鬼神様はゆったり暮らしたい
手にチョーカーを握りしめ、楓は廊下を駆け抜ける。
運動は元々得意ではなかったが、これが”火事場の馬鹿力”ってやつなのか。
楓「外に出てから連絡ってことは・・・!」
そう言いながらスカートのポケットからスマホを取り出す。
いつもなら繋がるはずのスマホには『圏外』と書かれていた。この学園で今、異常事態が起こっているのだ。恐らく、音楽室以外にも______
楓「・・・あっ」
廊下を曲がろうとした瞬間、奥から気配がすることに気付いた。
離れていた結香たちかと思ったが何かが違う。人ではない、何かだ。
楓は旧に固まったように動かなくなった足に力を入れ、近くの教室に隠れる。口元を押さえ、息を潜めながら廊下の方に目をやる。
楓「・・・なに、あれ」
廊下の門から現れたのは、石像だった。
『出雲学園』には二宮金次郎の石像があり、”七不思議”の一つにもなっている。
____”夜12時になると動き、校舎を徘徊する二宮金次郎像”_____。
だが今は12時ではない、なのに動いている。この学園は何かがおかしいのだ。
楓「(どうしよ・・・バレたらどうなるの?咲原さんたちは・・・どこ?)」
早くなる心臓の鼓動を感じながら楓は必死に頭をフル回転させる。今はとりあえずあの石像が通り過ぎるのを待つしかない。
[太字]カタンッ カタンッ[/太字]
石の下駄音が聞こえる。廊下に反響して響くその音は楓の恐怖を倍増させていく。
楓「(早く・・・早くどこかに行って!)」
心の中で叫びながら楓はその場に蹲る。
______どれくらい、そうしていただろうか。いつの間にか下駄音は聞こえなくなっており、廊下を見てみるとあの石像はいなくなっていた。
楓「(良かった・・・)」
安心して息を吐いたその瞬間_____
「居たっ!」
楓「キャア‼️」
ドアから誰かが現れた。咄嗟に身構えたが何もしてこないその誰かを見た瞬間、楓の恐怖は消えた。
楓「咲原さん・・・」
結香「一ノ瀬さん、無事だったのね」
いつも綺麗に巻かれてる金髪は乱れており、常に身だしなみに気をつけている結香の服装は荒れたものだった。
だが怪我はなさそうに見える。無事な、人間だ。
楓「咲原さん・・・他の人たちは・・・」
結香「・・・・・・生きているかは分からなけど、どうなったかはこの目で見たわ」
俯きながら、結香はポツポツと話し始める。
運動は元々得意ではなかったが、これが”火事場の馬鹿力”ってやつなのか。
楓「外に出てから連絡ってことは・・・!」
そう言いながらスカートのポケットからスマホを取り出す。
いつもなら繋がるはずのスマホには『圏外』と書かれていた。この学園で今、異常事態が起こっているのだ。恐らく、音楽室以外にも______
楓「・・・あっ」
廊下を曲がろうとした瞬間、奥から気配がすることに気付いた。
離れていた結香たちかと思ったが何かが違う。人ではない、何かだ。
楓は旧に固まったように動かなくなった足に力を入れ、近くの教室に隠れる。口元を押さえ、息を潜めながら廊下の方に目をやる。
楓「・・・なに、あれ」
廊下の門から現れたのは、石像だった。
『出雲学園』には二宮金次郎の石像があり、”七不思議”の一つにもなっている。
____”夜12時になると動き、校舎を徘徊する二宮金次郎像”_____。
だが今は12時ではない、なのに動いている。この学園は何かがおかしいのだ。
楓「(どうしよ・・・バレたらどうなるの?咲原さんたちは・・・どこ?)」
早くなる心臓の鼓動を感じながら楓は必死に頭をフル回転させる。今はとりあえずあの石像が通り過ぎるのを待つしかない。
[太字]カタンッ カタンッ[/太字]
石の下駄音が聞こえる。廊下に反響して響くその音は楓の恐怖を倍増させていく。
楓「(早く・・・早くどこかに行って!)」
心の中で叫びながら楓はその場に蹲る。
______どれくらい、そうしていただろうか。いつの間にか下駄音は聞こえなくなっており、廊下を見てみるとあの石像はいなくなっていた。
楓「(良かった・・・)」
安心して息を吐いたその瞬間_____
「居たっ!」
楓「キャア‼️」
ドアから誰かが現れた。咄嗟に身構えたが何もしてこないその誰かを見た瞬間、楓の恐怖は消えた。
楓「咲原さん・・・」
結香「一ノ瀬さん、無事だったのね」
いつも綺麗に巻かれてる金髪は乱れており、常に身だしなみに気をつけている結香の服装は荒れたものだった。
だが怪我はなさそうに見える。無事な、人間だ。
楓「咲原さん・・・他の人たちは・・・」
結香「・・・・・・生きているかは分からなけど、どうなったかはこの目で見たわ」
俯きながら、結香はポツポツと話し始める。
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