二次創作
君にサーブ!
日曜日、快晴。
体育館には独特な緊張感が漂っていた。
「……眠い」
ぽつりとつぶやいたのは、音駒高校のセッター・孤爪研磨。その隣には、にやりと笑う黒尾鉄朗の姿。
「青葉城西の“キラキラ王子”が相手だぜ、研磨。気合い入れろよ」
「えぇ…」
その言葉に、及川徹が眉をピクリと動かす。
「……“王子”って呼ばれたの、久々だなぁ〜。ちょっと嬉しいかも?」
「にやけんな」と岩泉が容赦なく肘を入れる。
◇ ◇ ◇
試合前、私は給水の準備とタオルの配置、応援ボードの確認、すべてチェックした。
“マネージャーとして初めての試合”――失敗はできない。
「緊張してる?」
と、そばにいた花巻先輩が声をかけてくれる。
「ちょっと……でも、負けたくないです!」
「その気合い、いいね。……大丈夫。あいつら、強いから」
そのとき、及川先輩がふっとこちらを振り向いて笑った。
「……チビマネちゃんが見てくれてるしね。今日は絶対、負けられないな」
その笑顔に、また胸が熱くなる。
◇ ◇ ◇
――第1セット、序盤。
ネット越しにぶつかり合うプレーの応酬。
「くっ……!やるじゃん、音駒……!」
花巻のブロックをすり抜けて、音駒のスパイカー・山本が一撃を決める。
「黒尾のコース読み、地味にやっかいだな」
「及川、焦るな!」と岩泉の声。
一方の音駒サイドも、
「……及川くんのトス、やっぱうまいね」と研磨。
「そっちこそな。変化球ばっか投げてくんじゃねーよ、猫野郎」と、及川がネット越しに言い返す。
「猫で悪かったね」
黒尾はにやりと笑いながら、次のブロックに備えた。
◇ ◇ ◇
ベンチに戻った瞬間、私はすかさずタオルを差し出した。
「はいっ!岩泉先輩、花巻先輩、松川先輩!」
「お、ありがと。気が利くな、チビマネちゃん」
「いつの間にか完璧じゃん、もう立派なマネージャーだな」
ふふっと褒められて、ちょっとだけ照れる。
そのとき、及川先輩が私の前に立った。
「……チビマネちゃん、今の音駒のレシーブ、どう思った?」
「えっ……ええと……全体が後ろに下がってるように見えました!」
「だよね!」
その言葉に、ぱぁっと及川先輩の表情が明るくなる。
「やっぱりチビマネちゃん、ちゃんと見てる。……その視点、大事にして」
「……っ、はいっ!!」
再開された第2セット。
及川のサーブが火を吹く――
ドシャアッ!!
「サービスエースッ!!」
観客席からどよめきが起きる。
「チビマネちゃんの分析力のおかげかな〜?」
「ちょっ、そんな責任重大なこと言わないでください!」
でも、その言葉は、なぜか誇らしかった。
試合はフルセットの末――
青葉城西、勝利!
「やったぁぁあーっ!!」
私は、気がついたら、選手たちの輪の中に飛び込んでいた。
「うおっ!?チビマネちゃん!?はしゃぎすぎ!」
「い、岩泉先輩ごめんなさいっ!」
「いいじゃん、今日は勝ったんだし」と松川が笑う。
「……最高のマネージャーだね、チビマネちゃん」
そう言ってくれた及川先輩の目が、ほんの少し潤んで見えたのは、気のせいじゃなかった。
体育館には独特な緊張感が漂っていた。
「……眠い」
ぽつりとつぶやいたのは、音駒高校のセッター・孤爪研磨。その隣には、にやりと笑う黒尾鉄朗の姿。
「青葉城西の“キラキラ王子”が相手だぜ、研磨。気合い入れろよ」
「えぇ…」
その言葉に、及川徹が眉をピクリと動かす。
「……“王子”って呼ばれたの、久々だなぁ〜。ちょっと嬉しいかも?」
「にやけんな」と岩泉が容赦なく肘を入れる。
◇ ◇ ◇
試合前、私は給水の準備とタオルの配置、応援ボードの確認、すべてチェックした。
“マネージャーとして初めての試合”――失敗はできない。
「緊張してる?」
と、そばにいた花巻先輩が声をかけてくれる。
「ちょっと……でも、負けたくないです!」
「その気合い、いいね。……大丈夫。あいつら、強いから」
そのとき、及川先輩がふっとこちらを振り向いて笑った。
「……チビマネちゃんが見てくれてるしね。今日は絶対、負けられないな」
その笑顔に、また胸が熱くなる。
◇ ◇ ◇
――第1セット、序盤。
ネット越しにぶつかり合うプレーの応酬。
「くっ……!やるじゃん、音駒……!」
花巻のブロックをすり抜けて、音駒のスパイカー・山本が一撃を決める。
「黒尾のコース読み、地味にやっかいだな」
「及川、焦るな!」と岩泉の声。
一方の音駒サイドも、
「……及川くんのトス、やっぱうまいね」と研磨。
「そっちこそな。変化球ばっか投げてくんじゃねーよ、猫野郎」と、及川がネット越しに言い返す。
「猫で悪かったね」
黒尾はにやりと笑いながら、次のブロックに備えた。
◇ ◇ ◇
ベンチに戻った瞬間、私はすかさずタオルを差し出した。
「はいっ!岩泉先輩、花巻先輩、松川先輩!」
「お、ありがと。気が利くな、チビマネちゃん」
「いつの間にか完璧じゃん、もう立派なマネージャーだな」
ふふっと褒められて、ちょっとだけ照れる。
そのとき、及川先輩が私の前に立った。
「……チビマネちゃん、今の音駒のレシーブ、どう思った?」
「えっ……ええと……全体が後ろに下がってるように見えました!」
「だよね!」
その言葉に、ぱぁっと及川先輩の表情が明るくなる。
「やっぱりチビマネちゃん、ちゃんと見てる。……その視点、大事にして」
「……っ、はいっ!!」
再開された第2セット。
及川のサーブが火を吹く――
ドシャアッ!!
「サービスエースッ!!」
観客席からどよめきが起きる。
「チビマネちゃんの分析力のおかげかな〜?」
「ちょっ、そんな責任重大なこと言わないでください!」
でも、その言葉は、なぜか誇らしかった。
試合はフルセットの末――
青葉城西、勝利!
「やったぁぁあーっ!!」
私は、気がついたら、選手たちの輪の中に飛び込んでいた。
「うおっ!?チビマネちゃん!?はしゃぎすぎ!」
「い、岩泉先輩ごめんなさいっ!」
「いいじゃん、今日は勝ったんだし」と松川が笑う。
「……最高のマネージャーだね、チビマネちゃん」
そう言ってくれた及川先輩の目が、ほんの少し潤んで見えたのは、気のせいじゃなかった。