。心なしか、体の中で渦巻いていたどす黒い感情が薄くなった気がした。
でも、この感情は無くならなかった。
「私………アイツに復讐してやりたい」
ポツリとこぼした物騒な言葉。
おばあちゃんはその言葉を待ってましたと言わんばかりの笑顔で、ニヤリと妖艶に笑った。
そして真っ赤な唇が囁く。
「流石私の孫ね、そう来なくっちゃ。そうだ!復讐するならとってもいい方法を教えてあげるるわ」
魔女のように笑ったおばあちゃんは組んでいた足を解いて、立ち上がった。
「惚れさすのよ。ズブズブに死ぬほど惚れさせて、最高のタイミングで容赦なく捨てなさい。それが男に一番効く復讐方法よ」
そ、そんなギリギリセーフよりのアウトな復讐法ある!?
……いやでも今の状態で私が彼を振っても、彼氏にはなんのダメージも入らない。
でも、私に惚させて私から振ってしまえば一生彼の記憶の中から消えない。
男性は元カノを美化しやすいとどこかで読んだきがする。
ならいっそ私が彼にとって最高で最低な[漢字]元カノ[/漢字][ふりがな]思い出[/ふりがな]になってやるのもありかもしれない。
「おばあちゃん、私………アイツの、及川 徹の【最高/最低】の元カノになりたいの。だから、私が最高の女になる手伝って欲しい」
「うふふふっ、勿論よ。あと“なりたい”じゃなくて、絶対に“なる”のよ」
「おばあちゃん……!!」
かくして、私の復讐劇は幕を開けた。
[水平線]
【復讐したい女の子】
名前は次回から。(まだ考えてない。)この後おばあちゃんの助けもあって最高の女になる。
及川さんに惚れて自分から告白したけど、2ヶ月かけてようやくキスのレベルで貞操が硬い。
三毛猫にしては珍しく転生者じゃない。
【おばあちゃん】
元舞台女優で今はフリーのデザイナーをしている。夫とは40年以上前に離婚しており、息子(夢主の父親)を女手ひとつで育てた。結婚している間の苗字は鷲じょ……おや、誰か来たようだ。
見た目は黒のレザーも着こなすかっこいいおばあちゃん。
復讐方法は旦那で実証済み。
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