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何故か音駒が因縁のライバルみたいな感じです。
まぁ、世界線おかしいです

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二次創作
君にサーブ!

#8

8話 負けられない理由(ワケ)

大会直前。
青葉城西高校バレー部は、緊張と興奮に包まれていた。

 

「いよいよ……だね」

体育館の隅で、私は呟いた。汗と声と、床を蹴る音。全てが張り詰めていて、心臓がずっとドキドキしてる。

「チビマネちゃん、準備ありがとう」

花巻先輩がタオルを受け取りながらにっこりと微笑んだ。

「……こっちの集中力、上げてくれる存在って、すごいんだよ。ほんとに」

 

「マネージャーとして、俺らを“戦わせてくれてる”感じ、するよ」

松川先輩も静かにそう言ってくれる。

 

(みんな、ほんとに……頼もしくて、かっこよくて)

(でも、その中でも――やっぱり、及川先輩は……)

 

ふと視線を向けると、及川先輩が誰もいないコートをじっと見ていた。

まるで、何かに語りかけるみたいに。

 

「先輩?」

「……あ、チビマネちゃん。うん、ちょっと集中してた」

 

その目は、いつもの軽い冗談もなく、まっすぐで。

「負けたくない。絶対に、負けたくないんだ」

「……それって、やっぱり……音駒ですか?」

及川先輩は、少しだけ笑ってうなずいた。

「うん。でも、それだけじゃない」

「それだけ……じゃない?」

 

「俺さ。あの子たち――岩泉、松川、花巻と、一緒にバレーできるのも、あとわずかなんだよ。だから、勝ちたいんだ」

「……」

 

「チビマネちゃんにも、“勝つ瞬間”を見せたいって思ったから」

 

静かに、でも確かに胸に届いたその言葉。

「……信じてます。絶対、勝てます!」

「ふふ、頼もしいなぁ。うちのマネージャーは」

そう言って、ポンと頭を撫でられる。

(……もう、その手に、慣れてしまいそう)

 

◇ ◇ ◇

 

そして――試合当日。
会場はどよめきに包まれていた。

 

1回戦。
青葉城西は安定したプレーで快勝。

2回戦。
苦戦しながらも、岩泉の力強いスパイクと、及川の鋭いサーブが流れを引き寄せた。

 

「青葉城西、セットカウント2-1で勝利!!」

「よっしゃあああ!!」

「チビマネちゃん!水!水ちょーだいっ!」

「はいっ!お疲れさまです!!」

 

汗だくで笑う先輩たちの姿は、きらきらと輝いていた。

でも、それは――終わりが近づいている光でもあった。

 

◇ ◇ ◇

 

その日の夜、宿舎の前で及川先輩がひとり空を見上げていた。

「……あと、たった2試合なんだって。引退まで」

 

「……でも、今はまだ“今”です。未来より、今が大事です」

「……チビマネちゃん、名言っぽい」

「えっ、照れますっ!」

 

及川先輩が、少しだけ躊躇して、でも――私の手を、そっと握った。

「じゃあ、もうひとつお願い。……あと2試合、“俺を見てて”」

「……ずっと見てます。約束します」

 

静かな夜に、ふたりの約束だけが、小さく響いた。

2025/05/26 02:08

宮歩夢 ID:≫ 19ZQABSFMiPlU
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