キミら二人と旅をする
ボクの名前はシャワダース。
龍の村に生まれた。
でも、ボクは龍の姿じゃないの。
茶色のふわふわした体、うさぎみたいにピンとたって、伸びている耳。
尻尾は龍みたいだけど、青と黄色で、イルカみたいな尾びれがある。
だから、大人たちは、ボクを「呪われた子」って言ったの。
周りの子たちもボクを虐めてきた。だから、龍になる為、トレーニングをした。
手足が筋肉痛でとても痛くなっても、走り回って過呼吸になりかけても、尻尾で空高くまで飛ぶ練習で怪我をしても、努力した。
どりょくはむくわれなかった。
昔読んだ本に、「努力は必ず報われる。」とあったけど、あれは努力じゃないの?ボクが呪われた子だからなの?
エスカレートしていく虐めに、ボクはもう限界だった。
ボクは、この村から逃げた。
山を超えると、大きな街があった。音風(おとかぜ)街と言うらしい。
確か本に書いてあった。34年前、ここら辺で大きな地殻変動があり、たくさんの山ができた。その山が日本の海岸線に近かったので、人々はここを埋め立て地にした。だが、その埋め立てによって、地下に眠っていた『コア』の力が目覚め、ここに住む人々に『魔法』を与えた。魔法を使える人々の中でも、強い人たちは『覚醒』といって、神の力を使えるらしい。
その後、魔法によってさまざまな種族にわかれた人々は、バラバラになって暮らしているらしい。
そんな事を考えながら、街中につくと、ある話し声が聞こえてきた。
「ねえねえ、あれってさ、龍の村の呪われた子ってうわさになってるヤツじゃない?」
「うわっ ほんとじゃん!逃げよ逃げよ〜!」
シャワダース「えっ…どうして…」
ああ、やっぱり、ボクの居場所なんてないんだ。
はじめての場所に少しワクワクしていた気持ちは、一瞬でしぼんでしまった。
絶望した心を抱えながら、少し歩けば気味悪がられ、お店に行けば、嫌そうな顔をされる数日間を過ごした。
神様はまだボクに『頑張ったね』と言いたくないらしい。
だって、ポスターに、ボクの顔写真と、「見つけたらすぐに通報を!」と言う文字があったんだもの。
その時たまたま交番の近くだったから、牢屋に入れられてしまった。
シャワダース「どうにか脱出できないかな…」
グギギギギ‥‥
シャワダース「あっ!鉄格子が曲がった!ここから出なくちゃ!」
こうして脱出したボクは、路地裏の段ボールの中にしゃがみ込んでいた。
?「ねぇ、キミ、どうしたの?」
シャワダース「あ、あなたは?」
アイラ「私は桜海 愛羅(オウミアイラ)。ただの旅人。」
シャワダース「ボクはシャワダース!…龍の、村で、生まれ、たん、だけど…。」
アイラ「虐められた?」
シャワダース「え、あ、うん。」
アイラ「…」
なんだろう
アイラ「頑張ったね。」
その時、抱え込んでいたものが、ぷつんと音を立てて崩れるような気がした。
これが始まり_______
偶然に偶然が重なってできた、奇跡の物語の。
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