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貴方に恋をした。

#4


真夏特有の温い風が頬を撫でた。

誰か、入って来たのだろう。

大方、選手やコーチ、監督なのだろうと思いつつ顔を上げる。

「あの、周東佑京って呼べますか?」

そこに来たのは応援席で泣いていた女性だった。

纏めていた髪も今は下ろしているし、泣いたことを裏付けるかのように目元は赤い。

あの女性で間違いなかった。

「あの…?」

「あ、はい。佑京さんですね。僕も今待ってるんですけど、奥さんと連絡してるっぽくて…」

慌てて女性の質問に答える。

名前、何て言うんだろ…。

少なくとも佑京さんと何らかの関係があることは明らかだ。

それも親戚か、家族か。

「おっそーい!」

「あ、佑京さ──「は?何言ってんの?キッショ。ねぇ、早く交通費頂戴?」

女性がいきなりやって来た佑京さんに牙をむく。

「はいはい、いくら?」

「3100円」

僕の、背番号。

31、

ふーん…。

なんか、少しだけ嬉しい。

「お、ニヤけてるー!」

「黙って、兄さん」

「兄さん、?」

兄妹なんだ。

年齢とか聞いちゃった方がいいかな、

失礼か。

「──…改めまして、周東佑京の妹の周東●●です。…あと、正木選手と同い年ですね。よろしくお願いします」

僕の事、知ってたんだ。

「そうなんですね、こちらこそよろしくお願いします。正木智也です」

一応、名前は言っておいた方がいい気がした。

「なんでそんな二人固いの?まさか、文春とか怖がってる?大丈夫だと思うけど…」

あ、そうか。そういう事も考えないといけないのか。

「ホームランボール、私の手の中に落ちてきたんです」

佑京さんの言葉をフル無視して●●さんは話し出す。

僕のホームランボール、ちょうど●●さんのところに落ちたんだ…。

「すっごく痛かったですけど、おかげで目が覚めました」

よく見れば、●●さんの両手には冷えピタが貼られていた。

──…冷えピタ、手に貼るんだ。

「ああ、冷えピタですか?冷やせるものがこれしかなくって」

「!?ちょっ、待っててください!」

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2024/10/15 18:58

伊折 ID:≫ppBd7rNLoAd1k
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