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# 完璧令嬢は悪女を演じる .

#9




王城の広間は、祝祭の熱気に満ちていた。
完璧令嬢●●・クローディアは、今日、王太子デトワール・アイリスとの婚約披露宴を迎える。
七年もの間、この日のために完璧な令嬢を演じてきた●●の心には、婚約破棄という密かな計画が渦巻いていた。

眩いばかりの青いマーメイドドレスを身にまとい、父クローディア公爵と共に入場した●●は、集まった貴族たちに優雅な微笑みを向ける。
正面の壇上には、現国王と王妃、そして婚約者となる王太子デトワール様が、いつもの冷酷な表情で座っていた。

儀式は粛々と進み、いよいよ婚約の誓いの言葉を交わす時が来た。
形式的な言葉を述べるデトワールの声を聞きながら、●●の心臓は静かに高鳴る。

「殿下」

●●は、普段の柔らかな声とは異なる、深みのある声でデトワールに話しかけた。
広間の空気が一瞬にして張り詰める。

「私には、どうしてもお聞きしたいことがございます」

ざわめきが広がる中、●●はデトワールを真っ直ぐに見据えた。

「殿下は、わたくしとの婚約期間中、他のご令嬢と不適切な関係を持たれていたと伺っております。これは、事実でしょうか?」

デトワールの顔が険しく歪む。
だが、すぐに勝ち誇ったような表情になり、私を指差す。

「 ... ああ、だがお前はもう私の婚約者ではなくなるんだ! 」

その時だった。
デトワールの背後から、一人の可憐な令嬢がおずおずと歩み出てきた。
侯爵令嬢カローラ・ロミリアだった。
彼女は、不安げな表情ながらも、どこかな自身ありげな光を瞳に宿している。

カローラの予想外な登場に、広間は騒然となる。
貴族たちは、一体何が起こっているのか理解できずにいる。

「殿下……」

カローラは、震える声でデトワールに話しかけた。

「私は、もう隠し通すことはできません。●●様のおっしゃる通り、私は殿下…いえ、デトワール様と……親しくさせていただいておりました」

カローラの告白に、●●は冷ややかな微笑みを浮かべた。
驚くほど、計画通りに進んでいる。

「カローラ……!」

デトワールは、狼狽した様子でアメリアを振り返る。

「ですが、●●様がお考えのような、不誠実な関係ではございません!私たちは、互いの境遇を理解し、慰め合っていただけなのです!」

カローラは、涙ながらに訴えかける。
その言葉は、一部の貴族たちの同情を誘い始めた。

デトワールも、カローラの言葉に真意を見出したように、力強く頷いた。

「そうだ!●●、貴様はいつも私を邪険に扱い、心を開こうとしなかった!カローラは、そんな私の心の拠り所だったのだ!」

そして、デトワールは、 自信満々に●●に婚約破棄を突きつけた。

「●●・クローディア!私は貴様のような冷酷な女と、人生を添い遂げることはできない!よって、この場で貴様との婚約を破棄する!」

デトワールの言葉に、●●は一瞬、 プランが狂ったかのように見えた。

( そう…それでいいのよ。 )

しかし、すぐに普段の朗らかな微笑みを浮かべ、ゆっくりと答えた。

「はい、承知いたしました」

そのあまりに落ち着いた返答に、デトワールはもちろんカローラや王妃様たちも動揺に驚きの声を上げる。
周囲の貴族たちも、●●の態度に戸惑いを隠せない。

そして、●●は、冷たい表情をカローラに向け、ゆっくりと口を開いた。

「ですが、ロミリア嬢。」

ぱちんと扇子を閉じ、にこやかに微笑む。

( さぁ、私の時間よ。 )



2025/05/17 14:56

匿名N ID:≫ 19ZQABSFMiPlU
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