「はあ！またオルと会えて嬉しいな！笛を夜に鳴らしてみよう」とビリーが笛を首に下げました。

「ただいま、父さん！」とオルが叫びました。

「おお！おかえり！どうだ？晩餐会は楽しかったか？」とオルのお父さんが言いました。

「うん！もう本当最高だったよ！南の森のみんなも元気そうだったし！」とオルが飛び跳ねて言いました。

「そうかそうか。よかったな。次は来年だな。秋から冬が終わるまで、あっという間だったな。ま、次も行けるんだし、春に北の森でまた晩餐会をやろうじゃないか。な？」とお父さんが言いました。

「うん！早くやりたいなあ！」とオルが息を弾ませて言いました。

「ちょっといいかい？オルンさん。はちみつの入ったビンを三つ貰いたいんだが、今あるかい？」と誰かがドアをコンコンと叩いて言いました。

「いらっしゃい、ヨミおばあちゃん。はちみつね。ちょうど取り立てのはちみつがあるんだよ」とオルンが返事をしました。

「はいどうぞ。また何かあったら頼ってね！」とオルンがはちみつの入ったビンを、ヨミに渡しました。

「ええ、お言葉に甘えて頼らせてもらおうかねえ。じゃ、また来るからね。おやすみ」とヨミがドアを出ました。

「おやすみなさい」とオルンが頭を下げました。「さ、もう夜だし、晩飯にするか？」とオルンがオルに聞きました。

「うん。そういえば母さんは？」とオルが聞き返しました。

「あ、話してなかったか。今日、ルクはここのもっと北の方の集落の動物たちと会ってるよ。泊まるんだってさ。明日には帰ってくるから、心配ないよ」とオルンが答えました。

「そう。なら心配ないね。ありがとう。じゃあ、晩ご飯の支度を始めようか」とオルが手を洗いながら言いました。

「そうだな。ルクがいない晩飯なんて久しぶりだな」とオルンも手を洗い始めました。そして、晩ご飯を食べ終え、オルンは寝ました。

一方、オルは屋根に登って月を眺めていました。その月は、見るも白い満月でした。

オルは「オルガ……」と言っていました。「オルガって、オルの弟？」と屋根の下から声が聞こえました。

「ああ、ミカか……ってミカ⁉︎なんでここにいるんだ⁉︎」とオルがびっくりして言いました。

「後をつけて来たの。気づかなかったでしょ？私、隠れるのは上手なのよ。それで、弟なの？」とミカが聞き直しました。

「……ああ。オルガは子供の頃に、ハンターに麻酔銃で撃たれたんだ。それでハンターに連れて行かれた。

もう、ハンターに捕まったら死んだも同然だった。だから、父さんや母さんは追わなかった。

もうあれから十数年経ったんだ。死んでるに決まってるさ。もう間に合わない。ごめんなオルガ」とオルが泣きながら言いました。

「あなたには弟がいたのね。それで、もう一つ聞きたいことがあるんだけど、ここの近くの村のビリーって少年とあなたってどんな関係なの？」とミカが聞きました。

「ああ、ビリーは昔俺が助けたんだ。それで村にあいつがいた。それだけの関係さ」とオルが言いました。

「本当は、あの子をオルガと重ねているんじゃない？」とミカが聞きました。

「ああ、正解。あいつに似てるんだよ、性格が。臆病でさ。でも、なぜか気が強いんだよな。一度したことは諦めないって心が、弟に似ているんだよ。

だから、うっかり重ねるんだ。もう、オルガのことは思い出したくないのに」とオルが答えました。

オルと弟のオルガ……そしてオルはビリーをどう思っているのか……⁉︎