二次創作
君にサーブ!
合宿3日目の夜。
浴衣での花火から一夜明けて、私はまだ心のどこかがふわふわしていた。
(及川先輩の指……触れたよね?あれって……どういう意味だったんだろう)
答えは出ないまま、合宿も終盤。
今日は1日中、練習とミーティングの詰め合わせ。
「チビマネちゃ〜ん、こっちお願い!」
「はいっ!今いきます!」
「氷袋、岩泉の分もう一個!」
「松川先輩、了解です!」
「チビマネちゃん、神!」
花巻先輩のテンションが高い。私はあっちへ走り、こっちへ走り、もう汗だく。
「無理すんなよ、ちゃんと水分とれよ」と、岩泉先輩がペットボトルを差し出してくれた。
「……ありがとうございます!岩泉先輩、優しいですね!」
「お、おう……(ちょっと照れてる)」
そんなやり取りを、少し離れたところから見ていたのは――及川徹。
◇ ◇ ◇
夜。
宿舎の廊下、松川と花巻と私の3人で談笑していた。
「チビマネちゃん、うちらに質問タイムとかないの〜?」と、花巻。
「え、じゃあ……」
「例えば“誰が一番恋愛上手そうか”とか〜?」とニヤニヤ。
「えぇぇっ!?そ、そんなの選べません!」
「……でもさ」と松川が口を開く。
「及川、チビマネちゃんのこと、気になってんじゃない?」
「ま、間違いないっしょ」と花巻がすかさずのってくる。
「えっ……な、なんでそう思うんですか!?」
「だって、明らかに“俺が一番”アピしてるじゃん。浴衣ん時とかさ」
「まあ、あいつなりに“素直になれない”感じだけどな」と松川。
ドクンと心臓が跳ねた。
まさか、自分がそんなふうに見られてるなんて。
◇ ◇ ◇
そしてその夜、風呂上がりに外に出ていたら――
「……チビマネちゃん?」
聞き慣れた声。振り返ると、月明かりの中に、及川先輩が立っていた。
「……ここにいる気がした。……なんでだろ」
「……先輩こそ、なんでここに?」
「……わかんない。でも、多分……話したかったんだと思う」
2人きり。静かな夜風。近い距離。
「チビマネちゃん、俺さ――」
その瞬間、宿舎の中から**「虫でたー!!」**と叫び声。
「……ちょっと、空気読んでよ、虫……」と及川がぽつり。
「ふふ……」
「笑うなよ〜!」
「先輩、かわいそうです」
「……ほんとはさ、もっとちゃんと伝えたかったんだけどな」
「……?」
「……やっぱ、また今度。俺、ヘタレだから」
そう言って、及川先輩は私の頭をそっと撫でて、先に戻っていった。
その手のぬくもりが残る頭に、私はそっと手を当てた。
(“また今度”って――ちゃんと、来るのかな)
浴衣での花火から一夜明けて、私はまだ心のどこかがふわふわしていた。
(及川先輩の指……触れたよね?あれって……どういう意味だったんだろう)
答えは出ないまま、合宿も終盤。
今日は1日中、練習とミーティングの詰め合わせ。
「チビマネちゃ〜ん、こっちお願い!」
「はいっ!今いきます!」
「氷袋、岩泉の分もう一個!」
「松川先輩、了解です!」
「チビマネちゃん、神!」
花巻先輩のテンションが高い。私はあっちへ走り、こっちへ走り、もう汗だく。
「無理すんなよ、ちゃんと水分とれよ」と、岩泉先輩がペットボトルを差し出してくれた。
「……ありがとうございます!岩泉先輩、優しいですね!」
「お、おう……(ちょっと照れてる)」
そんなやり取りを、少し離れたところから見ていたのは――及川徹。
◇ ◇ ◇
夜。
宿舎の廊下、松川と花巻と私の3人で談笑していた。
「チビマネちゃん、うちらに質問タイムとかないの〜?」と、花巻。
「え、じゃあ……」
「例えば“誰が一番恋愛上手そうか”とか〜?」とニヤニヤ。
「えぇぇっ!?そ、そんなの選べません!」
「……でもさ」と松川が口を開く。
「及川、チビマネちゃんのこと、気になってんじゃない?」
「ま、間違いないっしょ」と花巻がすかさずのってくる。
「えっ……な、なんでそう思うんですか!?」
「だって、明らかに“俺が一番”アピしてるじゃん。浴衣ん時とかさ」
「まあ、あいつなりに“素直になれない”感じだけどな」と松川。
ドクンと心臓が跳ねた。
まさか、自分がそんなふうに見られてるなんて。
◇ ◇ ◇
そしてその夜、風呂上がりに外に出ていたら――
「……チビマネちゃん?」
聞き慣れた声。振り返ると、月明かりの中に、及川先輩が立っていた。
「……ここにいる気がした。……なんでだろ」
「……先輩こそ、なんでここに?」
「……わかんない。でも、多分……話したかったんだと思う」
2人きり。静かな夜風。近い距離。
「チビマネちゃん、俺さ――」
その瞬間、宿舎の中から**「虫でたー!!」**と叫び声。
「……ちょっと、空気読んでよ、虫……」と及川がぽつり。
「ふふ……」
「笑うなよ〜!」
「先輩、かわいそうです」
「……ほんとはさ、もっとちゃんと伝えたかったんだけどな」
「……?」
「……やっぱ、また今度。俺、ヘタレだから」
そう言って、及川先輩は私の頭をそっと撫でて、先に戻っていった。
その手のぬくもりが残る頭に、私はそっと手を当てた。
(“また今度”って――ちゃんと、来るのかな)