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愛を込めて。

#2


ふらりふらりと呑気に山の中を歩く。
今ではすっかり焼け野原となった山。
「花束?」
そこにある一つの小さな花束。
「まだ、誰かが置いてたんだ…」
彼もまた、花束をそっと小さな花束の横に置いた。
「燈矢くん、元気?」
ヒーローと[漢字]敵[/漢字][ふりがな]ヴィラン[/ふりがな]。
その違いは特になし。
強いて言えば、敵の方が皆に平等だ、と言う事。
「馬鹿馬鹿しいね」
ヒーローは個性が合わないとかで見捨てるけれど敵は己の敵だと思ったら容赦なくそれに立ち向かう。
「敵みたいなヒーローに憧れたんだ…」
誰かが此方に近づいてくる。
複数人の足音。
「おや、残念ながら時間みたいだね。じゃあ…」
彼はそっと花束に向け微笑むと辺りを青い炎で染めた。
「綺麗でしょう?君の炎みたいに」
世界はヒーローに依存し過ぎている。
自分が困れば、必ずヒーローは助けに来てくれると信じ続けている。
だが、今この瞬間に何人もの人が世界中で亡くなっているのだろうか。
今度は寂しそうに微笑むと青空を見上げ彼はつぶやいた。
「またね、荼毘」

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2024/10/09 07:53

伊折 ID:≫ppBd7rNLoAd1k
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