[大文字][太字]ーやっとだ、もう終わり、もう痛くない。此処がどこの駅か知らないが、終点だ。
…私も電車も[/太字][/大文字]
私は家出をした。1月の雪が降る日、虐待なんて嫌で逃げ出した。片手に収まるほどの荷物を大袈裟なバックに入れて、ボロボロな制服で、一人だけの逃避行だ、終点に着いたら死にたい、そして眠りこけながら、ひどい顔を擦る…やがて眠り、いつしか終点に着いていた。黄色い線の外に立つ、肌寒い風すら心地いい
目を閉じて足を落とそうとした瞬間ー
[明朝体][大文字]「こんにちは、佐藤　かなた　さん」[/大文字][/明朝体]
無機質な、でも暖かい声が聞こえた。いつのまにか、黄色い線の内に立っていた
後ろを見ると、柔らかい笑みを浮かべている美しいアルビノの少女と目が合った
車掌のような衣装を着ている。…なんで私の名前を知っているんだろう？
[明朝体]「[漢字]私[/漢字][ふりがな]わたくし[/ふりがな]共々お待ちしておりました。乗られる車両までご案内します。」[/明朝体]
「…？なんで？私何もしてないのに…？」
[明朝体]「いいえ、予約しましたではありませんか？このー」[/明朝体]
[太字][大文字][明朝体][中央寄せ]「海月ノ波駅を」[/中央寄せ][/明朝体][/大文字][/太字]