「はい。紅茶でよかった？」
「うん。ありがとう…」
落ちこぼれ料理人見習いの、須々木愛。
私は今、[太字]魔界[/太字]にいる。
「私の料理が認められる世界に行きたい！」
そう願った、それが原因なのかも。
今、紅茶を持ってきてくれたのはリイム。
人間だとばれて、人混みにのまれていたところを、助けてくれた。
(とって食べられたりは、しなそう…？)
「アイ、あなた人間なのよね？」
「え、うんっ…」
「どうして、ここにきたか分かる？」
「えっと…」
私は、出来事を全て話した。
「長くなってごめん。たぶん、それが原因だと思…う…って…」
「ぐすっ…ぐっ…」
(えぇ、泣いてる…！？)
「なんで、え…っ」
「ごめん、私涙もろいから…」
数分後、リイムの涙が止まった。
「アイ、あなた強いのね…」
「うん。前向きに生きよう、とは思ってるよ」
「そう…この世界はね。あなたみたいな人間がまれに来るのよ。」
(私以外にも、いる…？)
「そして、その子が3年ここにいると、羽が生える。」
「え！？」
「でも、帰りたければすぐに帰れる。人間界に帰りたくないなら、そのままここに滞在して、悪魔になって一生ここで過ごす。その2択よ」
「そうなんだ…」
じゃあ、私は今からでもすぐに家に帰れる…？
また、料理の練習して…
(…でも、もうだめかな…)
「それで、帰るの？それなら、案内するけど…」
「…ううん。帰らないっ！私、ここで頑張りたい。」
「…そう。…いいこと教えてあげるわ」
(…なんだろう…？)
「私も、元々はあなたと同じようにここに来て、帰りたくなかった人間よ」
「えっ！？リイムも、人間だったの…？」
「えぇ。アイ、絶対に…立派な料理人になりなさい！」
「…うん！ありがとう」
私は、この悪魔だらけの魔界で生きることを決めた。
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