玄関口までにはおよそ15体ほどの化け物がいる。
その情報を結香から聞いた楓は作戦を伝え、その準備をした。そして準備が整い二人揃って廊下に出る。

結香「私が先頭を行くわよ？一ノ瀬さん、運動苦手でしょ？」

楓「知ってたんだ･･･いや、私が前行くよ。咲原さんは運動神経がいいから動ける状態で居てほしいし」

楓はそう言いながらホウキを構える。楓の作戦はこうだ。
ホウキで化け物たちの群れを蹴散らしながら玄関口まで向かう。正直言って失敗する可能性の方が高い。命を無駄にしようとしてるだけだ。

結香「つっても何もしなくても死ぬかもだしね。それなら何体かの化け物をぶっ殺して死んだ方がかっこいいじゃない」

作戦を伝えた時、結香はそう言った。普段の高圧的な性格とは違い、頼りになる雰囲気だ。
楓が先に進んでなるべく化け物の数を減らす。結香は追いかけてくる化け物たちを蹴散らす。
楓はホウキを振り回しながら走る。その後ろで結香が追いかけてくる化け物を器用に薙ぎ払っていく。

結香「ていうか聞くの遅れたんだけど‼️結真はっ!?」

楓「音楽室に居る‼️外に出て人を呼んでほしいって‼️」

結香「はあ!?なんであのバカ居ないわけェ!?」

叫びながら玄関口に近付いていく。5分くらい進んでいると玄関口まで来ることが出来た。
化け物たちを振り切って校門から出る二人。

楓「っハア･･･っハア･･･あ、連絡しないと･･･」

震える手でスマホに電話番号を打ち込み、電話をかける。
しばらくしてガチャという音と共に声が聞こえた。

《もしもし、誰でしょうか？》

聞いたことのある声だった。だが朦朧とした頭ではそんなこと気にしていられなかった。

楓「あ、あの･･･『出雲学園』に化け物がいて･･･結真ちゃんが取り残されてるんです･･･」

《･･･あのバカ、わざわざ残ったんですか･････････すみません、今すぐ行きます》

そう言って電話を切られ、その瞬間気を失った。
気を失う直前、結香の心配する声がよく聞こえた。