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【リクエスト型】妖怪ゆるゆる物語

#2

妖狐−1

 〜妖狐〜
 長い年月を生きたことで妖力を手に入れた妖怪。稀に助けてくれた人間に恩返しをすることがある。
 また、油揚げが好きらしい。あと犬が苦手。




 朝4時
 祭りの後の神社に行くと良いものが落ちてる。
「あ! 500円玉!」
 落ちてたのは500円玉。やった!今月のお小遣いより多い!

 祭りの後の神社には、小銭が結構落ちてる。
 ほら、ただでさえ夜で手元が暗いのに酔っ払っててもっと手元が狂ってる大人が沢山いるからさ。落とした小銭がそれっきりって事が多いらしい。
 俺のお小遣い300円だからそんなに多くない。小学3年生だから300円らしい。
なのに弟は1年生なのに俺と同じ300円だし。
 ま、だからこういうときに稼がないとな。あー、貧乏人は辛いな。
 もちろん神社で小銭を拾って持ってくなんて怒る大人もいる。でもそこは対策済み。
「あっ…おはよーございまーす」
「おはよう、あらあらゴミ拾い?偉いわねぇ」
「へへ」
 近所のおばあさんに見つかったけど大丈夫。
 バレないようにゴミ袋持ってってバレない程度にゴミを拾っていくつかゴミ袋に入れておきば怪しまれない。完璧。
 また、バレないように神社の石段の上にあった竹串とそれが入った紙コップをゴミ袋に突っ込んだ。

 花火がよく見えるとかで、この石段には人がたくさんいた。屋台も結構出てたから小銭の出し入れも多いはず。
 そう見込んできたけど、正解だったな。めっちゃ落ちてる!
 今日は583円拾った。最初に500円玉を拾ったのが良かった。
 どうしよっかな、何に使おうかな?って考えながら家に帰らなきゃなと石段から降りようとしたら…
 コン。
 …なんか鳴き声みたいのが聞こえた気がして、振り返る。
 でも何も居ない。居るわけがない。ただ狐の石像?見たいのがあるだけ。
 …でもそれを見てたら何だか落ち着かなくなってきた。
 別に落ちてたやつだし、落としたやつは絶対気づいてないし、小銭拾っていいじゃん、って思うけど。こういうのが拾得物横領罪ってやつなのかは知ってるけど。でも583円っていうのは俺にとっては大金でも大人にとってはどうでもいい金額なのも知ってるし……。
「……ああもう!」
 なんか落ち着かないから83円を古びた賽銭箱に入れた
「山分けな!で、これは俺の取り分!文句言うなよ!」
 なんか文句言われてる気がしたからちゃんと『500円玉は崩せないんだからな!』って言っておいた。
 
 石像を降りるときにコンコンって狐の鳴き声が聞こえた気がした。…文句じゃないよな?


「583÷2は291あまり1……291−83は208……」
 休み時間に計算してたら、たっくんに『何を計算してるの?』って聞かれたから金って答えた。……いやだって、落ちてた小銭を狐と山分けする計算とか言えないし。
 ……神社で狐に山分けって言っちゃったし、本当に山分けするにはあと208円必要だ。
 良くない気がする。なんか良くない気がする。だって俺、山分けって言っちゃたし。
「……うーん」
 でも俺、500円玉の両替、できないんだよ。先月のお小遣いは校外学習のおやつを買うのに使っちゃったし、今月のお小遣いはまだだし。
「うーん……やっぱりなんか買うしかないかぁ」
 でも計算ノートとか理科のノートはこの前買ったし、買っておいてもいいけど2年生から3年生になったときは漢字のノートはもっとマス目の小さいのにしなさいって言われて1冊損したんだよな。マジでクソ。だから弟にあげた。4年生になったら違うノートにしなさいって言われるかもなぁ。
 でも半年くらいあったらノート終わっちゃうかな。うーん…、どうしよう。

 そう考えながら、放課後、家に帰る、帰る道の途中で神社の前を通るから、なんか落ち着かない。怒られてる気がする。見られてる気がする。落ち着かない。
 …落ち着かないから走って神社の前を通り過ぎた、それでもう少し走ると、近くのコンビニの前につく。このコンビニ、祭りのときは駐車場の前に唐揚げの屋台出してたんだよな。高いから俺は買わないけど。
 コンビニの中に入って、あるかなって思って冷凍庫の中を覗いてみたら、あった。
 俺はそれを持ってレジに行って拾った500円玉で支払いして、お釣りをもらった。
 ……パピコ。パピコ買った。俺、これ好き。
 祭りの唐揚げのときより高くないし。家で食べるときは弟に一本あげなきゃいけにあし、そこから更に、弟に一口あげなきゃいけない。
 だから、1回くらい2本とも食べてみたかったんだ。
 ……小銭泥棒したんだし、いっそこういう使い方しちまえ、って気になったんだ。

 家に帰ったら弟に取られるし仕方なく神社の石段で食べることにした。
  ……なんか落ち着かないけど。でも、半分じゃないけど拾った小銭でお賽銭あげたし、ゴミ拾いもしたし、バチとか当たらないよな?ていうかバチとかそういう非科学的じゃん。だから、そういうの、無いよな?
 パピコを千切って2本に分けて、早速、一本目の封を切る。蓋の方に残ったのも食べる。今日は弟も居ないし、ゆっくり味わっても大丈夫。取るやつなんて誰も居ないんだから……。


 ……って思ったのに!
「えっ!?」
 俺の隣から、にゅっ、て白っぽいのも伸びてきて、ぱく、って……俺の、もう一本のパピコを咥えて、持ってった!
「えっ、何……何!?狐!?」
 そいつはパピコを咥えてコンって鳴いた。

このボタンは廃止予定です

作者メッセージ

記念すべき第1話目です! 今日中に続きを投稿します。
聖夢うぷ主さんすみません。できるだけ急いだんですが、遅くなってしまいました。
あと誤字などがあったら教えてください。

2024/10/01 10:42

バナナ味の豆乳 ID:≫24AGWs5dyokCw
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