stop
~stop~
俺の目がおかしいのか、はたまた夢なのか。
………────
時計を見ると18時を過ぎていた。
どおりで小腹が空くわけだ。
俺は自室で課題をやっていた手を止めて、何か摘まみ食いするためにキッチンへ行こうと階段を降りた。
「うわっ」
慌てていたわけでもないのに、降りている途中で足を踏み外した。
落ちる。
すると強い衝撃のみならず、目が眩むくらい白い光に包まれた。
「痛っ……」
痛みを我慢しながらもキッチンへと向かうと、異様な空気に違和感を覚えた。
夕飯の支度をしている母さんが野菜を切っている姿勢で止まっている。
「母さん……」
呼んでも反応はない。
試しに揺さぶると、そのままの体勢で倒れた。
「ぁっぶね!」
母さんが握っていた包丁が手から抜けて床に滑った。
拾い上げようとしたら、うっかり指を切った。
傷は深くないが血が滲み出る。
血を洗い流そうとシンクを見ると、中には流水解凍をしているであろう凍った鶏肉がボウルに入っていた。
ボウルにはまだ水が溜まり切っておらず、蛇口からは水が出ている………はず。
はず、と言うのは凍っているように蛇口から出ている水が固まっているからだ。
氷だと思って触ってみると、思ったより冷たくなかった。水と同じ温度。
触っていてもじんわりと溶ける氷のような現象は起きない。
あくまで止まった水。
次にリビングで寛いでいる父の元へ駆けつけた。
「父さん!」
夕食前の晩酌を楽しんでいる父さん。
分かっていたがやはり反応がない。
父さんはソファーにくつろぎ手酌をしている状態で停止。
徳利のお酒も先ほどの水道水と同じように凍っているかのように固まっていた。
妹は、ミサはどうしている。
家中探し回ったがいない。
そうか、あいつは今日塾の日だって言っていたか。
塾でもこのような状況なのか。
「外……出てみるか」
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