ここは、一見何もない普通の世界。
高校生の西本 愛依(にしもとあい)も、普通に日常を送っている。
……いや、それ自体は別に変わっているわけではない。
普通でないのは、愛依の方だ。
「……っ…」
早めに登校してきた後自分の机を見て、愛依は俯いた。
机には、『キモい』『異常者』『学校来んな』などと、たくさんの落書きが書かれていた。机の上にも、ゴミが大量に置かれていた。
実は、愛依は普通の人間ではない。
この世界で流行し始めた病気、“急性能力者症候群”にかかってしまった。
この病気にかかると、疾患者に突如謎の能力が付与される。
未だに、治療法は見つかっていない。
愛依には、『人の記憶を消したり、偽の記憶を埋め込める』と言う能力が付与された。
この能力をクラスメイト達は怖がり、愛依と距離を置いたり、悪質ないじめを始めるようになった。
愛依はいつも通り机を片付け、落書きを消すと、席に着いた。
……すると。

突如、愛依の体がゆっくりと宙に浮き…そのまま消えてしまった。
そして、それを見ているクラスメイトは、早く来たためいなかったが。

……代わりに、ある人物がそれを見つめ、薄笑いを浮かべていた。





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