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「レイラ！今日は町の方へ下ってこない？パン屋の『サルトゥス・ムジカ』が新商品を売ってるの！」
「サルトゥス・ムジカ…」
森の音楽。それが、「サルトゥス・ムジカ」の意味。

私は森に住んでいて、あまり町へ下ることはない。
町の人たちが、いつも食べ物を届けてくれるから。
時には、綺麗な服まで。

そして、今私の家の中に、木でできた椅子に腰かけ、嬉しそうにバスケットの中を見せてくれる少女は「イーシャ・アンダーウッド」。

17歳、一つ年下で、こげ茶の髪に綺麗な青い目。
おまけに綺麗な顔をしている。
妹のようで、とても可愛い！

よくここに来て、町の話をしてくれるのは彼女だ。

「そうね…行こうかな！」
「そう来なくっちゃ！」
イーシャが嬉しそうにコロコロと笑う。

＊＊＊

「あのパン、美味しかったね！」
「そうだねぇっ！」
「そういえばイーシャ、仕事の時間じゃない？」
「え"」
イーシャはいつも、リンゴの収穫を手伝っている。
「本当だ、ありがとう！レイラ、また下に降りてきてよね！」
「うん、もちろん」
イーシャは「ばいばーい」と小さく手を振って、家の方へ駆けて行った。

私は家に帰るため、森の方へ向き直った。



5分ほど歩いた。
いつもは「シン…」としている森の中。
でも今日は違った。

「おい、お前はどこに住んでいる」
と、後ろから声が聞こえたから。