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05の後半から、いじめのシーンが含まれます。
いじめシーンが苦手な方は注意!!
06は作者が今忙しいため、まだ作成途中です。

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君からもらった宝物。

#2

入学説明会ー彼に会った日ー

入学式の少し前にあった、入学説明会の日。

既に桜が満開に咲いているが、私の心には桜は咲いていない。

今年は桜咲くの早いな。

私の心にはまだ冷たい風が吹いているというのに。

おまけに雪まで降っている。

まだあの日のことは忘れられない。







合格発表が終わった後、親友の結花から電話がかかってきたときはなんか嬉しかったけど。

その夜は、自分が抑えられなくなって思いっきり今まで勉強してきたノートを破った。
受験番号が書かれた紙を破ったり、今までつけてきた日記をシュレッターしたりした。

私は、実はやっぱり、先生に恋していた。

でも忘れたかった。だからこうして何もかも全てを忘れようとした。

いつも話せて楽しかったな。

2,3年は担任じゃなかったけどね。

廊下で会ったとき挨拶してくれるのも嬉しかったな。

夏休み、会長の集まりでその後2人で残ったりしたね。

運動会の日、私と話して思いっきり笑ってたね。

でもあの人の心に……私はなかったんだ、きっと。

―――ああ、きっとそうだ。




というわけで、私の心はまだ冬の、葉もつぼみもついていない木のままだ。

あれから成長もしてないし、何も変わっていない。

もしかして、変わる勇気がないだけかもしれない。私自身、変わろうとしていないのかもしれない。

先生に会いたい。
私のこのどうにもならない気持ちを受け止めてほしい。
でも頑張ったねって誰かに認めてほしかった。

親は無言で、合格発表の日私を迎えた。

それから一言。

「あれだけできたっていったのにどういうことよ?」

親も泣いていたけど、言葉としてはそれだけだった。でも頑張ったねとは一応その後、言ってくれたしほっとしたけど。


先生に会いたい。
でもなんて顔して会えばいいんだろう。


そんなことをずっと考えていても、先生が会いに来てくれるはずないし、自分で行動を起こさないといけないのに。

―――もういい、忘れよう。
またどこかで、会える日まで。

そう考えながら門をくぐる。私立なだけあって、施設は完璧だ。途中、トレーニングジムみたいな場所とか、食堂とか嬉しくなるぐらい充実した設備だった。

しかし、私はこの学校でどうすればいいのか、何をすればいいのか……正直分かっていなかった。


しかも第一希望には落ちたし、まだ実感も湧かない。

どこか他人事のようにボーッとしながら体育館にとりあえず入り、周りを見渡してみた。

今まで頑張ってこなかった人たちと学歴が一緒になるのだ。

ずっと塾にも入って、努力してきた私にとってはつらかった。



しかし私が誇れることは一応ある。

蒼井高校にはアドバンスコース、特進クラス、普通コースがある。

私は、蒼井高校にアドバンスコースで合格していた。

アドバンスコースは定員100人で、私はその上位100名に入れた。

受験者は2000人ほどいたにも関わらず、私はそこに入ることが出来たのだった。



滑り止めで受けた人たちは、公立に受かったらそっちに流れるから、結局毎年アドバンスコースは30人ぐらいになるんだけどね。

アドバンスコースはみんなの憧れだった。
その学校では上位層で、威張れるほどの力を持っていた。

ああ。あのコースの人にはみんな逆らえないな、って思うほどらしい。

まあその点においては良かったとは思ってる。

そして説明会が始まった。

「まずは生徒会長挨拶です」
へー、生徒会長。こういうときも出てくるんだ。眼鏡をかけていて、顔つきがクールな印象だった。ビジュアルは結構良い方かな?
「皆さん、こんにちは。えーっと…あれ、何て言うんだったっけ…」

周囲から笑いが起こる。なんとも言えないマヌケな姿だった。第一印象とは違う。
もしかして、この生徒会長は普段からこういうキャラで通ってるのか。
謎だ……生徒会長ってもっとしっかり者のイメージがあるからな……

「生徒会長のアドバンスコース3年、坂田佑貴です。誠に申し訳ないのですが、緊張しすぎて挨拶の内容を忘れてしまったので即興でいきたいと思います。1年生の皆さん、蒼井高校へようこそ。皆さん様々な思いを抱いてここに入学してきたと思います。中にはつらい経験をして、ここに来た人もいるかもしれません。実際、僕もそうでした。入学説明会の時、体育館にはいりながら思ったんですね。僕何すればいいんだろう、ここでって。希望が見えなかったです。しかし、僕は優しい先輩方に支えていただきながら、時には悩みながらも、たくさん成長できたと思っています。そして今、僕はこうして、この場に立っています。皆さん、最初は不安もあるとは思いますが遠慮せず何でも、僕たちに聞いてください。たくさん頼ってください。そして、自分の没頭できることを見つけて、挑戦してください。これから、蒼井高校の一員として皆さん、一緒に頑張りましょう。よろしくお願いします。」

一斉に大きな拍手が湧き起こった。
この人アドバンスコースにいるにも関わらず、生徒会と両立してるんだ。
すごいな、尊敬。
さっきは少しマヌケな一面はあったけど、ここまでしっかり挨拶することが出来るとは。
さすがだ……

それから先生の話などがあったが、さっきの生徒会長の話について色々考えていてずっと頭に入っていかなかった。

でもなー私、生徒会は向いてないしな。

学級会長はやってたけど正直、それで手一杯な部分が多かった。

しかも学校全体を動かすんでしょ?

無理無理、絶対私には出来ない。

そんな責任重大なことできる自信が無い。

学級会長も先生に会えるから、という軽い気持ちで立候補した部分もあったし。

さすがに生徒会は無理だな…………


その後仮ホームルームがあった。

アドバンスコースは25人。大体毎年そんなものだから、少人数精鋭コースって感じがして雰囲気は気に入った。

やはりみんな結構静かで、どこか暗い顔をしてる。

みんな第一高校落ちた子、かな。

ちなみに親友の結花は普通コースで受かったから、友達も知ってる人も誰もいない状況だった。

私の中学校で第一高校に落ちた人は、蒼井高校のライバル校として有名な赤井学院大学附属高校にみんな流れたみたい。そっちの方が偏差値も上で、第一高校の滑り止めとしても人気が高い。
まあ、第一落ちでこっちに来る人も結構いるみたい。アドバンスコースには入れてるってことはみんな第一落ちだろうと推測した。

私が通うことになった蒼井高校の偏差値は65。私の落ちた第一高校は73。
赤井学院大学附属高校の偏差値は70。


でも、私の家からは遠いんだよなーチャリで1時間だし。疲れるし、親も反対してたし。

これは仕方ないことだ。


そう思いながら周りに仲間がいることによって少しは前向きになり、入学式の日を迎え、新生活が始まった。

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作者メッセージ

次は
3 私のすべてを変えるきっかけ
を書きます!

2024/10/12 15:46

アイ ID:≫3t9DOH2HDfICo
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