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鬼神様はゆったり暮らしたい

#23

#21

手にチョーカーを握りしめ、楓は廊下を駆け抜ける。
運動は元々得意ではなかったが、これが”火事場の馬鹿力”ってやつなのか。

楓「外に出てから連絡ってことは・・・!」

そう言いながらスカートのポケットからスマホを取り出す。
いつもなら繋がるはずのスマホには『圏外』と書かれていた。この学園で今、異常事態が起こっているのだ。恐らく、音楽室以外にも______

楓「・・・あっ」

廊下を曲がろうとした瞬間、奥から気配がすることに気付いた。
離れていた結香たちかと思ったが何かが違う。人ではない、何かだ。
楓は旧に固まったように動かなくなった足に力を入れ、近くの教室に隠れる。口元を押さえ、息を潜めながら廊下の方に目をやる。

楓「・・・なに、あれ」

廊下の門から現れたのは、石像だった。
『出雲学園』には二宮金次郎の石像があり、”七不思議”の一つにもなっている。
____”夜12時になると動き、校舎を徘徊する二宮金次郎像”_____。
だが今は12時ではない、なのに動いている。この学園は何かがおかしいのだ。

楓「(どうしよ・・・バレたらどうなるの?咲原さんたちは・・・どこ?)」

早くなる心臓の鼓動を感じながら楓は必死に頭をフル回転させる。今はとりあえずあの石像が通り過ぎるのを待つしかない。

[太字]カタンッ カタンッ[/太字]

石の下駄音が聞こえる。廊下に反響して響くその音は楓の恐怖を倍増させていく。

楓「(早く・・・早くどこかに行って!)」

心の中で叫びながら楓はその場に蹲る。
______どれくらい、そうしていただろうか。いつの間にか下駄音は聞こえなくなっており、廊下を見てみるとあの石像はいなくなっていた。

楓「(良かった・・・)」

安心して息を吐いたその瞬間_____

「居たっ!」

楓「キャア‼️」

ドアから誰かが現れた。咄嗟に身構えたが何もしてこないその誰かを見た瞬間、楓の恐怖は消えた。

楓「咲原さん・・・」

結香「一ノ瀬さん、無事だったのね」

いつも綺麗に巻かれてる金髪は乱れており、常に身だしなみに気をつけている結香の服装は荒れたものだった。
だが怪我はなさそうに見える。無事な、人間だ。

楓「咲原さん・・・他の人たちは・・・」

結香「・・・・・・生きているかは分からなけど、どうなったかはこの目で見たわ」

俯きながら、結香はポツポツと話し始める。

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作者メッセージ

結真が出てくるのはもう少し先かなー
マジで2章が長くなる予感しかない・・・

2024/11/30 14:13

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