君からもらった宝物。
生徒会演説の当日。
丁寧に練習したから大丈夫なはずだった。
だけど今の心境。
緊張する~
私は、ステージにあがってみんなの前で話すことなんて……今まで全く経験がなかったのだ。
今までもそういうキャラじゃなかったも
ので……
緊張して声出なくなったらどうしよう~
楽しみよりも不安が募る。
本番前。私たちは生徒会室に集まり、流れの確認をした。
今回は12人、かな。
定員ぴったりだから、全員無投票でなれるらしい。
その時点で少しほっとしていた。
誰かと争う必要はないし、ここに集まってるみんなは既に仲間だ。
会長1人、副会長2人、書記2人、会計2人、庶務5人。
会長は前に、あの説明会で話してた子。あの会長と知り合いになれるんだ嬉しい!
生徒会室ってこんな場所なんだ。
ホワイトボードの前に大きな机が1つ。
その周りに椅子が並ぶ。
意外とシンプルな感じで気に入った。
ここで、みんなで活動できるんだ。
なんか……ワクワクしてきた!!!
そしてステージに向かう途中。
「緊張しとるん?」
会長が私の顔を見てそう言った。するとポンと肩をたたいて
「大丈夫、最初はみんなそんなもん。僕もそっから始まったし。」
って言ってくれた。
だけどステージの前に来ると急に心臓がバクバクした。足がすくみそうになった。
全校生徒の視線がすごい。
なんか……頭が真っ白………
「そんなとこで止まっとらんと、とりあえずステージ上がりー」
会長が優しくそう言ってくれた。この会長、関西弁?なんかいいね……!ほっこりする。
「なんかあったらフォローするし、大丈夫、みんないるから! 」
私はその言葉に自然と勇気づけられた。
あれから嬉しくて、気分が高まって………
会長の演説とか、他の人の演説が全く頭に入ってこなかった。
「真希~、どうしたのー?なんか演説の途中、すごいボーッとしてたよ-」
演説終了後。
結花にそう言われ、私は答えに迷った。
「あー、なんか力が抜けたのよね。あの会長の言葉で。」
「へえー、会長の演説で?」
「うんうん、まあ、そうだよ!!みんな頑張って話してるんだなーと思って、自分の演説も終わって、ホッとしてたんだ!!」
私はトップバッターだったから、自分の番が終わってからものすごい脱力感があったのだ。
「まあそうだね。一番最初は緊張するし…とりあえず、お互いお疲れ様!」
「お疲れー」
私たちは2人でそう言い合った。
「仲いいね。」
同じ庶務の1年生の女子がそう言った。
庶務のメンバーは全員1年生。
そのうち2人は女子で、友達同士ではなさそうだけど、既に仲良くなりつつありそうだった。
もう1人は男子で、なんとなく居場所がなさそうだったが、先輩と仲良くなっている。
あと残りの庶務2人は私と結花だよー!
「うん、私たち中学校から一緒だもんね、結花。」
「うん、私はずっと真希と仲良しなんだー」
「いいね!私は桂田みみ。よろしく!」
「私は徳井花音。みんなよろしくね!」
4人で仲良くなった。少し絆が深まった気がして、嬉しかった。
だけど……その2人はすぐに私たちと話をやめて、私たちの方を見てコソコソと何やら話をし始めた。
なんか、いやな感じ……………
―――小学校の頃のトラウマを思い出す。
小学生のとき私はいじめられていた。
クラスで4人グループ自由に作ってください!とかいう時間が、地獄だった。
もちろん私は一人で余り者だ。
先生がみんなに言う。
「梅野さんを入れてくれる人、いませんかー?」
みんな黙り込む。コソコソと話をし始める。
そこで誰かが手を上げようものなら、その子たちはかわいそう、かわいそう。とずっと言われることになる。
かわいそうなのは何もしてないのに、おとなしいだけで仲間はずれにされる私の方なのにね。
私を救ったら、嫌われ者を仕方なく助けた、かわいそうな悲劇のヒロイン……
みんなからそう語り継がれるのだ。
「先生、何でその子いれないといけないのー?」
いじめっ子が笑いながらそう言った。
先生は何も言えなかったらしい。
結局みんなそんなものだ。
救いの手を差し伸べようとしても、みんな結局、追い詰められると冷たくなる。
自分の評価を最優先するのだ。そういう生き物だ。
――人間不信になりそうだった。
私の触ったものに触ったひとが負け、あいつの菌だよーと言って鬼ごっこをする。
私の座った椅子には誰も座らない。
座るときは必ず除菌シートでふく。
トイレに行ったときも、私が個室から出てくるとギャーって叫んで、あいついたよ、きたないー!って鼻を塞いでトイレから出て行く。
後ろには行列がついていたのに――私の入った後の個室には誰も入らない。そこに入ろうとする人はいたけど、さっきあいつそこに入ってたよ-といじめっ子が言い、誰か入りそうになるのを止めた。
だからトイレはそれ以来ほかの学年のところ使ってたな。
そしたら、なにも言われなかったし。
提出物は私のものの上には重ねない。
