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wolf

#12


ネオンはいつものように登校し、いつものように教室の自分の席に着き、そしていつものようにクロムが挨拶をする……そんな当たり前が来ると思っていたのに。


「?」


待てどもクロムがやってこない。
そもそも教室にいない。
バカは何とやら、と言うのではないか。
胸騒ぎがする。

そのままホームルームのチャイムが鳴り、担任のシルバーが教室へ入ってきた。


「今日は残念な知らせがある」


教室内がザワザワと騒ぎ出す。
ネオンも気が気でならない。


「静かに。昨晩クロム・ビスマスが……亡くなった。人気のない裏路地で襲われて……」


ネオンは信じられなかった。
昨日までバカをやっていたクロムが死んだ。
何かの間違えではないのかと疑った。

しかし、そんなネオンの思いとは裏腹に他の生徒たちは、


「クロムが弱いからだ!」

「そうだ!俺なら返り討ちにできる!」


クロムが死んでもなお貶し始めた。


「手には空になったdissolveの小瓶が握りしめられていたそうだ」


フォローするようにシルバーは詳細を話したが、


「それはクロムが不合格になるくらいdissolveが下手だから……」


さらに刃向かうように抗議する。
ネオンは怒りを抑えきれなかった。


「下手じゃない……」


気が付いたら言い返していた。


「クロムは昨日遅くまで居残り練習をしていて、俺よりも上手くなった!お前らクラスメイトが死んだんだぞ!なぜそんな物言いしかできない!」


クラスメイトは呆気にとられていた。
それもそのはず、ネオンがこんなにも声を荒げる姿を初めて見たから。


「ちっ」


ネオンはそんな空気に耐えきれず、教室を飛び出した。

残された教室では、


「追わなくていいんすか?」

「いい……誰も追うな。誰も」


生徒の問いかけに、シルバーはそう答えた。
クロムと一番仲が良かったネオンへの配慮だ。

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2024/09/27 21:24

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