二次創作
君にサーブ!
大会直前。
青葉城西高校バレー部は、緊張と興奮に包まれていた。
「いよいよ……だね」
体育館の隅で、私は呟いた。汗と声と、床を蹴る音。全てが張り詰めていて、心臓がずっとドキドキしてる。
「チビマネちゃん、準備ありがとう」
花巻先輩がタオルを受け取りながらにっこりと微笑んだ。
「……こっちの集中力、上げてくれる存在って、すごいんだよ。ほんとに」
「マネージャーとして、俺らを“戦わせてくれてる”感じ、するよ」
松川先輩も静かにそう言ってくれる。
(みんな、ほんとに……頼もしくて、かっこよくて)
(でも、その中でも――やっぱり、及川先輩は……)
ふと視線を向けると、及川先輩が誰もいないコートをじっと見ていた。
まるで、何かに語りかけるみたいに。
「先輩?」
「……あ、チビマネちゃん。うん、ちょっと集中してた」
その目は、いつもの軽い冗談もなく、まっすぐで。
「負けたくない。絶対に、負けたくないんだ」
「……それって、やっぱり……音駒ですか?」
及川先輩は、少しだけ笑ってうなずいた。
「うん。でも、それだけじゃない」
「それだけ……じゃない?」
「俺さ。あの子たち――岩泉、松川、花巻と、一緒にバレーできるのも、あとわずかなんだよ。だから、勝ちたいんだ」
「……」
「チビマネちゃんにも、“勝つ瞬間”を見せたいって思ったから」
静かに、でも確かに胸に届いたその言葉。
「……信じてます。絶対、勝てます!」
「ふふ、頼もしいなぁ。うちのマネージャーは」
そう言って、ポンと頭を撫でられる。
(……もう、その手に、慣れてしまいそう)
◇ ◇ ◇
そして――試合当日。
会場はどよめきに包まれていた。
1回戦。
青葉城西は安定したプレーで快勝。
2回戦。
苦戦しながらも、岩泉の力強いスパイクと、及川の鋭いサーブが流れを引き寄せた。
「青葉城西、セットカウント2-1で勝利!!」
「よっしゃあああ!!」
「チビマネちゃん!水!水ちょーだいっ!」
「はいっ!お疲れさまです!!」
汗だくで笑う先輩たちの姿は、きらきらと輝いていた。
でも、それは――終わりが近づいている光でもあった。
◇ ◇ ◇
その日の夜、宿舎の前で及川先輩がひとり空を見上げていた。
「……あと、たった2試合なんだって。引退まで」
「……でも、今はまだ“今”です。未来より、今が大事です」
「……チビマネちゃん、名言っぽい」
「えっ、照れますっ!」
及川先輩が、少しだけ躊躇して、でも――私の手を、そっと握った。
「じゃあ、もうひとつお願い。……あと2試合、“俺を見てて”」
「……ずっと見てます。約束します」
静かな夜に、ふたりの約束だけが、小さく響いた。
青葉城西高校バレー部は、緊張と興奮に包まれていた。
「いよいよ……だね」
体育館の隅で、私は呟いた。汗と声と、床を蹴る音。全てが張り詰めていて、心臓がずっとドキドキしてる。
「チビマネちゃん、準備ありがとう」
花巻先輩がタオルを受け取りながらにっこりと微笑んだ。
「……こっちの集中力、上げてくれる存在って、すごいんだよ。ほんとに」
「マネージャーとして、俺らを“戦わせてくれてる”感じ、するよ」
松川先輩も静かにそう言ってくれる。
(みんな、ほんとに……頼もしくて、かっこよくて)
(でも、その中でも――やっぱり、及川先輩は……)
ふと視線を向けると、及川先輩が誰もいないコートをじっと見ていた。
まるで、何かに語りかけるみたいに。
「先輩?」
「……あ、チビマネちゃん。うん、ちょっと集中してた」
その目は、いつもの軽い冗談もなく、まっすぐで。
「負けたくない。絶対に、負けたくないんだ」
「……それって、やっぱり……音駒ですか?」
及川先輩は、少しだけ笑ってうなずいた。
「うん。でも、それだけじゃない」
「それだけ……じゃない?」
「俺さ。あの子たち――岩泉、松川、花巻と、一緒にバレーできるのも、あとわずかなんだよ。だから、勝ちたいんだ」
「……」
「チビマネちゃんにも、“勝つ瞬間”を見せたいって思ったから」
静かに、でも確かに胸に届いたその言葉。
「……信じてます。絶対、勝てます!」
「ふふ、頼もしいなぁ。うちのマネージャーは」
そう言って、ポンと頭を撫でられる。
(……もう、その手に、慣れてしまいそう)
◇ ◇ ◇
そして――試合当日。
会場はどよめきに包まれていた。
1回戦。
青葉城西は安定したプレーで快勝。
2回戦。
苦戦しながらも、岩泉の力強いスパイクと、及川の鋭いサーブが流れを引き寄せた。
「青葉城西、セットカウント2-1で勝利!!」
「よっしゃあああ!!」
「チビマネちゃん!水!水ちょーだいっ!」
「はいっ!お疲れさまです!!」
汗だくで笑う先輩たちの姿は、きらきらと輝いていた。
でも、それは――終わりが近づいている光でもあった。
◇ ◇ ◇
その日の夜、宿舎の前で及川先輩がひとり空を見上げていた。
「……あと、たった2試合なんだって。引退まで」
「……でも、今はまだ“今”です。未来より、今が大事です」
「……チビマネちゃん、名言っぽい」
「えっ、照れますっ!」
及川先輩が、少しだけ躊躇して、でも――私の手を、そっと握った。
「じゃあ、もうひとつお願い。……あと2試合、“俺を見てて”」
「……ずっと見てます。約束します」
静かな夜に、ふたりの約束だけが、小さく響いた。