暗黙のルールらしかった。だから私のものが、いつも一番上に来てたんだ。
コソコソと、くさいって言われたこともあった。コソコソ話はそもそも通りすがりにされたり、私と同じグループになった途端にされたりと日常茶飯事だった。
廊下歩いてたらみんなに逃げられる。
書いてたらきりがない。
私の何がダメなのか。
そう思って仕返ししたこともある。放課後に、私の椅子といじめっ子の椅子をこっそり取り替えてやった。
翌日、いじめっ子はその椅子に普通に座っており、なんだ、あんた私の触ったもの触れるんじゃん!と心の中でいじめっ子を見下した。
あいつらはクラスでは威張るが、所詮低俗な奴らだと馬鹿にしたりした。
もうこうなったら割り切ってやるとも、何度も思った。
下校中に石を投げつけられたこともあった。
私は泣きながら奴らからひたすら逃げて、家まで走った。
でもこのまま帰ったら親が私の泣き顔見て心配するから、わざと転んでかすり傷をつけて、親には転んだーって言って泣いた。
当時はなんとも複雑な気分であった。
そうして私は、そんな現状を何とか乗り越えた。ひたすら我慢した。不登校にもならなかった。
勉強だけは悔しくて、頑張った。あんないじめっ子に負けるなんてバカらしい。
絶対、あいつらよりも上になってやる。
そう思ったのが、今の優等生の私を作ったきっかけだった。
中学校になると結花という最高の親友ができ、私を何度も救ってくれた。
いじめられても気にしない。ずっとそばにいてくれる。
「私のところにいたら、結花までいじめに遭うよ…それはいやだよ」
「大丈夫だって!私は真希と一緒にいたくて、ここに居るから。」
そう言ってくれた。いじめっ子に言い返してもくれた。
こんな素敵な子もいるんだ。
少し期待してみてもいいのかな。
そのうち、いじめる人はいなくなった。
――だから私には今がある。
そう思ってたのに、またあのときに逆戻りするのかな。
期待と不安が入り交じり、私の胸が押しつぶされそうになるような気がした。
「なんでこそこそ話してんの、そんなんあかんで。気分悪いな」
そう言ったのは会長だった。
「会長…!何でもないです、すみません。」
そう言って、結局その2人は私たちと話してくれた。
会長……既にあなたは私のヒーローだ。
丁寧に練習したから大丈夫なはずだった。
だけど今の心境。
緊張する~
私は、ステージにあがってみんなの前で話すことなんて……今まで全く経験がなかったのだ。
今までもそういうキャラじゃなかったも
ので……
緊張して声出なくなったらどうしよう~
楽しみよりも不安が募る。
本番前。私たちは生徒会室に集まり、流れの確認をした。
今回は12人、かな。
定員ぴったりだから、全員無投票でなれるらしい。
その時点で少しほっとしていた。
誰かと争う必要はないし、ここに集まってるみんなは既に仲間だ。
会長1人、副会長2人、書記2人、会計2人、庶務5人。
会長は前に、あの説明会で話してた子。あの会長と知り合いになれるんだ嬉しい!
生徒会室ってこんな場所なんだ。
ホワイトボードの前に大きな机が1つ。
その周りに椅子が並ぶ。
意外とシンプルな感じで気に入った。
ここで、みんなで活動できるんだ。
なんか……ワクワクしてきた!!!
そしてステージに向かう途中。
「緊張しとるん?」
会長が私の顔を見てそう言った。するとポンと肩をたたいて
「大丈夫、最初はみんなそんなもん。僕もそっから始まったし。」
って言ってくれた。
だけどステージの前に来ると急に心臓がバクバクした。足がすくみそうになった。
全校生徒の視線がすごい。
なんか……頭が真っ白………
「そんなとこで止まっとらんと、とりあえずステージ上がりー」
会長が優しくそう言ってくれた。この会長、関西弁?なんかいいね……!ほっこりする。
「なんかあったらフォローするし、大丈夫、みんないるから! 」
私はその言葉に自然と勇気づけられた。
あれから嬉しくて、気分が高まって………
会長の演説とか、他の人の演説が全く頭に入ってこなかった。
「真希~、どうしたのー?なんか演説の途中、すごいボーッとしてたよ-」
演説終了後。
結花にそう言われ、私は答えに迷った。
「あー、なんか力が抜けたのよね。あの会長の言葉で。」
「へえー、会長の演説で?」
「うんうん、まあ、そうだよ!!みんな頑張って話してるんだなーと思って、自分の演説も終わって、ホッとしてたんだ!!」
私はトップバッターだったから、自分の番が終わってからものすごい脱力感があったのだ。
「まあそうだね。一番最初は緊張するし…とりあえず、お互いお疲れ様!」
「お疲れー」
私たちは2人でそう言い合った。
「仲いいね。」
同じ庶務の1年生の女子がそう言った。
庶務のメンバーは全員1年生。
そのうち2人は女子で、友達同士ではなさそうだけど、既に仲良くなりつつありそうだった。
もう1人は男子で、なんとなく居場所がなさそうだったが、先輩と仲良くなっている。
あと残りの庶務2人は私と結花だよー!
