二次創作
時間と13人の優者たち
ヒロ「あ!来た!」
たっつん「ふぁああぁ…遅かったやん…」
ロビーで待ち合わせしていた男子達と合流し、眠気なまこを擦る。
朝から大声を出したので喉がガッスガスだ。
のあ「えとさんとるなさんが起きなかったんですよ〜」
困ったように告げるのあに、てへ、とえとはお茶目に返す。
るな「えへへ、すみません…」
るなも謝ってはいるものの『間に合ったんだからいいじゃないですか』という文字が顔に張り付いている。
●●「起こすの大変だったのに…」
えと「それは本当にごめん。」
るな「ごめんなさいぃ…」
シヴァ「まぁまぁ、俺らも遅れたから大丈夫だよ。主にたっつんとゆあんくんのせいで。」
ちら、とシヴァがたっつんとゆあんくんの元へ目をやる。
たっつん「ほんまにごめんって…」
ゆあん「え?なんか言った?」
なおきり「話聞いといてくださいよ…」
クリック「おいお前ら、余計な話をしている暇があったら行くぞ。今日は回るところがいっぱいあるんだ。」
気づかない間に背後にいたクリックを巡って一悶着あった後、憤慨するクリックに続いて宿を後にした。
[水平線]
クリックが色々なところに案内してくれるが、何も頭に入ってこない。
何より、銀髪の少女──サージュ・マリアといったか。彼女が突然消えてしまい、上着を返すことができなかった。
●●「連絡先くらい、貰えば良かったかなぁ…」
そもそもこの世界、メールや電話っていう概念あるのかな?
どぬく「●●、なんかぼーっとしてるね。寝不足?」
●●「あー、そうじゃなくて、ちょっと気になることがあって…」
そういうと、それを聞いていたのかクリックがこちらに来た。
クリック「気になることってなんだ?この街のことだったら大体わかるが…」
この街のこと。つまり、彼女のこともわかるかも知れない。
●●「いやぁ、実は…」
昨日あった出来事を全て話し、カバンの中から昨日もらった上着を見せた。
暗闇でよくわからなかったが、ボレロ型のその上着は美しい紋様で縁取られていて、絶対由緒正しいマークが付いている。
これは、絶対返さないとまずい。
クリック「金日時計に紫檀の絹生地…、上物だな。サージュ様のものに違いないだろう。」
のあ「なんでわかるんですか?」
クリック「この真ん中にある金日時計の紋様。これは神の子孫と呼ばれる由緒正しい家系のものが所持する品だということを示している。それにこの色の絹生地…かなり高価なものだ。……そして、現在神の子孫の家系と呼ばれる家はサージュ様のいるマリア家のみ。つい2週間前もう1人の血縁者であるサージュ様の叔父が亡くなったから、彼女はマリア家の当主でありたった1人の血を継ぐものだ。」
長ったらしい説明だが、腑に落ちる面がある。
話している最中に時折見せる寂しそうな目。こんな大切なものを簡単に手渡すということは、『逃げたい』と感じていたのかも知れない。
頭の回転が速い彼女のことだ。うっかり渡してしまったとか、そんなことはないだろう。
じゃぱぱ「なんだか不思議な話だな〜…」
もふ「神の子孫、ってのも曖昧だしね…」
クリック「まぁいい。それは明日返しに行こう。どこかで会えるかも知れないからな。」
なんともいえない表情のクリックが歩き出し、引き続き観光を続けて行った。