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stop

#2


玄関の扉を開けると、思ったより外が明るかった。

おかしい。
時刻は18時を過ぎているのに。
夏でもこんなに明るくない。

俺は改めて時間を確認しようとスマホの電源を付けると、先ほど見た時間から1分ほどしか経っていなかった。

そんなはずはない。

………いや、薄々感じていた。
俺以外の時間が止まっていることに。


「俺は自由だ!」


叫んだことにより急に解放感を実感した。

今なら何をやっても許される。
好きなことができる。
誰にも怒られない。

まずは手短なところからコンビニへ行くことにした。

そう言えば、自動ドアは動くのだろうか。
足はコンビニへ向かいながらも、そんな疑問を覚えた。

でも動かないなら動かないで、着いてから考えればいい。

そうこうしている間にコンビニへ到着。


「あ………」


俺は運がいいのかもしれない。

ちょうどコンビニから出ようとした客がおり、扉が開いている。

自動ドアをこじ開けるのは難しかったかもしれないが、人なら動かせる。

それは自分の母親で検証済み。

邪魔な客を動かして無事入店。

いつも店内に入るときにする入店音は鳴らない。

だが、そんな些細なことはどうでもいい。

かごを片手に食糧や飲み物を大量に入れていく。

あ、エコバッグを持ってきていない。
いやいや、かごごと持って帰れば良い。
つい、いつもの癖でケチ臭い思考に。

レジだって通さなくていい。

一応店員の顔でも拝むか。

いつもは店員の顔なんかいちいち見ないし覚える気もないが、今は心に余裕があるから。

レジへ行くと、50代くらいのおっさんが立っていた。
髪はハゲ上がり、くたびれた顔。目には隈。
胸元に付けているネームプレートを見ると、


「こいつ、店長だったのか」


悪いな……。

俺は心の中で呟いてコンビニを後にした。

帰宅後、早速戦利品を食い散らかした。
金を払わずに食べる飯は旨い。

だけど食べているときはよかったが、お腹が一杯になってから気がついた。

この状況っていつまで続くんだ。

時計は相変わらず18時を過ぎたままで止まっている。
テレビもつかない。

退屈だ。


「誰の仕業か分からないけど、もう元に戻してもいいぞー」


誰に言うわけでもないが、そう言わずにはいられなかった。

寝ることしかすることがない。

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2024/10/06 19:03

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