「おお、どうしたんじゃ？そんな陰気臭い顔しよって」

そう言って、腰に手を置いたのは白髪の青年だ。
ウルフヘアーにカットされた白髪に、瑠璃と同じ白く長い睫毛に縁取られた青色の宝石のような瞳が特徴的な、これまた顔が整った青年だ。
その青年を驚いたように見る結真と、呆れたように見つめる瑠璃。二人の反応を見た楓は小さく首を傾げた。

結真『え･･･なんでここにいんの？』

瑠璃「当主なのに暇なんでしょう、まったく･･･」

「扱いがヒドすぎんか？ワシ、一応お主らよりは立場上じゃぞ」

青年は苦笑いしながらも、そう答える。状況に頭が追いついていない楓に瑠璃は説明をした。

瑠璃「この方は八神家当主である八神羅真、私の父上であり＿＿＿＿結真の祖父に当たる方です」

楓「え？おじいちゃんってことですか？にしては若いような･･････」

羅真「ワシらは長寿じゃからのぅ･･･瑠璃と結真もとっくのとうに100歳など超えとるぞ」

楓「えっ!?」

結真『戦国時代生まれだよー』

瑠璃「私は確か･･･飛鳥時代でしょうか」

楓「思ってたよりめっちゃ昔だった･･･」

衝撃の事実を聞いた楓は頭の中でまとめながら、どうにか自分を落ち着かせる。
そのまま、結真と瑠璃と話している羅真を見て、

楓「それでー･･･羅真さんはどうしてここに？」

羅真「いや、自分の学園がどこぞの阿呆になんかされてるって聞いたから来ただけじゃ」

楓「自分の学園？」

羅真「ワシ、ここの学園長」

情報過多すぎる。
要するに、結真の祖父が学園長？そして、その息子が学園の教師？
一体どういうことだ。

羅真「とまあ、それは置いといて･･････羅刹はどうした？」

瑠璃「見事なまでに逃走、行方は何処へっと言った感じですね」

結真『そもそも用がなんなのかって話だし』

結真がそう言った途端、楓は思わず口を開いた。

楓「”鬼神”と”剣狼”を探してるらしいよ、咲原さんがそう言ってた」

楓がそう言った瞬間、羅真がこちらを見た。

羅真「それは確かなんじゃな？下に居た小娘がそう言っていたと言うのか？」

楓「は、はい･･･確かそう言っていたと聞いてます」

楓の言葉に羅真は煩わしそうに舌打ちをし、楓を見た。

羅真「貴様と下にいた小娘の名は？」

楓「えっと･･･私は一ノ瀬楓で、下の人は咲原結香さんです」

羅真「よし･･･貴様ら小娘二人を我が八神家本殿に招待しよう」