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stop

#3


目を閉じてしばらくすると、遠くの方から車の走る音が聞こえてきた。

俺以外にも動ける人がいる。

飛び起きてリビングの窓から外の様子を伺うと、家の前に白のワゴン車が停まった。

中からは白の防護服の様な物を装った大人二人組が出てきた。

顔も防護服だけでは飽き足らず、サングラスにマスクまで付けており、性別や年齢、国籍も全く分からなかった。

ただひとつ、見つかってはいけないことは本能が理解した。

白服の二人組は車の荷台から、透明なビニールシートの様なものを被せたマネキンを下ろした。

見にくかったが、あのマネキンの顔は向かいのおっちゃん。

悪趣味なマネキンだ。

おっちゃんどころか、その奥さん、娘さんまでもそっくりなマネキンを出してきた。

それを担いで向いの家へと運び入れたかと思いきや、しばらくしてまた同じマネキンを担いで、そのまま荷台へと積み直した。

何をしているんだ。

見入っていると、今度は俺の父さん、母さん、そして妹のミサそっくりのマネキンが出てきた。

こうなれば俺に似たマネキンもあるだろう。
そんな物見たくない。

向いの家と同じならば、俺のマネキンを出した後に家へと侵入してくる。

俺は急いで階段を掛け上り、自室から繋がっている屋根裏部屋へと隠れた。

あいつらは何者なんだ。
何しに来たんだ。

手で口を押さえて息を殺す。

ほどなくして部屋のドアが開く音がした。

奴らが入ってきたんだ。


「おかしいな」

「もう一人いるはずなんだが」


なぜか日本語を話している白服の奴ら。
どうやら俺のことを探しているみたいだ。


「リストに不備があるんじゃないか?」

「一度帰るか」

「いや、もう時間がない。記憶操作をした方が早い」


言葉は分かっても言っている意味は分からない。
だけど、時間がないのであれば早く帰ってくれ。


「分かった、撤退する」


ドアの開く音がしたと思ったら、部屋から気配が消えた。
俺は助かったのか?

やった……やった!

喜びもつかの間、俺は白い光に包まれた。

階段から落ちたときと同じ光。
そして、光が収まると同時に俺の心臓は動かなくなった。




ーーFinーー

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2024/10/06 19:03

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