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将来なんて。

#1


昔っからダンスが好きだった。
曲に合わせて踏むステップ、手の動き、ふわふわとした衣装。
それ以外にももっと。
何処をとっても大好きだった。
でも今は、そんなダンスを封印している。
理由は受験。
お母さんとお父さんが受験の方が大事なんだからダンスはやめなさい。
そう言っていたから。
少しの間だけだと思ってた。
でも、思ったよりもずっと長くて長くて。
志望校に受かってもダンスは再開しなかった。
今度は単位だ。
単位を落とさないように。
ちゃんと進級できるように。
勉強に時間を費やしていた。
そうした方がいいと親が言っていたから。
貴女はいい道を進みなさい。
そうお母さんたちにかけられた重苦しい期待。
それを裏切ってしまえばどうなるかわかったものじゃなかった。
嫌われるかもしれない恐怖。
それが私を毎日のように襲っていた。
ダンスがしたいなんてとてもじゃないけれど言えなかった。
「ねぇ、貴女は何がしたいの?」
一度だけそう聞かれたことがある。
「ダンス、かな。」
そりゃもちろん、ダンスだけで生きていくつもりなど全くないし、普通に働きな腹ダンスが出来れば、その程度に考えていた。
「ダンス?それだけじゃ食べていけないよ。ダンスはやめなさい。公務員とかは?お母さん、貴女に公務員になってほしいな~。私出来なかったから」
公務員。
お母さんが諦めた夢。
絶対に公務員にはなりたくないとその時思った。
誰がお母さんの夢を継ぐか。
嫌に決まってる。
私は、何をしたいのだろうか。
ダンスはしたい。
でも、ダンスを仕事にはしたくない。
将来なんて、考えたくないな。

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2024/09/21 16:57

倫花(短編専用) ID:≫ppBd7rNLoAd1k
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