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歪みの中の城

#4


謎の黒い空間が消えて程なくして、怪しげな2人の男が駆け足でやってきた。


「ヴィバーチェの兄貴、女がいませんぜ」


大柄な男が狼狽えながら小柄の男に言った。


「慌てるな、ラルゴ」


どうやら大柄な男がラルゴ、小柄な男がヴィバーチェと言う名前で、ヴィバーチェの方が上司のようだ。

ヴィバーチェは行き止まりの壁に手を当てると、


「時空が歪んだ形跡がある」


ラルゴには分からなかった形跡を感じ取った。


「自然に発生した歪みですかね。運が良い女だ」

「ああ」

「どうしやしょう。自然発生だと行き先を突き止めるのは困難ですぜ」

「ひとまず、あの方へ報告する」


ヴィバーチェはスッと右手を振ると、先程ピアノが飲まれ込んだ黒い空間が出現した。


「行くぞ」


2人の男はさも当たり前のように空間へと足を踏み入れ、姿を消したのだった。

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2024/10/15 11:50

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