「うん、私たち中学校から一緒だもんね、結花。」
「うん、私はずっと真希と仲良しなんだー」
「いいね!私は桂田みみ。よろしく!」
「私は徳井花音。みんなよろしくね!」
4人で仲良くなった。少し絆が深まった気がして、嬉しかった。
だけど……その2人はすぐに私たちと話をやめて、私たちの方を見てコソコソと何やら話をし始めた。
なんか、いやな感じ……………
―――小学校の頃のトラウマを思い出す。
小学生のとき私はいじめられていた。
クラスで4人グループ自由に作ってください!とかいう時間が、地獄だった。
もちろん私は一人で余り者だ。
先生がみんなに言う。
「梅野さんを入れてくれる人、いませんかー?」
みんな黙り込む。コソコソと話をし始める。
そこで誰かが手を上げようものなら、その子たちはかわいそう、かわいそう。とずっと言われることになる。
かわいそうなのは何もしてないのに、おとなしいだけで仲間はずれにされる私の方なのにね。
私を救ったら、嫌われ者を仕方なく助けた、かわいそうな悲劇のヒロイン……
みんなからそう語り継がれるのだ。
「先生、何でその子いれないといけないのー?」
いじめっ子が笑いながらそう言った。
先生は何も言えなかったらしい。
結局みんなそんなものだ。
救いの手を差し伸べようとしても、みんな結局、追い詰められると冷たくなる。
自分の評価を最優先するのだ。そういう生き物だ。
――人間不信になりそうだった。
私の触ったものに触ったひとが負け、あいつの菌だよーと言って鬼ごっこをする。
私の座った椅子には誰も座らない。
座るときは必ず除菌シートでふく。
トイレに行ったときも、私が個室から出てくるとギャーって叫んで、あいついたよ、きたないー!って鼻を塞いでトイレから出て行く。
後ろには行列がついていたのに――私の入った後の個室には誰も入らない。そこに入ろうとする人はいたけど、さっきあいつそこに入ってたよ-といじめっ子が言い、誰か入りそうになるのを止めた。
だからトイレはそれ以来ほかの学年のところ使ってたな。
そしたら、なにも言われなかったし。
提出物は私のものの上には重ねない。
暗黙のルールらしかった。だから私のものが、いつも一番上に来てたんだ。
コソコソと、くさいって言われたこともあった。コソコソ話はそもそも通りすがりにされたり、私と同じグループになった途端にされたりと日常茶飯事だった。
廊下歩いてたらみんなに逃げられる。
書いてたらきりがない。
私の何がダメなのか。
そう思って仕返ししたこともある。放課後に、私の椅子といじめっ子の椅子をこっそり取り替えてやった。
翌日、いじめっ子はその椅子に普通に座っており、なんだ、あんた私の触ったもの触れるんじゃん!と心の中でいじめっ子を見下した。
あいつらはクラスでは威張るが、所詮低俗な奴らだと馬鹿にしたりした。
もうこうなったら割り切ってやるとも、何度も思った。
下校中に石を投げつけられたこともあった。
私は泣きながら奴らからひたすら逃げて、家まで走った。
でもこのまま帰ったら親が私の泣き顔見て心配するから、わざと転んでかすり傷をつけて、親には転んだーって言って泣いた。
当時はなんとも複雑な気分であった。
そうして私は、そんな現状を何とか乗り越えた。ひたすら我慢した。不登校にもならなかった。
勉強だけは悔しくて、頑張った。あんないじめっ子に負けるなんてバカらしい。
絶対、あいつらよりも上になってやる。
そう思ったのが、今の優等生の私を作ったきっかけだった。
中学校になると結花という最高の親友ができ、私を何度も救ってくれた。
いじめられても気にしない。ずっとそばにいてくれる。
「私のところにいたら、結花までいじめに遭うよ…それはいやだよ」
「大丈夫だって!私は真希と一緒にいたくて、ここに居るから。」
そう言ってくれた。いじめっ子に言い返してもくれた。
こんな素敵な子もいるんだ。
少し期待してみてもいいのかな。
そのうち、いじめる人はいなくなった。
――だから私には今がある。
そう思ってたのに、またあのときに逆戻りするのかな。
期待と不安が入り交じり、私の胸が押しつぶされそうになるような気がした。
「なんでこそこそ話してんの、そんなんあかんで。気分悪いな」
そう言ったのは会長だった。
「会長…!何でもないです、すみません。」
そう言って、結局その2人は私たちと話してくれた。
会長……既にあなたは私のヒーローだ。
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