side なろ屋

「ここだよ」
僕はそう言って、彼女を路地裏に連れ込んだ。
暗くて、おまけにひとけのないような場所に連れてこられた彼女は、少し不安そうな顔をしていた。
この雰囲気をどうにか和らげようと思った僕は、まだ一度も投げかけていなかった質問をする。
「........あっあのさ、名前なんていうの？」
すると彼女は驚いたように顔を上げ、こう言った。
「..........あ....●●.....」
「.....●●か！かわいー名前だねー！」
「はあ..？？......あ、あなたは...」
「僕はなろ.....」
「なろ屋さんだよね」
「そうそうー！............て、え？」
.................え？
不意打ちで気づきにくかった。
どうして彼女....いや●●は僕の名前を知ってるの...？
「あっなんか水色髪....の女の子？に教えてもらって......」
「.........水色髪の女の子.....」
........ははーん....
きっとそらちゃんだな.......まーた女の子だって勘違いされてるよあの猫。
「..........そーうなんだあ.......」

[水平線]
「あ、ずーっと立ち話もなんだし、行こっか、中。」
僕はそう言って、再び彼女の手を引いた。
「行く......？ってどこに...」
「こーこ！！」
僕はそう言って、目の前にある『駄菓子屋』を指さした。
「..........はあ..？」
「ここはねっ、[大文字]僕らの家なんだよ！[/大文字]」
そう言って、ひとり困惑する彼女置いて店へと連れ込んだ。

「説明は後でいいよね。とりあえず、ついてきて」
よくないよ、という顔をしてる彼女を、誘導させる。
みんなどんな反応するかなあ......　

＿＿＿


「みんなー！ただいまー！！」
僕はそう言って、地下のシェルターへと繋がるドアを開けて、階段を下る。
「ほら、○○も。」
僕は不意打ち返しということで、ちょっとあだ名で呼んでみる。
「は、○○！？」
案の定、彼女は少し顔を赤らめて僕の手を握る。
かーわい.....♡
そんなことを思っているのも束の間、僕たちはいつの間にか階段を降り終えていた。
すると、眠かったのだろうか。出迎えてくれた翔くんが、目をこすりながらこちらへとかけよってきた。
「おーなろっちおかえｒ..........え、な、なろっち？？ん？？」
翔くんはキョトンとしたような目つきで○○を見つめる。
そんな翔くんに恐怖を覚えたのだろうか。○○は僕の後ろにそっと身を隠した。
「大丈夫だよ○○。翔くん優しいから。........たーだいま翔くん....と、翔くんの後ろに隠れてるかいてぃー...？」
...........バレバレだよ....
「.........おかえりなろっち....その子.....」
なんだか、翔くんと○○を見る目がかいてぃーは違う。
..............前に認識があったのだろうか..
「じゃあ..........今日はもう寝る？○○。」
僕は○○にそう問いかけた。
「.......あ...うん.....」
「翔くん、空き部屋あったよね、貸してくんない？」
「おんええで~」
「ありがと。○○、ついてきて、寝るとこに案内する。」
○○は、僕の服の袖をつかんだ。
「................え」
「.......あ.......ご、ごめん......」
「.......えー.....やだよ」
「...........ご、ごめん...」
「こうだよ.....？」
そう言って、僕は服の袖ではなく、僕の手を握らせた。
「................え」
「ふはっかわいー...♡」
「うるさい....早く行こ../」
「はーい..♡」