# 完璧令嬢は悪女を演じる .
私の言葉に、国王陛下と王妃様は驚いた表情で互いを見合わせた。
殿下とカローラは、未だ状況が飲み込めないといった様子で、呆然と私を見ている。
「 提案 ... とは? 」
王妃様が戸惑いがちに問いかける。
私は微笑みを絶やさず、ゆっくりと口を開いた。
「 はい。昨夜の出来事、そして昨夜ロミリア嬢が仰った『純愛』について、私なりに深く考えてみたのです。そして、ある結論に至りました。 」
一度言葉を切り、二人の反応を伺う。
国王陛下の眉間の皺が深まり、王妃様は静かに私の次の言葉を待っている。
「 殿下とロミリア嬢の間に"真実の愛"があるのであれば、それを無理に引き裂くのは 却って彼らにとって不幸なことでしょう。また そのような形で結ばれたとしても 私自身も幸せを感じることはできないかと。 」
デトワール殿下がハッとしたように顔を上げた。
カローラの瞳には希望と期待の色が宿る。
「 つきましては、陛下、並びに王妃様 ... 」
私は再び扇を手に取り、胸元に当てる。
[太字]「 この婚約を白紙に戻していただきたいのです。 」[/太字]
その瞬間、部屋に静寂が訪れた。
国王陛下は目を見開き、王妃様は息を呑む。
殿下とカローラは、信じられないものを見るかのように私を見つめていた。
陛下が困惑した様子で口を開いた。
「 クローディア嬢 ... それは一体、どういうことだ ...? 」
「 言葉の通りでございます、陛下。私は ... デトワール殿下との婚約を解消したいと願っております。 」