消えた失敗作と私
重たい頭となかなか上がらないまぶた。
聞こえてくる燈矢くんの声と複数人の知らない声。
温められた空間に安心感を抱けない。
依然、気分は真冬のままだった。
荼毘「お、起きたか」
かろうじてまぶたを開くと、目の前には燈矢くんが。
燈矢くんの後ろの女子高生と手まみれの男性が気になったけれど
見えなかったことにして燈矢くんに目線を戻す。
●●「ここって、」
雰囲気のあるバー。
私の記憶にはこんなところ存在しない。
困惑する私をよそに
荼毘「ヴィラン連合のアジトだ」
間髪入れず返された言葉に、体が凍りつく。
「ヴィラン連合」
この響きには聞き覚えがあった。
近頃ニュースで埋め尽くされる響き。
雄英襲撃事件の、黒幕。
そうと分かった途端。
目の前の幼馴染の彼が、ひどく恐ろしいものに思えた。
死柄木「おいおい、その様子じゃ知らねえみたいだぞ」
死柄木「知らせてあるんじゃねえのかよ」
不機嫌を隠そうとしない手まみれの男性。
そんな威圧的な態度にも動じず燈矢くんは
ニヒルな笑みを貼り付けた。
荼毘「知らねェのかリーダー。サプライズっつうやつだよ」
私の頬を優しく撫でるその手が、触れた箇所が、
焼けるような感覚で埋め尽くされる。
おかしいな。
ココに来るまでは嬉しいことだったのに。
今となっては火傷でただれた自身の右手が
たくさんの血にまみれて見えて。
燈矢「もう逃げらんないなァ?」
燈矢くんが囁いたその言葉が、私の足枷にもなって。
二度と離れられない呪いになった。
聞こえてくる燈矢くんの声と複数人の知らない声。
温められた空間に安心感を抱けない。
依然、気分は真冬のままだった。
荼毘「お、起きたか」
かろうじてまぶたを開くと、目の前には燈矢くんが。
燈矢くんの後ろの女子高生と手まみれの男性が気になったけれど
見えなかったことにして燈矢くんに目線を戻す。
●●「ここって、」
雰囲気のあるバー。
私の記憶にはこんなところ存在しない。
困惑する私をよそに
荼毘「ヴィラン連合のアジトだ」
間髪入れず返された言葉に、体が凍りつく。
「ヴィラン連合」
この響きには聞き覚えがあった。
近頃ニュースで埋め尽くされる響き。
雄英襲撃事件の、黒幕。
そうと分かった途端。
目の前の幼馴染の彼が、ひどく恐ろしいものに思えた。
死柄木「おいおい、その様子じゃ知らねえみたいだぞ」
死柄木「知らせてあるんじゃねえのかよ」
不機嫌を隠そうとしない手まみれの男性。
そんな威圧的な態度にも動じず燈矢くんは
ニヒルな笑みを貼り付けた。
荼毘「知らねェのかリーダー。サプライズっつうやつだよ」
私の頬を優しく撫でるその手が、触れた箇所が、
焼けるような感覚で埋め尽くされる。
おかしいな。
ココに来るまでは嬉しいことだったのに。
今となっては火傷でただれた自身の右手が
たくさんの血にまみれて見えて。
燈矢「もう逃げらんないなァ?」
燈矢くんが囁いたその言葉が、私の足枷にもなって。
二度と離れられない呪いになった。
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